蒸し大豆で味噌が作れる?タッパーで最短30分の手作り味噌
この記事では初心者でも失敗しない
手作り味噌の作り方について紹介します。
はじめて味噌を作るならタッパーを使うとお手軽で、一度にたくさん作らずお試しができるのでおすすめです。
これは味噌の赤ちゃん pic.twitter.com/JElijRmTCt
— 自宅製麹員 (@jitakuseigikuin) July 10, 2022
手作り味噌は決して難しくありません。
ひと昔前は、どの家庭でも一般的に作られていました。
キッチンの衛生環境が格段に向上した現代なら、誰でも失敗することなく味噌は手作りできます。
あわせて、味噌や発酵食によくある疑問の
これらについても解説しています。
最近だと蒸し大豆のような
便利なものもあるので最短30分で手作りが可能です。
この機会にぜひおいしく楽しい発酵食の第一歩を味噌ではじめてみませんか?
このブログが全力で応援します!
- まずはお試しの800gくらい
- 特別な容器がなくても
大きめのタッパーでOK
1キロ以上の味噌作りはこちら↓
▼▼▼この記事を書いた人▼▼▼
ステップ1:作りたい味噌をイメージ
味噌の材料は大豆・麹・塩の3つと非常にシンプルながら、風土や気候による地域性のある奥深い食品です。
当然、みなさんそれぞれ慣れしたしんだ味があると思います。
まずは作りたい味噌をイメージしてみましょう。
大きく分けると、味噌は3タイプ
一口に味噌といっても
いろんなタイプがありますよね?
ざっくり大きく分けると
味噌は3種類に分類できます。
- 米味噌
(江戸前味噌・仙台味噌など) - 麦味噌
(九州味噌など) - 豆味噌
(赤味噌)
味噌は米味噌・麦味噌・豆味噌と、使う麹の種類で分かれます。
イメージ→使う麹の種類を決める
逆を言えば
麹選びを間違えなければ、自分の好みから大きく外れることはありません。
なので、ざっくりでいいので作りたい味噌をイメージしておきましょう。
それによって使う麹の種類が変わってきます。
この記事では米味噌の作り方を紹介します。
材料も入手しやすく、いちばんオーソドックスな味噌です。
配合を決める
使う麹が決まったら、次に甘口か辛口かを決めましょう。
甘口か辛口かは配合で決まります。
配合比率 | 出来上がり約800g | ||
---|---|---|---|
大豆(乾燥時) | 麹 | 塩 | |
甘口(倍麹味噌) | 138g | 355g | 100g |
標準(麹歩合150%) | 173g | 266g | 100g |
辛口(麹歩合120%) | 195g | 213g | 100g |
甘口辛口、お好きな配合のを選んでください。
ステップ2:材料・道具を揃える
味噌の材料は大豆・麹・塩の3つです。
大豆 (138g~195g)
大豆はスーパーや産直市場などで購入できます。
特に気をつけるポイントはありませんが、できれば大粒なものを選びましょう。
味噌にオススメ大豆はこちら▼
麹 (213g~355g)
最初に決めた味噌のイメージの麹を用意します。
麹は米麹であれば普通のスーパーでも売っています。
乾燥麹や生麹といった細かな違いはありますが、どれでも問題なく使えます。
お住まいの近くに麹屋さんや自然派食品のセレクトショップがあったら、そこでも入手できるかもしれません。
麹について詳しくはこちら▼
塩 (100g)
味噌の味をみるとき大豆や麹が注目されがちですが、じつは塩選びも重要です。
塩のタイプによって
- あっさり or コクたっぷり
- うま口 or 辛口
こういった味の要素を自分で決めることができます。
別記事にくわしくまとめてます▼
とりあえず迷ったらカンホアの塩がおすすめ。最強コスパ天日塩です。
信州味噌のようなスッキリ辛口がお好みであれば純度の高い岩塩もおすすめです。
好みの塩をもっと知りたい方にはこちら▼
必要な道具一覧
必要な道具は以下の通りです。
- 蒸し器(もしくは鍋)
- 蒸し布
- 大きめのザル
- タッパーなど仕込み容器
- 大きめのボウル(もしくはバット)
- 厚手のビニール1枚(もしくはマッシャー)
- ラップ
- キッチンペーパー
- 中性洗剤
- 消毒用アルコール(またはホワイトリカー)
蒸し器・蒸し布が無ければお鍋でOK
このブログでは大豆は蒸す作り方を紹介していますが、蒸すのでなく煮てもOKです。
なので蒸し器が無い方はお鍋で大丈夫ですよ。
最強の便利アイテム…蒸し大豆!
色々用意するものがあって、なんだか面倒だな…
なんて思ったそこのアナタ、大丈夫です。
スーパーにめちゃくちゃ便利なものが置いてます。
蒸し大豆です。
- 大豆を蒸す手間が省ける
- レンジでチンでOK
- 20時間以上の大幅な時短
- 手軽に作りたいぶんだけ作れる
というメリット盛りだくさんの、手作り味噌において最強の便利アイテム。
これなら用意する道具のうち、
・蒸し器
・蒸し布
・大きめのザル
この3つは不要です
さらに約20時間かかる工程を大幅にショートカットできてしまいます。
用意・片付け込みで30分あれば味噌が作れてしまいます!
