塩麹とチーズの相性は?モッツァレラチーズの作り方

モッツァレラチーズは意外と簡単に家庭で作れます。
正確にはモッツァレラチーズは水牛の乳が原料ですが、市販の牛乳でもOKです。

ただし、使う牛乳には1つだけ条件があります。
- ノンホモ・パス牛乳であること
ノンホモ?パス?なにそれ…?
耳慣れない言葉に感じる方もおられるかもしれません。
ノンホモ・パス牛乳が何かとざっくりというと、
しぼったそのままに近い状態の牛乳のことです。
この記事では、
について解説いたしします。
一般的な牛乳でもカッテージチーズ(ソフトチーズ)のようななめらかなタイプは作れますが、
モッツァレラチーズのように弾力があるチーズにはノンホモ・パス牛乳が必要です。
その理由は後述するとして、
まずは意外と簡単にできるモッツァレラチーズの作り方から紹介します。
▼▼▼▼▼この記事を書いた人▼▼▼▼▼

- ノンホモ・パス牛乳 3000ml
- 米酢(穀物酢でもOK) 200ml
- 濃度14~15%の塩水 約1000ml (水1000ml+塩160g)
使う道具…
- 鍋
- 温度計
- ザル
- 寿司桶(ボウルでもOK)
- 耐熱ヘラ×2
- 食品用手袋
- 90℃の湯 約3ℓ
- 氷水 約2ℓ
乳を温める
牛乳を鍋にあけ、中火で混ぜながら63℃~65℃まで温めます。

※…写真では見やすくするため、材料の1/3の1000mlずつ作りました。
お持ちの鍋の容量に余裕があるなら一度にやってしまってOKです。
酢を加えて濾す
この状態で酢を加えて1分ほど混ぜると、
牛乳がカード(凝乳)とホエー(乳清)に分離するので、ザルに濾してカードを取り出します。

ホエーもおいしく再利用できるので、捨てずにとっておきましょう。
湯で練る
寿司桶に90℃の湯とカードを入れ、
ヘラを使ってカードを折りたたむようにこねていきます。
こねることでカードに含まれる余分なホエーを取り除きます。

容器はボウルでもいいですが、
寿司桶だと木目が適度な抵抗になってこねやすいのでオススメです。

ちぎって冷やす
こねて弾力が出てきたカードを手に取り、更にこねると表面がつるんとしてきます。

お湯が冷めそうなら、湯を足して温度を保ちます。
湯が熱いので手袋をしてやりましょう。
手袋の内側に布手袋をしておくと熱さが和らぎます。


つるんとしてきたら片方の人差し指と親指で握って、押し出すようにやさしく千切ります。
ブチッと引き抜くようにすると断面が荒くなり、
そこから乳の味が逃げてしまうので注意が必要です。
やさしーく、摘み取るように千切ります。
氷水に漬ける
丸めたカードを氷水で冷やし、成型。
冷やすことで特有の弾力が生まれます。

塩水に浸けて完成
しっかり冷えたら塩水に20分ほど漬けて味付けをして、水を切ったら完成です。

あまり日持ちはしないので、
冷蔵保存で1週間を目安に食べきります。
ラップにくるんで冷凍すればひと月はOKです。
塩麹に漬けてもGOOD
塩水の代わりに塩麹もオススメです。
適度に水分が抜けて乳の旨味が引き立ちます。
ビニール袋にチーズとひたる程度の塩麹を入れて一晩漬けることで塩麹の旨味も加わります。

紅色のは梅麹。梅酢の程よい酸味がよく合います。
梅麹についてはこちらをご参考ください▼
https://jitakuseigiku.com/umekouji/ノンホモ・パス牛乳とは?
冒頭でも触れたようにノンホモ・パス牛乳とはざっくりというと、
しぼったままに近い状態の牛乳のことです。
一体どのようなものなのか、
ノンホモとパスに分けてそれぞれ解説いたします。
ノンホモ=ノン・ホモゲナイズド
ノンホモとは、ノン・ホモゲナイズド(又はホモジナイズド)の略で、
ホモゲナイズドとは乳脂肪分の大きさを均一にする処理のことです。
一般にホモゲナイズド処理と呼ばれます。
語源はギリシャ語のホモ(均一の、同一の)とヘテロ(不均一の、異種の)に由来します。
牛から搾ったばかりの乳は脂肪分の大きさが不均一なので、
そのままだとクリームとホエーに分離してしまいます。

