手前味噌

手前味噌はなぜ自慢したくなる?自家製味噌がおいしくなる理由

手前味噌はもともと自家製味噌のことですが、ご存じのように別の意味でも使われます。

自分で自分を褒めること。自慢。▽かつて味噌みそは自家製で、自分が造った味噌を互いに自慢し合ったことからできた言葉。

三省堂 新明解四字熟語辞典

私も10年以上毎年欠かさずに自家製味噌を仕込んでいるのでよくわかるのですが、

確かに自家製味噌はおいしく感じます。

なぜ自分で作った味噌は自慢したくなるほどおいしいのか?

その理由を分析・まとめると以下の4つです。

  • 微生物が活躍
  • 自然醸造で作る
  • 温度ムラができづらい
  • 発酵が続く

この記事は自家製味噌がおいしくなる理由にスポットを当てて掘り下げた記事です。

味噌を手作りした経験のない方には味噌作りの興味を引く内容、

もうすでに味噌を作ったことがある方にはよりおいしく味噌を仕上げるヒントになる内容となっています。

ぜひ最後までご覧ください。

▼▼▼▼▼この記事を書いた人▼▼▼▼▼

スタコジ

改めまして、スタコジ(@jitakuseigikuin)と申します。

普段は造り酒屋で蔵人として10年以上働く発酵のプロ。

蔵人として働き始めるのと同時期に自家製味噌作りをスタートしました。

味噌作りも10年以上続けてます。

先ほど挙げた理由を順番にみていきましょう。

微生物が活躍

麹や空気中を経由して、味噌には微生物が入り込みます。

とりわけ味噌に影響を与えるのが乳酸菌酵母菌です。

季節の寒暖差を利用して作る味噌

乳酸菌

主にLactococcus lactis(ラクトコッカス ラクチス)やTetragenococcus(テトラジェノコッカス)属の乳酸菌が味噌で繁殖します。

生産する乳酸により味噌の味に爽やかさを付与するほか、酸性よって雑菌の繁殖を抑える働きをしてくれます。

酵母菌

Zygosaccharomyces(チゴサッカロミセス・ルキシー)やCandida(キャンジダ)属といった塩分耐性のある酵母菌が味噌で繁殖します。

酵母菌は麹によって生産される糖(グルコース)を消費してアルコールを生成します。

この際に香気成分である高級アルコール(イソアミルアルコール・イソブチルアルコールなど)や有機酸とアルコールが反応したエステル(カプロン酸エチル・酢酸エチルなど)が多数生成され、味噌に複雑で芳醇な香りを与えます。

