天然塩の見分け方は?5分でわかる塩の見分けかた!【実際商品を3タイプに分類】


精製塩は良くないってホントなのかな…?

実際のパッケージだと見分け方がつかないな…。
- 塩の見分け方を知りたい
- 普段使いの塩に
どんな塩を選べばいいのか知りたい - 塩のパッケージを見ても、
正直よくわからない - 実際の商品の
見分け方を知りたい
塩はざっくりと分けて
・天然塩
(塩の結晶をそのまま加工したもの)
・精製塩
(純粋な塩化ナトリウムを精製したもの)
・再加工塩
(適度にミネラルを添加したもの)
この3つに分かれます。
天然塩は味も個性も豊か、
精製塩は安価で使い勝手がいい、
バランスのいい再加工塩、
などそれぞれメリットがありますが、
市販されてる塩のほとんどが
天然塩か精製塩か再加工塩か、見分けづらいのが現状です。

これは表記上のルールが関係しています。
しかし見分け方があやふやだと、
天日塩を選びたいのにじつは精製塩を買ってしまったなんてことも。
こんなことを避けるためには
塩の見分け方を知っておく必要があります。
そこでこの記事では、
この順で塩の見分け方を解説していきます。
(ゆっくり読んでも約5分で読み終わります)
この記事を読めば、
天然塩か精製塩か瞬時に見分けることが可能です。
発酵食作りで塩は絶対に欠かせない存在。
ぜひ参考にしてみてください!
▼▼▼この記事を書いた人▼▼▼
てっとり早く
おすすめの塩を知りたい方はこちら▼▼▼

塩の種類について

まずは見分け方の前に、塩の種類を確認しておきましょう。
塩の原料は岩塩・湖塩・海水の3種類があります。
岩塩と湖塩は地殻変動により海水が陸地に閉じ込められ、水分だけが蒸発して生まれます。
海水塩は海水を汲み、塩分だけを取り出したものです。
つまり、塩の原料はすべて海水由来といえます。
塩は天然塩・精製塩・再加工塩の3つに分類
市販の塩はさらにここから製法によって
・天然塩
・精製塩
・再加工塩
の3種類に分類することができます。
天然塩=原料そのまま、または水分を飛ばしただけの塩

一般に言われる天然塩という言葉に明確な定義はありませんが、ざっくりまとめると原料そのまま・もしくは水分を飛ばしただけの塩を指します。
天然塩と聞いて一番イメージしやすいのが、荒く砕いただけの岩塩ではないでしょうか↓
岩塩を切り出しただけのタイプ
ピンク色の岩塩をよく見かけますが、
あれは地層に含まれる鉄分が混ざっているためです。
切り出して簡単な洗浄だけをした場合のものが多く、原料そのままに近い形で販売されています。
海水塩を煮詰めたタイプ
他には塩田で作る天日塩も天然塩のカテゴリーに入ります。

海水や水に溶かした岩塩・湖塩を天日で鹹水(かんすい)という塩分濃度の高い塩水を作って煮詰めて作られます。
そのため、原料の成分がそのまま含まれる塩に仕上がります。
そのまま残る成分とは主にマグネシウム・カルシウム・カリウムです。
塩に含まれるミネラル | 呈味(ていみ:感じる味) |
ナトリウム | 塩味 |
マグネシウム | 苦味・旨味 |
カルシウム | 甘味 |
カリウム | 酸味 |
それぞれ苦味・甘味・酸味となり、
産地によるミネラルバランスの違いにより多種多様の味が天然塩では楽しめます。
精製塩=塩水から塩を人工的に分離したもの

精製塩はイオン透過膜法(超微細なフィルター)や電気分解を利用して塩化ナトリウムと他のミネラルを人工的に分離した塩のことです。
例外はありますが、
塩化ナトリウムの純度が99%以上と高いのも特徴のひとつ。
大量生産に向くので安価ですが、塩化ナトリウムだけを取り出すように精製するので、塩だけの味が立ち、塩辛く感じやすい味です。
再加工塩=にがりやミネラルを添加した塩

再加工塩は塩の精製時ににがりやミネラルを添加したタイプの塩です。
にがりとは豆腐作りにも使われる海水由来の塩化マグネシウムのこと。
塩化ナトリウム純度の高い塩に他のミネラルを添加し、塩辛くならないように味の調整を行います。
他にも、海藻成分を加えた藻塩やフレーバーソルトなどもこれにあたります。
特にフレーバーソルトは、
- 天然塩を使うもの
- 精製塩を使うもの
- 柑橘・ハーブなどのフレーバー
などの組み合わせの自由度が高く、こちらも色々な種類が販売されています。
市販の塩が見分けづらい理由

