手前味噌

自家製味噌の食べごろは?天地返しはいつ?自家製味噌の封切りのタイミング

味噌炊きは苗代具合”

という言葉があります。

苗代(なわしろ・なえしろ)とは稲の苗を育てる場所のことで、稲の育苗が盛んな4月後半~5月前半までには味噌の仕込みを終わらせましょうという意味です。

田植えを終えた田んぼ

稲作りと味噌作りが季節の循環の中で繋がってるのを表した言葉です。

しかし、なぜ4月後半~5月前半までに味噌を仕込まないといけないのでしょうか。

理由はその後に訪れる気候の変化に関係しています。

味噌と夏の関係

味噌炊きは苗代具合”には2つの意味が隠されています。

雑菌汚染のリスク

味噌の発酵はとても緩やかに進行するので、カビや産膜酵母といった他の菌に汚染されやすい発酵食です。

味噌仕込みは雑菌との闘いでもあります。

そのため先ほどの言葉には気温・湿度の高い夏に味噌の仕込みを行うのは雑菌汚染のリスクが高まる夏までに仕込みを終わらましょうねという注意の意味です。

味噌と夏の関係

夏の味噌仕込みは雑菌汚染のリスクがある

夏越しの味噌は美味

もうひとつは、夏を越した味噌は美味しいよというポジティプな意味です。

木桶で味噌を熟成させるイメージ

冬~春にかけての気温の低い時期に味噌を仕込むと味噌の品温も当然低くなるので、最初の発酵が緩やかに進行します。また、品温が低いということは雑菌の繁殖速度も遅くなります

の間に雑菌の繁殖を抑えつつ、の気温上昇と共に発酵は旺盛になり、の涼しくなったタイミングで落ち着いて熟成のフェーズに向かうという春→夏→秋の一連のサイクルが味噌をおいしくさせると知っていた先人達の知恵を表しています。

味噌と季節の関係

  1. 【春:仕込み】低い気温で発酵がゆっくり進む
  2. 【夏:発酵】麹の酵素が味噌の旨味・甘味を引き出す
  3. 【秋:熟成】熟成により味が丸く、美味しくなる

味噌の食べ頃は仕込んで6か月~12か月後

春→夏→秋と経過した味噌の発酵期間は約半年の6か月になりますよね。

味噌の食べ頃も同様に仕込んでから大体6か月~12か月目が食べ頃だと言われています。

味噌の食べごろ

6か月~12か月と幅が広いのは味噌が夏を越さない場合があるからです。

現代では昔と違って、手洗い石鹸や消毒用アルコールが簡単に入手できるので我々の生活衛生水準も高まり、夏以降でも衛生管理さえしっかりしていれば味噌を仕込むことが可能になりました。

例えば秋に味噌を仕込んだ場合、その後に季節は冬→春と続いて味噌の品温が低いままとなり、発酵は緩やかに進みます

そのため秋頃に仕込んだ味噌は若くて熟しきっていないことがあります。

その場合は8か月・10か月・12か月と食べ頃を伸ばしていくとよいでしょう。

期間を決めかねる場合は途中で封を切り、味見をしてから追熟期間を決めるのも、もちろんアリです。

その際、味見を兼ねてやっておきたいのが天地返しです。

味噌の食べ頃

  1. 味噌の食べ頃は仕込んでから6~12か月目
  2. 幅が広いのは味噌が夏を越さない場合もあるから

天地返しのタイミング

天地返しって?

天地返しとは発酵・熟成中の味噌を掘り起こしてよく混ぜ、上下を入れ替える作業のことです。

天地返しの目安は発酵期間の大体半分くらいが一般的で、発酵期間が6か月なら3か月目に行います。

天地返しの目的

  1. 異常がないかの確認
  2. 発酵のムラを無くす

順番にみていきましょう。

異常がないかの確認

味噌を仕込んだ際に味噌が空気と触れているとそこから高い確率でカビが発生します。

発酵期間の途中でカビなどの雑菌に汚染されてないかを確認するのが目的のひとつです。

もしカビが生えていたら杓で少し多めにすくって取り除きます。

カビのイメージ

発酵のムラを無くす

味噌の仕込みの際、潰した大豆と麹と塩を混ぜるのは中々の労力が必要です。

もしも混ぜるのが不十分でムラが残ったままだと、塩の殺菌効果が薄い部分から腐造が始まるかもしれません。

そのため発酵中に掘り起こして混ぜることによりムラを無くし、発酵がよりスムーズに進むよう手助けをする働きがあります。

手作りの味噌イメージ

また、発酵が進むと味噌の中心部と外側で温度差が生じて発酵のムラになる場合があります。

その解決策として天地返しは有効とされています。

出典:日本醸造協会誌 第94巻第3号

麦味噌 ・豆味噌 – J-Stage

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jbrewsocjapan1988/94/3/94_3_187/_pdf/-char/ja

家庭サイズだと天地返しは必要ない?

ただし、家庭で作るサイズの味噌では温度ムラは少ないので必ずしも天地返しが必要ではありません

温度ムラが生じるのは数トンといった大きなサイズで仕込んだ場合であるとされてます。

そのため問題なく発酵・熟成しているのであればやらなくてもいい作業ですが、わずかな違いとはいえやっておくことで味噌の味わいにプラスになる作業ですので、前章で触れた味見のついでに余裕があればやってしまうくらいに捉えるといいでしょう。

天地返しのポイント

  1. 発酵期間の大体半分の時にやる
  2. 雑菌汚染の確認
  3. 混ぜムラ・温度ムラの解消
  4. 味見のついでに余裕があればやる

天地返しの後は…

天地返しで味噌の上下を入れ替えたら、酒粕やラップで空気を遮断して、再び熟成を待ちます。

ラップで空気を遮断する

味噌を酒粕やラップで封するやり方はこちらでも詳しく紹介しています。

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たまり(水分)が多い時は…

天地返しで味噌の様子を見てみると、醤油によく似たたまりが表面に上がってくることがあります。

みそたまりのイメージ

たまりを原型にして醤油が生まれたと言われています。

これは仕込みの時に大豆を柔らかく蒸しすぎたり、煮汁を入れすぎたりして水分過多だった時に起こる現象です。

安心していただきたいのですが、たまりが多いからといって味噌の味に全く影響はありません

少量の場合は天地返しの時に混ぜ込んでしまえばOK。

多かった場合は落としフタを敷いて重石をしておくと味噌とたまりを分離させて味噌の固さを調節します。

重石をしてたまりと味噌を分離させる

重石は味噌の重量の半分くらいが目安です。

水を入れたビニール袋を使うと、わざわざ重たい石を持ち運ばずに済みます。念のためビニールは2重にしておきましょう。

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分離したたまりは鍋や汁物の調味料として使えます。捨てずにぜひ活用してください。

フレッシュなたまりは刺身醤油にしても美味しいですよ。

白身魚の刺身

天地返しの後は…

  1. ラップや酒粕で空気をしっかり遮断
  2. たまりは、少量なら混ぜ込んでしまえばOK
  3. 多い場合は落としフタ+重石で味噌とたまりを分離させる
  4. たまりも美味しいので調味料として活用

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