発酵食でやっちゃいけないこと4選+パストリーゼを効果的に使う方法
このブログでは安全に発酵食を作り、楽しむをモットーに、色々な発酵食の作り方を紹介しています。
この記事では発酵食を手作りする時に食中毒などを防ぐため、絶対にやっちゃいけないことをまとめました。
結論からいうと、手作り発酵食でやっちゃいけないことは以下の4つです↓
やっちゃいけないこと
- 手を洗わない
- 道具を洗わない・分けない
- 塩を減らす
- いきなり口に運ぶ
どうしてやっちゃいけないのか、順を追って解説いたします。
また、発酵食品に直接使える消毒スプレーとしてパストリーゼがおすすめです。
消毒スプレーには効果的に使う方法がいくつかありますので、そちらもあわせて紹介いたします。
発酵食品に興味がある人だけでなく
食中毒を避け、食事を安全に楽しみたい人の役に立ちますので、ぜひ参考にしてみてください。
▼▼▼この記事を書いた人▼▼▼
発酵食は腐敗と隣り合わせ
発酵食には絶対に避けないといけないこと、それは腐敗です。
発酵と腐敗は人間に有益かどうかで分かれるので、菌の繁殖が行われるという点で発酵と腐敗はいつも隣り合わせの状態にあります。
日本の発酵食は比較的安全に作れるものが多い
味噌や醤油に代表される日本の発酵食は塩を多用して塩分濃度を上げ、一般家庭でも比較的安全に作れる発酵食が多いのが特徴です。
- 塩麹
- 醤油麹
- 味噌
- 醤油
- ぬか漬け
…etc
これらは塩の殺菌力を利用して雑菌の繁殖を防ぎ、人間にとって有益な菌だけを利用して作られます。
だからといって腐る可能性はゼロじゃない
ですが、だからといって絶対に腐らないわけではありません。
正しい作りかた・保存のしかたを知っていないと、せっかく作った発酵食が腐ってダメになってしまうことだって十分にあり得ます。
発酵を学ぶ重要性についてはコチラをどうぞ↓
食品の消毒には消毒スプレーが効果的
冒頭でも紹介しましたが
食品に直接使える消毒スプレーとして、パストリーゼがおすすめです。
発酵アルコール、緑茶抽出物、乳酸ナトリウム、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、精製水
殺菌成分はサトウキビや緑茶などの食品由来で、エステル(乳化剤)も食品添加物として安全性が認められています。
小さなお子さんや赤ちゃんがいるご家庭でも使え、スプレー後の洗い流しや二度拭きの手間もいらないので使い勝手がいいのが特徴です。
パストリーゼを効果的に使う方法
食品にも直接使えるパストリーゼですが、
最大限効果的に使うには以下の条件が必要です↓
乾燥した状態で使う
アルコールの殺菌効果がもっとも高くなる濃度は70~80度ほどだといわれています。
パストリーゼのアルコール濃度も77度に設定されていて、そのまま使うのがもっとも効果的です。
そのため水で濡れたところにスプレーするとアルコール濃度が下がり、殺菌効果が薄まります。
使用時には手や道具が必ず乾いた状態で使用すると効果的です。
パストリーゼのデメリット
ただし、以下の点には注意が必要です。
- 飲用ではない
- 火気の近くでは使用しない
- アルコールで変色・溶解するものには使えない
飲用ではない
いくら食品に直接使えるとはいえ、飲むことはできません。
消毒用アルコールはアルコール度数が高く設定されているので、飲用することで血中アルコール濃度が急激に上がり、急性アルコール中毒の危険があります。
また、商品によっては香料など食品以外のものが添加されてる場合もあるので、基本的に消毒用アルコールは口にするべきではありません。
火気の近くでは使用しない
製品の性質上、アルコール度数が高く、引火しやすい性質があります。
なのでコンロやコンセント、電子機器類の近くでは使用できません。
アルコールで変色・溶解するものには使えない
アルコールには溶解作用があるので、フローリング・皮製品・樹脂・塗装などに使用すると色落ちの原因になるので使用できません。
腐敗のデメリットをおさらい
そもそも、なぜ腐敗は避けないといけないのかをおさらいすると、以下の2つの理由です。
- 味と香りが大きく落ちる
- 食中毒のリスクがある
腐敗のデメリット①:味と香りが大きく落ちる
