日本の発酵食にとって切っても切れない関係にあるのが麹です
でも、麹そのものに触ったことがない人も多いと思います
もうちょっと細かく言うと、麹にも
- 甘酒に向いてる麹
- 味噌に向いてる麹
と目的によってそれぞれ最適の麹があります
こういった麹のギモンにこの記事ではお答えしつつ、ネットやスーパーで簡単に手に入るおすすめの麹6選について紹介いたします
▼▼▼▼▼この記事を書いた人▼▼▼▼▼
市販の麹は大きく2種類に分かれる
まずは市販の麹の種類についておさらいしておきます
麹には、乾燥麹と生麹の2種類があります

乾燥麹
できあがった麹に乾燥処理をして、水分を飛ばしたものを乾燥麹と呼びます
スーパーなどで売られているものの大半はこのタイプです
特徴として、水分が極端に少ないため傷みづらく、常温・長期保管が可能
保存期間はメーカーによりますが、おおよそ半年~1年間は持ちます
(開封後はしっかり密閉しておきましょう)
使う際は水で戻すだけなので、ふだん使いにはとても便利なのも大きな特徴
ただし、麹菌が生成する酵素のチカラは少し弱まると言われています
酵素のチカラが少し弱くなるとはいえ、ふだん使うぶんにはまったく問題ありません
乾燥麹のメリット・デメリット…
- 常温で長期保存が可能
- 水で戻すだけで使える
- 麹の酵素のチカラは少し弱いと言われている
生麹

生麹とは、できあがったそのままの状態の麹のこと
乾燥麹と比べると、栗香(くりか)と呼ばれる甘くほっこりした香りで甘味が強く、酵素のチカラも強いのが特徴です
反面、水分を含むので鮮度が落ちやすく、冷蔵か冷凍保存にて1ヶ月程度で使い切るのが一般的
冷蔵庫のスペースを取ってしまいますが、それでも麹特有の香りや味がしっかり感じられるので、好んで生麹を使う人も多いです
生麹のメリット・デメリット…
- 甘くてほっこりとした香り・甘味が強い
- 冷蔵か冷凍保存が必要
- 鮮度が落ちるので、1ヶ月くらいで使い切る
乾燥麹の使い方
先ほどお伝えしたように、乾燥麹を使うには水で戻す必要があります
メーカーによって分量はまちまちですが、だいたい乾燥麹に対して半分の水を足して、よく混ぜてふやかせばOK
例えば乾燥麹が200gなら、100ccの水で戻します
1時間程度するとフリーズドライから戻ったような、ふわふわと柔らかい状態に戻ります
乾燥麹の戻し方…
- 麹に対して半分の水をよく混ぜて、1時間程度おけば戻る
甘酒には60℃~70℃のお湯で戻して使う
乾燥麹に限らず、注意しておきたいのは雑菌による腐敗です
特に甘酒は塩麹や味噌のように塩の殺菌効果に守られておらず、発酵の最中はどうしても雑菌に弱いというウイークポイントがあります
そのため、甘酒を仕込む際には60℃~70℃に温めた水で麹を戻してあげましょう
麹+お米+水を混ぜた時に50℃~55℃くらいになるのが一番理想です
生麹を使う時も、あらかじめ冷蔵庫から出して常温に戻しておきましょう
こうすることによって、30℃前後の雑菌が繁殖しやすい温度帯を回避することができます
また、麹の糖化酵素がもっとも働きやすい55℃~60℃の温度帯にすばやく持っていく働きもあり一石二鳥です
また、水は煮沸した水、水道水を浄水器にかけたもの、ペットボトルの水など、清潔な水を使いましょう
甘酒を作るときの注意点…
- 甘酒には60℃~70℃に温めた水を使う
- すべてを混ぜた時に50℃~55℃になるのが理想
- 雑菌が繁殖しやすい温度帯を避ける効果がある
- 生麹の場合は常温に戻しておくと◎
- 煮沸した水か浄水など、清潔な水を使う

塩麹は常温の水でOK
塩麹を作る時には、塩の殺菌力が強いので常温の水で戻しても大丈夫です
ただしこちらも念のため、井戸水や湧き水などの生水は避けて、煮沸した水かペットボトルの天然水を使いましょう
煮沸や塩素消毒をされてない生水には雑菌が混入している可能性があるからです
塩麹を作るときの注意点…
- 水は常温でもOK
- こちたも清潔な水を使う