ここからが問題なのですが、
パッケージだけで精製塩・天然塩といった塩の種類をパッと見分けるのは難しいです。
理由①:表記に規制がある
というのも、
日本では市販の塩の商品名に天然・自然といったワードを入れることが禁じられています。
(食用塩公正取引協議会 規則・規約第5条)
パッケージの裏も隅々まで読んでも
どこにも天然塩というワードが書かれてません。

ここが塩選びのややこしい所です。。。
他にも
・自然塩
・天然製法
などが表記できません。
理由②:「天然」と名乗ってはいけない
理由は、天然や自然と言った言葉は消費者に誤解を与える恐れがあるからです。
天然・自然という言葉は
- 「健康に良い」
- 「手間ヒマかかった良い商品」
というプラスイメージが強いワードですよね。
なので規制前にはこれらの言葉がうたい文句に多用され、具体的な根拠のない商品が横行したのが規制の要因とされてます。
理由③:元をたどれば塩はすべて海水由来と言えてしまう

このような規制がかけられたのには、塩の原料にも関係があります。
天然塩でも精製塩でも、全ての塩の原料は海水に由来するものです。
海水由来であるということは、
考えようによっては全ての塩は「天然由来」と言えてしまいます。

かなり乱暴な理屈ですが…
しかし、実際このような理屈であたかも天然成分豊富な塩に見せかけた精製塩や再加工塩が出回ったのも事実です。
そのため
このようなルールが作られました。
実際の商品を見ながら塩を分類してみよう

商品名で天然塩・精製塩・再加工塩かは見分けられませんが、ちゃんと見分ける方法はあります。
ここでポイントとなるのが塩化ナトリウムの純度と製造工程です。
実際に売られてる塩を参考にしながら分類してみましょう。
まずはこちら↓
「 塩事業センター 食塩 」は
1キロ100円ちょいの超リーズナブル塩です。
表示には
原材料名 | 海水(日本) |
工程 | イオン膜、立釜、乾燥 |
品質規格 | 塩化ナトリウム 99%以上 カルシウム 基準0.02% マグネシウム 基準0.02% カリウム 0.25%以下 |
とあります。
見分け方①:塩化ナトリウムの純度を見る
見分けるには、
まず 塩化ナトリウムの表記を見ます。

成分表の「塩化ナトリウム」、
もしくは「食塩相当量」の項目をチェックします。
食塩相当量と表記される場合もありますが、どちらも一緒です。
この塩には「塩化ナトリウム…99%以上」とあるので、精製塩の可能性が高くなります。
ナトリウム表記の計算方法
商品によっては塩化ナトリウムではなく
「ナトリウム」と書かれてる場合もあります。
この場合、
ナトリウム×2.54=塩化ナトリウム
の式で換算可能です。
逆算すると、99.5÷2.54=39.17 なので
ナトリウムが100g中39g以下なら
塩化ナトリウム純度も99.5%以下だと覚えておいてください。
見分け方②:製造工程を見る
次に塩の製造工程を見ます。
製造工程は、いわば塩の履歴書です。

全部覚えるのは大変なので、「へぇ~こんな感じなんだ」と流し見してもらってOKです。
内容 | |
---|---|
塩を濃縮する工程 | |
天日 | 塩田などで、天日や風を利用して塩分を濃縮 |
イオン膜(イオン透過膜) | 「イオン透過膜」という膜を使って塩分を精製 |
溶解 | 天日塩、岩塩などを水や海水に溶かして濃い塩水を作る |
塩を結晶化する工程 | |
平釜 | 密閉されていない釜で煮つめて結晶を作る |
立釜 | 密閉した釜で煮つめて結晶を作る。平釜より効率的 |
塩の品質・状態を整える工程 | |
粉砕 | 塩のかたまりを砕いて小さくする |
混合 | 添加物や、違う塩を混ぜる |
乾燥 | 加熱などの方法により塩から水分を蒸発させる |
焼成 | 塩の結晶を加熱して、固まりにくくサラサラした「焼塩」をつくる |
洗浄 | 水または塩水で、塩の表面を洗う |
岩塩や湖塩を掘り出す工程 | |
採掘 | 岩塩や湖塩を掘り出し、または採取する |
このように、色々な工程があります。
色んな項目があってややこしいですが、以下で整理してみましょう。
見分け方③:精製塩を見分けてみよう

「塩事業センター 食塩」 の表示をもう一度見てみます。
原材料名 | 海水(日本) |
工程 | イオン膜、立釜、乾燥 |
品質規格 | 塩化ナトリウム 99%以上 カルシウム 基準0.02% マグネシウム 基準0.02% カリウム 0.25%以下 |
工程は イオン膜、立釜、乾燥 とあるので、
- イオン膜透過法で塩水を濃縮して
- 密閉釜で煮詰めて
- 加熱・乾燥させた塩
ということが分かります。
イオン膜とは海水を電気分解をして
塩そのものを精製する人工的精製法です。
塩化ナトリウム純度99%+人工的精製法ということで、この塩は精製塩と分かります。