腐敗が起こると、せっかく作った発酵食の味を香りを大きく損ねてしまいます。
例えばカビ菌が出すカビ臭は、人間の嗅覚でも最も敏感に感じ取りやすいにおいのひとつで、少量発生するだけでも強く感じます。
人間が進化の上で、危険な臭いに対して敏感になった結果だといわれてます。
・トリクロロアニソール(カビ臭) (オフフレーバー研究会 )
・悪臭に関わる苦情への対応 (公益社団法人におい・かおり環境協会 岩崎好陽)
腐敗のリスク②:食中毒のリスク
味と香りが落ちるのならまだマシですが、場合によっては食中毒など命に関わる事態に発展するケースも珍しくありません。
発酵食で起こる食中毒の多くは、目的外の雑菌やウイルスが入り込み、繁殖することで起こります。
このような事態は絶対に避けなければいけません。
・自家製飲料や発酵食品が関係した食中毒事例 (食品衛生なんでも相談室)
・食中毒統計資料 (厚生労働省)
腐敗を防ぐ基本は、つけない・増やさない・やっつける
雑菌・ウイルスの繁殖を防ぐためには、作るタイミング・保存のタイミングでそれぞれ注意が必要です。
雑菌を増やさない基本は、つけない・増やさない・やっつけるの3つです。
- つけない
…容器・道具をしっかり洗い、消毒する - 増やさない
…正しく保存して、雑菌を繁殖させない - やっつける
…塩やアルコールなどを活用して、殺菌力を高める
手作り発酵食でやっちゃいけないこと4選
このつけない・増やさない・やっつけるの3つを踏まえて、冒頭でもお伝えしたこの4つはやるべきではありません。
- 手を洗わない
- 道具を洗わない・分けない
- 塩を減らす
- いきなり口に運ぶ
①:手を洗わない
まずは手洗いです。ホントのホントに基本的なことなんですが、手を洗うのはめちゃくちゃ大事です。
ご存知のように手の表面には多くの雑菌が生息していて、多くの食中毒は人の手を介して病原菌が食事に侵入することで起こります。
そのため、食材を触る・道具を触る前には必ずハンドソープで手を洗いましょう。
時間をかけて2度洗いが効果的です!
少しボリュームがありますが、こちらの資料が手洗いの重要性を網羅的に示してくれているのでぜひご参考ください↓
・食中毒予防のための 衛生的な手洗いについて (公益社団法人 日本食品衛生協会)
②:道具を洗わない・分けない
手洗いも大事ですが、道具をしっかり洗って清潔に保つこともとても大事です。
使う容器や道具は中性洗剤で洗い、しっかり乾かしてから使いましょう。
耐熱ガラスやホーローなど、可能であれば煮沸消毒をするとより安全です。
すき間までしっかり洗う
容器のすき間に残ってた汚れや食べ残しから雑菌が入り込み、腐敗にいたることも少なくありません。
一見キレイに見える道具でもよく見たら溝やパッキンに汚れが残ってたことってありませんか?
パッキンが外せるタイプの容器なら外して洗い、溝のすき間までしっかり洗える小さめのブラシがあると便利です。
まな板・ふきんは分けて使う
特に生肉・生魚を扱う場合にはまな板やふきんをそれぞれ分けて使いましょう。
まな板は包丁でできた溝に汚れや菌が入り込みやすので、使用後はキッチンハイターでの消毒が便利です。
プラスチックやビニールなど、熱に弱い素材であればホワイトリカーや食品用アルコールをスプレーして殺菌を心がけましょう。
食材もしっかり洗う
食材自体にも天然の菌が付着していることがあるので、洗って問題ないものであればしっかり洗いましょう。
しっかり汚れを落としつつ食材の鮮度も保てるヒートショックがおすすめです。
③:塩を減らす
手作りでよくやってしまいがちなのが、減塩を意識して塩の分量を減らしてしまうことです。
発酵食を手作りする方は、もともと健康志向の高い方でしょうから気持ちはわかるのですが、おすすめはできません。
塩を減らすと殺菌力が低下する
なぜなら、塩を減らすとそのぶんだけ食品の塩分濃度が下がり、殺菌力が低下してしまうからです。
そのため塩を減らして作るよりも、食べる時の塩分量を調節するようにしましょう。
例えば、ミネラル豊富な天然塩を使えば精製塩よりも味わい深く、少量でも満足感の高い味に仕上がります。
④:いきなり口に運ぶ
発酵食作りに慣れてくると、色々と作りたくなってきますよね。