味噌で活躍する微生物…

  1. 乳酸菌…雑菌を抑えて爽やかさを付与する
  2. 酵母菌…アルコール発酵により様々な香気成分を生成、芳醇な香りをプラス

自然醸造で作る

自然醸造とは、自然の温度変化に任せた醸造管理のことです。

仕込み後の味噌は冷暗所で置くことが多いですが、これが自然醸造にあたります。

冷暗所に味噌を保管

季節の寒暖差を利用

自然醸造では冬に仕込みをおこなう寒仕込みが主流です。

寒い冬に仕込む理由は、寒さで雑菌が繁殖しづらいため。

その後、夏の暑さで微生物による発酵が促され、秋の涼しさによりゆっくりと熟成に向かいます。

大豆がたんぱく質がアミノ酸に分解され、メーラード反応により段々と色が濃くなる段階でコク・旨味が増えていきます。

この方法だと味噌の完成まで大体6か月~1年と時間がかかりますが、乳酸菌・酵母菌が健全に十分育ったおいしい味噌に仕上がります。

高い温度で管理する温醸

逆に、あえて高い温度で管理して味噌が早く完成させることを温醸(もしくは速醸)と呼びます。

この方法では、麹の分解酵素によって大豆のタンパク質がアミノ酸(旨味)になりやすい35℃くらいの環境に味噌を置き、大豆の分解を促します。

それにより2か月~3か月と短期間で味噌を仕上げることができ、生産性も3~4倍に。

大量生産に向き安価で買えますが、乳酸菌や酵母菌が十分に繁殖する期間が取れません

そのため香りは弱く単調な味に仕上がる傾向があります。

自然醸造…

  • 自然の温度変化に任せた温度管理
  • 季節の寒暖差をうまく利用している
  • 完成までに6か月~1年かかるが、乳酸菌・酵母菌がしっかり繁殖する

温醸(速醸)…

  • 35℃前後の温度化で管理・たんぱく質の分解を促す
  • 2か月~3か月ででき、自然醸造の3~4倍の早さで仕上がる
  • 微生物が繁殖する期間が不十分、単調な味に仕上がる

温度ムラができづらい

人の身長を超えるような大きな味噌桶仕込みでは微生物の発酵熱により内側に熱がこもり、温度ムラが生じることがあります。

大きな仕込みの味噌では発酵熱で温度ムラができやすい

温度ムラが長く続くと温糠臭・焦げ臭といった不快なにおいが発生するため、通常は天地返しで温度ムラを無くします。

【参考】自家製味噌の食べごろは?天地返しはいつ?自家製味噌の封切りのタイミング

ただしこれは1トンなど大きな仕込みでの話なので、

家庭で作る漬物桶くらいのサイズでは体積が少なく発酵熱がこもる心配はありません。

そのため天地返しをしなくても不快臭の無いおいしい味噌に仕上がります。

温度ムラ…

  • 発酵熱により内側に熱がこもる
  • 糠臭・焦げ臭といった不快臭の原因に
  • 家庭で作る小仕込みなら心配はない

発酵が続く

スーパーの常温棚に陳列してある味噌は加熱・もしくは酒精添加で発酵を止めてあるタイプです。

市販の常温陳列の味噌は発酵を止めている

発酵を止めると品質が安定するメリットもありますが、加熱すると香気成分が揮発して香りは弱くなります。

それと比較して手作り味噌は加熱などせず、香気成分が残ったまま食べることができます。

発酵は進むので注意

ただし、発酵は続くので色と味がだんだんと重たく変化するので、

あまり味を重たくしたくない場合は小分けにして冷蔵保存すると発酵の進みが遅くなります。

市販のもので香気成分が残ってるものを選びたい場合は、非加熱で冷蔵陳列されているものを選びましょう。

発酵を止めない…

  • 市販で常温陳列されてる味噌は発酵を止める処理をしている
  • 品質が安定する一方で香気成分は少なくなる
  • 手作り味噌ならそのまま食べることができる
  • 発酵を進めたくない場合は冷蔵保管

まとめ

手前味噌がおいしいと感じる理由を4つに分けて紹介しました。

手作りの味噌が市販の味噌と違って感じるのには手作りゆえの理由があることが分かりました。

さらに各家庭ではそれぞれの配合があり、お互いの味噌の違いを楽しむというのも手前味噌の楽しみ方だったのかもしれません。

手作り味噌に興味を持たれた方はぜひこちらもご参考ください▼▼▼▼▼

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ワークショップを活用

いきなり自分で味噌を作るのはハードルが高い…という方はお住まいの地域で行われるワークショップに参加されるのも手です。

私も、ある程度まとまった味噌の仕込みは意外と力仕事なので、誰かと一緒にやるのをオススメしています。

その点ワークショップであれば大体の場合大豆や麹といった材料と保存容器を主催者サイドが用意してくれてるので、家族・友人を誘って気軽に参加しやすいのがメリット。

東京近辺ではainiというワークショップの検索サイトが便利です。

aini :東京都の味噌作り体験のワークショップ人気体験ランキング

https://helloaini.com/areas/tokyo/categories/workshop/tags/miso-making

東京以外であれば地域の名前+「味噌 ワークショップ」で検索してみてください。