初めてでまずはお試しで作りたい方にめちゃくちゃおすすめです。
ただし配合に注意
ただし、すでに蒸されてるぶん、仕込み配合が乾燥大豆とは異なります。
蒸し大豆用に計算しなおした配合表は
こちらで紹介しています▼
ステップ3:失敗しないために知っておくこと
味噌は比較的腐りにくく、誰でも安全に作ることができる発酵食品です。
ですが、油断したり誤ったやり方だと、とうぜん失敗する可能性だってあります。
味噌を作るときには、以下のことをしっかり守ってください。
- 手洗いをする
- 清潔な道具を使う
- よく混ぜる
- 空気をしっかり抜く
手洗いをする
いくら味噌が腐りづらいとはいえ、食品である以上手洗いは必ず行いましょう。
発酵食に限らず、実際に起こる食中毒の多くは手や道具からの雑菌の混入が原因です。
詳しくはこちらもどうぞ▼
手作り味噌は素手でまぜるべき?
よく受ける質問で、
手にいる菌が発酵にいいんでしょう?
手を洗わないほうがいいんじゃないの?
と聞かれますが、これは半分正解で半分間違いです。
たしかに手や皮膚にはたくさんの微生物がいますが、食中毒の原因となる微生物だってたくさん住み着いてます。
手を洗わずに食品にさわるというのは、それだけで食中毒のリスクを高める原因に!
なので手洗いは手洗い石鹸を使って必ず行いましょう。
食中毒を避けるため
あわせてこちらもどうぞ▼
清潔な道具を使う
手洗いと同じくらい大事なのが、清潔な道具を使うことです。
道具からも雑菌は侵入します。
そのため、使う道具は中性洗剤でよく洗い、しっかり乾かしたものを使います。
水分は大半の雑菌にとって好環境です。そのため水気が残っていると、そこから雑菌が繁殖するので乾かす必要があるからです。
補助として、食品用のアルコールやホワイトリカー(アルコール度数35度)のスプレーして使うとより効果的です。
\食品にそのまま使用可能/
よく混ぜる
味噌が比較的安全に作れる理由は塩にあります。
味噌は塩分が全体の12~13%と高く、塩そのものが持つ強い殺菌作用によって守られています。
そのため塩が不均一になっていると塩分が高い箇所と低い箇所ができて、低い箇所から雑菌がわくことがあります。
なので味噌を混ぜる工程ではしっかりと混ぜるようにしましょう。
味噌作りではよく混ぜることが雑菌対策になります。
空気をしっかり抜く
空気を抜くのも大事です。
空気中には目に見えないたくさんの微生物が漂っているので、空気に触れたままの箇所があるとそこから雑菌がわきます。
なので仕込みの際には空気が入らないようにギュッギュッと押し付けるように、すき間ができないように気をつけましょう。
ステップ4:いよいよ仕込んでみよう
用意ができたら、いよいよ味噌を仕込んでみましょう!
蒸し大豆を使う方は蒸し上がりまで飛んでしまってOKです。
仕込む前日
まずは大豆を洗うところからスタートです。
2、3回水を替えながらにごりが無くなるまでこするように洗います。
洗ったら大豆の3倍以上の水に浸けて、18時間以上浸水します。
浸水が不十分だと蒸した後に潰しづらく、出来上がりも固くなります。
大豆が固いのはデメリットしかないので、しっかり水に浸けましょう。
余裕をもって、仕込む前日の24時間前には浸水しておくと安心です。
浸水の間はフタかきれいなふきんを被せておいて、ゴミや雑菌がはいらないようにします。
2時間蒸す(煮る)
大豆をひと粒割ってみて、芯が残ってなければしっかり水を吸ってる証拠です。
しっかり水を吸った大豆(左)と乾燥時の大豆(右)。約2倍にふくれます
水を切り、大豆をたっぷりのお湯で2時間蒸します。
鍋で煮る場合はヒタヒタの水量で、適度に差し水をしながら2時間煮込みます。
蒸し上がったら適度に冷まして潰す
大豆が蒸し上がったら、残った煮汁は後で使うので取っておきます。
手で触れる程度まで冷まして、厚手のビニールかマッシャーで細かく潰します。
麺棒や空きビンを使って潰してもOKです。
塩切り麹を用意する
蒸している間に麹と塩をよく混ぜておきます。
塩切り麹と言って、塩を全体にまんべんなく行き渡らせる重要な作業ですのでしっかり混ぜておきましょう。
塩切り麹と大豆をよく混ぜて、耳たぶ程度の固さに調節
しっかりと潰せたら、塩切り麹とよく混ぜ合わせます。
残しておいた煮汁を少しづつ足して、耳たぶ程度の固さになるよう水分を調節してください。
もしくは、おにぎり状に握ってポロポロと崩れなけばOKです。
蒸し大豆を使っていて、煮汁が無い場合は清潔な水(ペットボトルの天然水・煮沸した水)を使いましょう。
空気が入らないように容器に詰め込む
ここまできたらあと一息です。
空気が入らないようにすき間を埋めながら、ギュッギュッと手で押しこみながら容器に詰めていきます。
あれば酒粕でフタをしておくと、酒粕のアルコール分が味噌を雑菌から守ってくれます。
味噌の上の層が酒粕。味噌完成時には粕漬けなどにも使えます
酒粕が無ければ雑菌除けの塩(分量外)を振りかけるのでもOKです。
最後に容器のフチをアルコールできれいに拭き上げて、
ラップで空気を遮断して終了!