おすすめの乾燥麹
ここからはおすすめの乾燥麹について紹介いたします
①個包装で甘酒・塩麹に使いやすい:マルコメ プラス糀
マルコメ プラス糀は100gごとに個包装された使いきりタイプの乾燥麹、
1パックで甘酒ならだいたい400cc~600cc、塩麹なら350gくらいの量が作れます
そのため作りたいぶんだけを仕込みやすく、長期保存も効くので思いついたときに使える手軽さがとても便利です
Amazonの麹部門でもベストセラー1位を獲得!
おはようございます
— スタコジ|自宅製麹員 (@jitakuseigikuin) May 3, 2022
今日はあんこを作ります pic.twitter.com/faOdqqr7nL
マルコメ プラス糀がおすすめの人…
- 甘酒・塩麹を作りたい
- 麹はたまに使うくらい
- 1人~2人分あれば足りる
- ストックしておいて、思いついたときにサッと使いたい
イマイチの人…
- 味噌や漬物など一度にたくさん使う
- 家族の分までまとめて作りたい



②豊富な栄養素と素朴な甘さ:オーサワの有機乾燥玄米こうじ
米麹には玄米で作った玄米麹もあります
発売元のオーサワジャパンは、日本でいち早くマクロビオティック・玄米食を提唱した桜沢如一氏が創業した自然食品の取り扱いに特化した老舗企業です
玄米に由来する
- 食物繊維
- ビタミンB群
- フェルラ酸(抗酸化物質ポリフェノールの一種)
が豊富にふくまれるうえ、麹菌が玄米自体を分解し、有益な栄養素がより体に吸収されやすくなるという研究結果が出ています






玄米なのでプチプチとした食感があり好みが分かれるところですが、味はブラウンシュガーのような素朴な甘さがあり、
ヨーグルトやコーヒー・ココアに入れてもおいしく使えます


逆に、普通の米麹+玄米の組み合わせでも玄米甘酒を楽しめますよ▼▼▼



塩麹に使うには、できなくもないですが玄米の食感が残るのであまり向いてはいません
オーサワの有機乾燥玄米麹がおすすめな人…
- 甘酒・味噌に使いたい
- 玄米の高い栄養価に興味がある
- 食物繊維を積極的に摂りたい
- プチプチとした食感を楽しみたい
- ブラウンシュガーのような素朴な甘さが好き
イマイチな人…
- 玄米のプチプチとした食感が苦手
- 甘酒はスッキリとして白いのがいい
③甘酒に最適:あめこうじ
麹をより白く、より甘く
をコンセプトに、秋田県の産業技術センターで開発された麹菌を使って作られるのがあめこうじです
特別に開発された麹菌は、通常の麹菌の約2倍の糖化力を持ちつつ、雑味の元となるアミノ酸が少ないという甘酒のスペシャリストともいえる特徴を持ちます
そのためスッキリしているのに濃い甘味が際立ち、
そのまま飲むのももちろん、料理やお菓子で精製糖を避けたい人にもおすすめです
こちらは楽天市場の麹部門*で第1位を獲得するほどの実力派!
(*2021年時点のランキング)



おはようございます
— スタコジ|自宅製麹員 (@jitakuseigikuin) May 9, 2022
甘酒切らしてたのでこれでサッと作っちゃう pic.twitter.com/LkWwaTLVR7
あめこうじ がおすすめの人…
- すっきりとした甘さの甘酒を作りたい
- 砂糖の代わりに甘酒を使いたい
- 普段から甘酒を好んで飲んでいる
イマイチの人…
- 甘さにそこまでこだわらない
- できれば生麹を使いたい
おすすめの生麹
生麹は乾燥処理をしていないぶん風味が良く、麹の酵素も乾燥麹より強いと言われています
ただし、ネットで購入の場合は生鮮食品同様にクール送料が必要です