これを防ぎ、製品としての品質を安定させるのがホモゲナイズド処理です。
前置きが長くなりましたが、ノンホモとは乳脂肪分の均一処理をしていない牛乳を指します。
ノンホモが必要な理由
ホモゲナイズド処理により、乳脂肪分は約7~8ミクロンから約1ミクロンの大きさに変化します。
しかし、チーズを作る上では脂肪分が小さすぎてチーズが固まらないデメリットとなります。
そのため乳脂肪分がまとまりやすいノンホモ牛乳を使う必要があるのです。
パス=パスチャライズ
続いてパスとはパスチャライズ処理のことで、日本語だと低温殺菌法と呼ばれます。
1865年に低温殺菌法を開発したフランスのルイ・パスツールに由来し、
牛乳の場合だと63℃で30分間、もしくは72℃で15秒間の加熱殺菌のことを指します。
味と香りも低温殺菌で処理する方が変化が少なく、より生乳に近い状態を味わえます。
対して、一般流通する牛乳は生産コストとより高い安全性のため、
120℃~130℃で3秒間の高温殺菌処理が主流です。
パスチャライズが必要な理由
チーズの元となるカードは乳たんぱく質の一種であるカゼインと乳脂肪分から成ります。
カゼインは80℃以上の熱で熱変性を起こし、分子の立体構造が崩れます。
熱変性は不可逆性(元に戻らない)のものです。
加熱した卵が生の状態に戻らないのが身近な例ですね。
そのため、120℃~130℃の高温殺菌した牛乳ではカゼインが熱変性で崩れるのが原因で、カードがまとまりません。
高温殺菌の牛乳でも、
布で濾して作るカッテージチーズ(ソフトチーズ)であれば作れます。

しかし、弾力が特徴のモッツァレラチーズには適しません。
これがパス牛乳がモッツァレラチーズ作りに必要な理由です。
表記をよく読んでみる
ノンホモ牛乳の多くはパッケージに「ノンホモ」と表記されてることが多いのですが、

中にはあまり大きく書いていないものもあります。

手に取ることが可能であれば、
表記をよく読んで、
「ノンホモ」
「65℃30分殺菌」または「72℃15秒殺菌」
といった記載があることを確認しましょう。
ノンホモ・パス牛乳の入手方法
あとは入手方法です。
自然派食品店や品揃えの良いスーパーで購入
まずはお住まいの近くの自然食品を扱うお店や、品揃えの良いスーパーなどを探してみましょう。
ノンホモ・パス牛乳自体は手頃なものだと1リットルあたり300円台で購入できるので、
敷居の高いものでは決してないのですが、どこのスーパーでも売っているようなもので入手には少し手間取るかもしれません。
ネットなら確実に見つかる
もし無いようであればネット購入が確実です。

この時も商品の詳細をよく読んで、「ノンホモ」「65℃~72℃殺菌」であることを確認しましょう。
おすすめはふるさと納税を活用
1リットルのノンホモ牛乳からとれるモッツァレラチーズは、およそ100グラムです。
(本来の水牛の乳だと約3倍の300グラムはとれます。水牛の乳の方が乳脂肪やたんぱく質の含有量が多いためです。)
ある程度まとまった量のチーズを作るには、ノンホモ牛乳も3リットル程度必要になります。
そこで、ふるさと納税の利用を検討するのもいいでしょう。
実質の負担額は2000円、
冷蔵配達の送料を加味して考えても、かなり有効な手段です。

残ったホエーの活用法
チーズを作った後にはホエー(乳清)が残ります。
ホエーは水溶性のたんぱく質と乳糖を豊富に含むうえ、
ノンホモ・パス牛乳のホエーであれば生乳に近い濃厚なミルク香も楽しめますので、ぜひ捨てずに利用しましょう。
上澄みでサワークリーム
ホエーを一晩冷蔵庫に入れておくと白いクリームが浮いてきます。

これをすくってミキサーで根気よく混ぜ、
大体5~10%くらいの砂糖でお好みの甘さに調節すると、
爽やかな酸味のサワークリームができます。
ホエーの水キムチ
塩もみ野菜にホエーを入れれば水キムチが完成。
一晩冷蔵庫に寝かせてからどうぞ。

すぐに食べてもフレッシュでおいしいですが、
塩がなじんだ2~3日後からも食べ頃です。
1週間程度を目安に食べきりましょう。
- お好きな野菜 (白菜・大根・キュウリ・トマトなど) 500g
- リンゴ 1/2個
- にんにく 1かけ
- 鷹の爪 1かけ
- 塩 大さじ1
- ホエー150cc
ホエー甘酒
ホエーと甘酒(濃縮タイプ)を2:1で割っても美味しく飲めます。
朝のたんぱく質・ブドウ糖補給に効果的です。
ホエーにしっかりコクがあるので、
お好みでイチゴやトマトを加えてスムージーにしてもおいしく飲めます。

- ホエー 100cc
- 甘酒(濃縮タイプ) 50cc
- お好きなフルーツ・野菜(イチゴ・バナナ・トマトなど) 80g