あとは冷暗所で半年~1年後になれば味噌の完成です!
お疲れさまでした!
ステップ5:天地返しをする(必須ではない)
必須作業ではないのですが、味噌には天地返しという必殺技めいた工程があります。
【味噌の天地返し効果まとめ】
— スタコジ@自宅製麹員&麹ブロガー (@jitakuseigikuin) April 5, 2022
①温度ムラの解消
②メーラード反応を促進
個人で仕込むサイズなら温度ムラはほぼ心配なく、天地返しは基本的に不要です
ただ、抗酸化物質のメラノイジンは酸素+窒素+メーラード反応によって生まれます
そのため空気に触れさせるとメーラード反応を促進され、熟成を
続 pic.twitter.com/wMX3uXWe0T
小難しいこと抜きにいうと
発酵途中で味噌を一度空けて、空気に触れさせることで発酵を助けるのが目的です。
天地返しのタイミングは、仕込みからだいたい3~4か月経ったころ。
発酵途中でのカビや雑菌異常の確認にもなるので、余裕があればやってみてください。
もしも異常があったら…
天地返しの時によくあるのが、カビや雑菌が繁殖していることです。
はやいうちに対処すれば問題なく食べられますので、対処法もおさらいしておきます。
緑色や黒色のふわふわが生えている
緑色や黒色のふわふわは、カビ菌の特徴です。
そのままだとせっかくの手作り味噌がカビ臭くなってしまううえ、食あたりの原因にもなります
清潔なスプーンでカビの周りを少し多めに取り除き、ホワイトリカーや塩をまぶして空気を遮断しましょう。
白くて平べったいのが生えている
一方で、ふわふわでなく、白くて平べったい感じに繁殖しているのは産膜酵母菌という有用菌です。
害はありませんが、白いコロニーはブニブニとした食感で、あまり心地いいものではありません。
そのため、取り除いたほうが無難です。
においも重要な判断基準
においも重要な判断基準です。
人間の嗅覚はカビなどのにおいに対してとても鋭く感じるようにできています。
そのため見かけは問題なくても、強いカビ臭や不快に感じるにおいがあれば、口にするのは控えて作り直しましょう。
逆に有用菌が働いてくれた場合、いかにもおいしそうという香りが出てきます。
食べごろはいつ?
完成は半年~1年後
繰り返しますが、味噌の完成は仕込みから半年~1年後です
かなり幅がありますが、これは気温や仕込んだ時期によって、味噌の熟成具合が違ってくるからです。
一般的に、気温が低いほど発酵・熟成はゆっくり進みます。
好みで決めてしまってOK
最初に決めた甘口・辛口もそうですが、どれくらい熟成させるかは皆さんの味の好みしだいです。
なので、半年経って味見をして、おいしいと感じたらOK。
まだ固かったら再び密封して追熟させる。
これくらいざっくりと決めてしまいましょう。
おすすめは熟成の変化を楽しむ
ちなみに私は若い味噌も熟した味噌も両方好きなので、半年で封を開けて、味噌の変化を楽しみながら使っています。
熟成が浅い味噌も、あっさりとしてそれはそれで良さがあります。
キムチやお漬物同様に、熟成の進み具合を楽しむのも面白いですよ(^^)
発酵は続くので冷蔵庫で保管
ひとつ注意点を上げると、手作り味噌は市販品のように発酵を止めていない状態です。
そのため完成後も発酵は続いているので、どんどん香りと色が濃く、熟していきます。
ストレートに言います。
— スタコジ@自宅製麹員&麹ブロガー (@jitakuseigikuin) February 6, 2022
2年前に仕込んだ味噌がいま、最高に熟してるのでぜひ見てやってください。 pic.twitter.com/nMghCFZhD2
熟したのがお好きであれば問題ありませんが、そこまで熟成させたくないよーという方は冷蔵庫で保管をおすすめします。
完成後は…
無事完成したら、ぜひ色んな料理に試してみてください!
手の込んだものでなくても、キュウリに味噌をつけて食べるとか、そういうシンプルなものでもとってもおいしく食べられます!
いつものお味噌汁も、たまには少し変わった具材を入れても新鮮ですよ(^^)
安全で楽しい発酵ライフを!
以上が初心者でも失敗しない手作り味噌の完全ロードマップでした。
一度作ってしまえば、意外と簡単に作れるんだとハードルもグッと下がるでしょう。
おいしくたのしい味噌作りの参考になればうれしいです!
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