なので、500g~1000gくらいの小口の注文では送料の方が高いなんてことがよくあります
そのため、ネットで生麹を購入するなら
- 味噌や漬物用に、一度にたくさん使う
- 冷蔵庫(冷凍庫)に余裕がある
という場合がおすすめです
ネットで生麹を購入するときは…
- クール送料が必要
- 小口注文だと送料のほうがかかってしまうことが多い
- おすすめは味噌や漬物など、一度にたくさん麹を使うときに注文
- または冷蔵庫(冷凍庫)に余裕があるとき
④一粒に味が凝縮:卑弥呼醤院 自然栽培米こうじ
ネットで生麹を注文すると、どうしてもクール送料がかかってしまいますが、そのぶんこだわりのある麹が入手できます
熊本県にある卑弥呼醤院さんで作られる麹は九州産の自然栽培米を使用
自然栽培の特徴には
- 環境負担が少ない
- 収量が少なめ
などが挙げられますが、味の面で私個人が注目してるのは「収量が少なめ」の点です
私も蔵人経験の中で有機栽培や農薬不使用の田んぼに何度か入ったことがありますが、
農薬や除草剤に守られてない田んぼは雑草や虫の影響を受けやすく、どうしても収穫量は少なくなりがちです
しかしそのぶん、稲の味や栄養がお米のひと粒に凝縮しやすい傾向も感じます


実際、自然栽培米の麹をそのまま食べてみると味がしっかりと濃く、噛むほどに甘味が出てきます
ちょっとこだわりの材料でいい味噌・おいしい甘酒を仕込みたい人にぜひおすすめの麹です
卑弥呼醤院 自然栽培米麹がおすすめの人…
- しっかり味わいのある麹を選びたい
- こだわりの材料でちょっといい味噌、おいしい甘酒を作りたい
- 甘酒・味噌・塩麹と幅広く使いたい
イマイチの人…
- 麹にそこまでこだわらなくていい
- 冷蔵庫を圧迫されるのがイヤ
⑤味噌に最適:マルマン醸造 生こうじ
マルマン醸造の生こうじは強力山吹菌という甘味・うま味を強く引き出す麹菌が使用された生麹です
たんぱく質をうま味成分であるアミノ酸に分解する力が強いので、たんぱく質豊富な大豆のうま味をしっかり引き出してくれます
そのため、味噌に非常におすすめ!


一度に大量の麹はいらないという人もいらっしゃるでしょうが、
1キロずつの量り売りにも対応してくれるので、味噌を仕込む時期に必要な分を注文すれば冷蔵庫を圧迫することもありません
味噌に必要な麹の量はこちらを参考にしてください▼▼▼



マルマン醸造 生こうじがおすすめの人…
- 塩麹・味噌を仕込みたい
- それも、ある程度まとまった量を仕込む予定
- 大豆のうま味をしっかり引き出したい
イマイチの人…
- 一度にたくさんの麹はいらない
- すっきりとした甘さの甘酒を作りたい
⑥クエン酸の爽快な酸味:おたまや 黒麹
黒麹はもともと泡盛・焼酎に使われていた麹菌で、クエン酸を多く生成します
黒麹についてのより詳しく知りたい方はこちらをご参考ください▼▼▼



そのため黒麹をそのまま食べてみると酸っぱく、甘酒にしても爽やかな酸味を楽しむことができます
酸っぱいだけでなく、普通の麹と同じくちゃんと甘味も出ます
豆乳+バナナ+氷とミキサーにかけてスムージーに最適!
黒麹を使ったスムージー


- バナナ 1本
- 氷 30g
- 豆乳 100cc
- 黒麹甘酒* 80g
(*甘酒は通常の麹と一緒の作り方)
材料を氷対応のミキサーにかけて、よく混ざれば完成
欠点は汚れやすいところ
爽やかな酸味が特徴の黒麹ですが、触ると一番の特徴である黒い菌糸が指やキッチンを汚しやすいのが欠点


黒麹で甘酒を作っているところ
また、その色ゆえどうしても仕上がりが黒くなってしまいます
甘酒が黒くなるのが嫌な人は、黒麹の変異株である白麹がおすすめです
見た目は普通の麹と一緒ですが、黒麹同様に豊富なクエン酸を含んでいて、甘酒が黒くなりません
おたまや 黒麹がおすすめの人…
- クエン酸の爽快な酸味が欲しい
- さっぱりとした甘酒スムージーが飲みたい
イマイチの人…
- 酸っぱいのが苦手
- 甘酒が黒くなるのがイヤ
- 黒い菌糸でキッチンを汚したくない
(白麹なら黒くならず、キッチンも汚れません)











