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自家製味噌や漬物には精製塩?天然塩?味噌に使う塩の選び方

seigikuin

発酵食ではを多用します。

味噌に限らず醤油、塩麹にぬか漬け…これらは安全に発酵が進むよう塩の殺菌作用を利用しているためです。

もちろん味にも大きく影響するので、自家製味噌や漬物を作る際に塩選びは重要な要素です。

塩の瓶

今回は精製塩・天然塩が味に与える影響について私の経験も踏まえて掘り下げてみます。

スタコジ

スタコジ(@jitakuseigikuin)と申します。

かれこれ10年間、毎年欠かさず自家製味噌を仕込んでる麹&発酵オタクです。

味噌や漬物に限らず日々の塩選びの参考にもなりますので、よければ最後までお付き合いください。

精製塩で作る味噌はおいしくない?

近頃は品揃えのいいスーパーが増え、味噌や漬物もたくさんの種類を見かけるようになりました。

スーパーマーケットのイメージ

その中でも、素材にこだわったちょっといい味噌や漬物には天然塩が使用されたものをよく見かけますよね。

これはやはり天然塩の方が味が優れていて、精製塩の方が劣っているということなのでしょうか?

スタコジ

結論から先に申し上げるとそんなことはなく、

精製塩も目的に応じて充分使える塩だと私は考えています。

精製塩が味幅に乏しいのは事実

精製塩とは電気分解反応やイオン交換膜という超微細なフィルターを利用して、人工的に塩化ナトリウムの純度99%以上に高めた塩のことです。

精製塩のイメージ

塩化ナトリウムだけを選別して精製するので、カルシウム・マグネシウム・カリウムといったナトリウム以外のミネラル分の含有量が少ないのが特徴。

カルシウム・マグネシウム・カリウムは塩の味に複雑味を出すので、塩化ナトリウムの純度が高いがために味幅が少なく、クリアで塩辛く感じる塩です。

にがり成分が食塩の呈味性に及ぼす影響 – J-Stage

日本海水学会誌 第69巻 第2号(2015)

それゆえのメリットもある

精製塩が味幅が少ない塩であるのは確かですが、それゆえに素材の味を邪魔しないというメリットもあります。

プロの味噌屋さんや醤油屋さんでも、あえて精製塩など雑味の少ない塩を用いる場合も少なくありません。

醤油の木桶イメージ

味噌や醤油は手間暇をかけるほど発酵・熟成に時間をかけて複雑味を増していきます。

その際に、あえて引き算の発想でクリアな塩を使って味を重たくならないようにする狙いがあります。

スタコジ

天然塩・精製塩どちらかに優劣があるのでなく、それぞれに適した使い方があります。

目的に合わせて塩を選ぶ

では、どのように塩を選んで使い分けるかですが、これは目的の味に合わせて塩を選ぶのがよいでしょう。

自家製発酵食の魅力のひとつは、自分の好みにカスタマイズできることです。

ご自身が慣れ親しんできた味や好みに合わせて塩を使い分けることで自家製発酵食の満足度も上がります。

あっさり辛口が好みなら精製塩・クリアな天然塩

例えば味噌の場合なら、精製塩を使うとあっさりとシャープな味の味噌に仕上がります。

料理に用いる際には食材を引き立てるタイプの味噌になり、

信州味噌九州味噌(麦味噌)のような比較的あっさり系の味噌に慣れ親しんだ方にオススメです。

信州味噌のイメージ

クリアな岩塩・湖塩も向いている

天然塩の中でも、長い時間をかけて凝縮された岩塩・湖塩は不純物が非常に少ない傾向があり、精製塩同様に塩化ナトリウム純度の高いクリアな塩も多く存在します。(例外もあります)

こういった塩を使うのもいいでしょう。

上記の塩は天然塩ながらも塩化ナトリウム純度が約99%と高めで、ストレートな塩味のあとにかすかな甘味・酸味を感じるサッパリ系のお塩です。

スタコジ

サッパリ辛口系の味噌がお好きな方にオススメです。

漬物であれば野菜の味をシンプルに楽しむ浅漬けにも向きます。

夏野菜の下処理イメージ

旨口タイプが好みなら天然塩

反対に江戸味噌のようなふくよかで旨口タイプの味噌がお好みであればナトリウム以外のミネラル分を多く含む天然塩がオススメです。

塩化ナトリウムの呈味(感じる味)は塩味ですが、マグネシウム・カルシウム・カリウムは苦味や酸味を呈し、塩の味を複雑にします。

塩に含まれるミネラル類呈味(感じる味)
ナトリウム類塩味
マグネシウム類苦味・旨味
カルシウム類甘味
カリウム類酸味

そのような複雑味のある塩を使った味噌はコクがあり、旨味を感じる味噌に仕上がります。

海水塩は味幅がありオススメ

天然塩の中でも海水を天日などで凝集した海水塩は先ほど紹介した岩塩や湖塩よりもミネラル分が海の成分比に近い傾向にあり、味幅が広いのが特徴です。(こちらもたまに例外はありますが。。。)

スタコジ

まずは成分表を見て製法と成分に注目してみましょう。

ナトリウム以外のミネラルをバランス良く含んだものがオススメです。

塩の成分表

(天然塩・精製塩の違いや見分け方はこちらをご参考にしてください↓)

https://jitakuseigiku.com/sio-erabikata/

塩選びの例:管理人の場合

ここからは個人的な好みの話で恐縮ですが、

私の場合、味噌はしっかり旨口な米味噌が好きです。

自家製味噌を開けたところ

そこで塩はカンホアの塩という海水塩を使ってます。

カンホアの塩の成分は以下の通り。

栄養表示成分100gあたり
熱量0kcal
たんぱく質0g
脂質0g
炭水化物0g
ナトリウム33.76g
マグネシウム780mg
カルシウム620g
カリウム250g
(食塩相当量)(85.82g)
原材料名:海水(ベトナム・カンホア)
工程:天日、粉砕

食塩相当量は85.82gと低めでマグネシウムやカルシウムを中心に海水由来のミネラル分が豊富に含まれており、公式サイトでも「海水のような複雑さをともなった味」と紹介されています。

http://www.shio-ya.com/khanhhoa/stonemilled.html

カンホアの塩 公式HP

このような塩は味のふくよかさが特徴の旨口味噌と高相性だと言えます。

スタコジ

味噌汁にすると「ダシを取る必要ないんじゃないか?」ってくらい旨味のある味噌になりますよ。

もちろん漬物にも使えます。

海水由来の複雑味が加わり、漬物以外にも魚の干物にも好相性で、味が濃くなります。

塩漬け魚のイメージ

まとめ…塩選びは目的の味で決める

最後に味噌や漬物の塩を選ぶポイントをまとめてみましょう。

・シャープであっさりした味噌…

  • 雑味の少ない精製塩
  • もしくは塩化ナトリウム純度が高い天然塩

・ふくよかで旨口な味噌…

  • ナトリウム以外のミネラルも含んだ天然塩
  • 海水の成分をそのまま活かした海水塩がオススメ

このように味の目的に合わせて塩を選ぶのも自分の好みにカスタマイズできる自家製味噌・漬物の醍醐味ではないでしょうか。

より詳しいおすすめの塩と使い方についてはこちらの記事でも紹介しています▼▼▼

今回紹介した塩の詳細や味の感想についても触れているので、ぜひご参考ください。

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塩や味噌に関する記事はこちらもどうぞ▼▼▼▼▼

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