四季折々の食材を使って、完成を心待ちにする。もの作りの楽しさに溢れる瞬間です。
ただ、これだけは覚えておいてください。
前回成功したからといって、次も必ず成功するとは限りません。
見た目・味をよく確認する
発酵食が完成して封を切るタイミングでは、いきなり口に運ぶのではなく、
これらに異常がないか確認をしましょう。
家族や友人におすそ分けをする時には特に!です。
発酵の敵は目に見えない細菌やウイルスです。気をつけすぎて足りないということはありません。
特に見た目で異常が分かりづらかったり、生の肉や魚を使用する発酵食には特に気をつけましょう。
デメリットばかりじゃない、手作りのメリット
ここまでプレッシャーをかけるような内容ばかりでしたが、手作りは決して悪いことばかりではありません。
ここからは手作りのメリットについても紹介します。
手作りするとおいしい
手作りの発酵食はとてもおいしく感じられます。
自分で仕込んだという愛着もそうですが、
例えば味噌なら乳酸菌・酵母菌によって生まれる風味があり、これは熱処理・殺菌処理された味噌では決して味わえないものです。
自家製シロップなら自分好みのフルーツを使って、生の果実まるごとの味と香りを楽しめます。
これは市販のジュースでは決して出せない味です。
毎日減っていくレモネードシロップ、
— スタコジ|自宅製麹員 (@jitakuseigikuin) April 22, 2022
このままだと夏までもたないと気づく(今更)
足りなかったら…その時ある柑橘類で作ればいい😁
今回は少し奮発してデコポンにしました🍊🍊🍊 pic.twitter.com/ZhJWYAdknk
おはようございます
— スタコジ|自宅製麹員 (@jitakuseigikuin) June 5, 2022
昨日の梅仕事です
右は梅シロップ、
左は梅味噌(砂糖なし)を仕込みました(^^)
梅干し用のは追熟中… pic.twitter.com/8odxDf63Gx
手作りは楽しい
自分で素材を選んで、丁寧に仕込んで、完成を心待ちにする…
これは手作りする人だけが味わえる手作りの醍醐味ではないでしょうか。
また味噌を例えに出しますが、大豆を蒸して、潰して、混ぜる…味噌はけっこう重労働な作業も多いので、昔は味噌作りは家族親戚・ご近所総出で仕込む一大イベントでした。
大変な作業だからこそ、大人数で分担して、おしゃべりしながら・お茶をしながら仕込むのが一般的でした。
しかし、そこまで大人数でなくても、家族や友人と一緒に強力して味噌を仕込む時間というのも素敵な時間です。
季節感を味わえる・季節の食材を1年中楽しむ
発酵食はもともと食材の保存性を高めるために発展してきたものです。
そのため、1年のうちに限られた時期にしか作れないものだって沢山あります。
季節の食材を通して季節感を感じ、1年中いつでも味わいを楽しめるのも発酵食の大きな魅力のひとつです。
今日は梅仕事!
— スタコジ|自宅製麹員 (@jitakuseigikuin) June 5, 2022
この時期の青物っていいですね😚 pic.twitter.com/2tlwVafhEl
【葉山椒の塩麹和え】
— スタコジ|自宅製麹員 (@jitakuseigikuin) May 18, 2022
梅雨前の今の時期、葉山椒を見かけたらぜひ塩麹と合わせてみてください😙
〈材料〉
・葉山椒 10枚くらい
・塩麹 大さじ2くらい
〈作り方〉
・葉山椒の枝をとり、葉を細かく刻む
・塩麹とよく混ぜれば完成
(ざっくり葉山椒1に対して塩麹2くらいの分量になればOK) pic.twitter.com/P2GDgFbcMH
まとめ:正しい殺菌で発酵食を楽しもう!
発酵食を手作りするというのは楽しく、おいしくて、とてもおすすめです。
しかし同時に、腐敗と常に隣り合わせにあります。
そのため、腐敗を防ぐための知識や準備というのも手作り発酵食にとって非常に大事なことです。
冒頭でもお伝えしましたが、味噌や塩麹などは正しいやりかた、正しい分量で仕込めばかなり安全に作れる発酵食です。
あまりにも気負いする必要はありませんが、大事な体や健康を腐敗・食中毒から守るために必要なことです。
ぜひ参考にしていただいて、おいしく楽しい手作り発酵食をエンジョイしていただけたら嬉しいです!