続けてもう1個いきましょう。
見分け方④:天然塩を見分けてみよう
ではこちらの塩はどうでしょう?
「カンホアの塩」の表示には、
原材料名 | 海水 (ベトナム・カンホア) |
工程 | 天日、粉砕 |
品質規格 (100gあたり) | 食塩相当量 85.82g マグネシウム 780mg カルシウム 620mg カリウム 250mg |
とあります。
食塩相当量とは塩化ナトリウムのことなので、純度は約85%。
工程は天日、粉砕ですので、
- 天日で海水(ベトナム)を濃縮して
- 砕いて細かくした塩
ということです。
天日で海水の水分を飛ばして塩を得ているので、海水のミネラルは塩にそのまま残ります。
つまりこれは天然塩の部類に入ります。

最後にもう1ついっておきましょう。
見分け方③:再加工塩を見分けてみよう
最後にこちらの塩を見分けてみます。
TVCMでお馴染みの「伯方の塩」です。
表示には以下のように書いてあります↓
原材料名 | 天日海塩(93%メキシコまたはオーストラリア) 海水(7%日本) |
工程 | 溶解、平釜 |
品質規格 (100gあたり) | 塩化ナトリウム 95g カルシウム 110mg マグネシウム 90mg カリウム 50mg |
ここで言う海水とは、にがり(海水由来のマグネシウム)のことです。
塩化ナトリウムは100g中95gなので純度99%以下です。
工程からわかることは、
- メキシコかオーストラリアの
天日塩と日本の海水(にがり)を - 溶かして濃い塩水を作り
- 密閉されてない釜で煮詰めて作る塩
ということになります。
にがりを添加調整しているので、
これは再加工塩の部類に入ります。

このように工程を見ることで、塩の生い立ちを知ることができます。
塩の適した使い方

世の中にまだまだ沢山の塩があり、
それらを見分けるのは中々大変ですが、
工程や成分からその製品がどのように作られたか必ず読み解くことが可能です。
そして見分け方が分かると、塩を適材適所で使えるようになります。
精製塩のメリット

例えば精製塩はよく悪者にされがちですが、
雑味が無く、クリアでさっぱりとした味と捉えることができます。
プロの味噌屋・醤油屋さんでも味を味を重くしないため、あえて精製塩や塩化ナトリウム純度の高い塩を使う場合もあるくらいです。
それに安価なので、
塩もみ・板ずりなどの料理の下処理には最適です。
天然塩のメリット

天然塩も、料理や発酵食のうま味をさらに引き立たせるのに有効です。
産地や製法でバラエティーに富み、
ひと言ではくくれないくらいの個性豊かな塩がたくさんあるので、好みの塩を探すのも楽しさのひとつだといえます。
再加工塩のメリット
再加工塩を精製塩と天然塩の中間と考えて使うのも良いでしょう。
値段も手ごろなものが多く、
キッチンで使う普段使いは再加工塩にして、
仕上げに使う食卓塩にちょっといい天然塩にするといった使い分けをするとコスパも◎です。
まとめ:目的によって塩を選べると、料理や食事が更に楽しくなる

この記事では実際の塩を例にとって、塩の見分け方を紹介してきました。
塩って、よく
・「天然塩は体にいい!」
・「精製塩は塩分過多になる!」
と善悪で語られがちですが、
みてきたように塩にもそれぞれ特徴があって、適材適所で便利に使うことができます。
塩は料理の基本です。
塩を使わない料理の方が珍しいといえるくらい、ほぼ必ず使います。
ぜひ塩の見分け方を覚えてもらって、毎日の食事で体を養う基本を身につけていただけたら嬉しいです!
塩をより詳しく知るのにおすすめの書籍
さらに詳しく塩について知りたい方はこちらの本がオススメです。
日本のみならず、世界各地の塩の詳細をまとめられており非常に内容の濃い一冊。
大抵の市販の塩がこの1冊あれば調べることができます。
シンプルに眺めてるだけでも楽しいですよ。
塩を活用した手作り発酵食はこちら↓







学びになる情報をありがとうございます!
質問させてください。
製法に【イオン膜】と書かれている場合でも、
食塩相当量が95%(他のミネラル類がある)
と記載されている場合は
【精製塩】になるのでしょうか?
原材料名には、海水 としか記載がありません。
(にがりの添加無しという理解で大丈夫でしょうか?)
よろしくお願いします。
みみさん
こちらこそご覧いただきありがとうございます!
結論からいいうとイオン膜ということは精製塩になります。
あくまで憶測ですが、海水を電気分解をして濃縮した海水を煮詰めるのですが、煮詰める海水の濃度を調整しているのかもしれませんね。