手で混ぜる?混ぜない?氷砂糖を使う理由は?失敗しない酵素シロップの作り方

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今回は手作りの定番、酵素シロップの安全な作り方について解説いたします
「酵素」と名前がついてることで色々とギモンを持たれやすい酵素シロップですが、
この記事では初めての方でもわかりやすく、そのおいしさやメリットについて深堀りしてますので、ぜひ最後までお付き合いください
酵素シロップって?
酵素シロップとは、カットしたフルーツや柑橘類を砂糖と一緒に漬けて作るシロップのことです
毎日減っていくレモネードシロップ、
— スタコジ|自宅製麹員 (@jitakuseigikuin) April 22, 2022
このままだと夏までもたないと気づく(今更)
足りなかったら…その時ある柑橘類で作ればいい😁
今回は少し奮発してデコポンにしました🍊🍊🍊 pic.twitter.com/ZhJWYAdknk
昔から一般家庭で作られていて、青梅などで作られたシロップを飲んだことがある方も多いのではないでしょうか
最近の健康ブームで果実の持つ酵素に注目が集まり、酵素シロップとか酵素ジュースという名前で呼ばれることが多くなりました
酵素の効果って?
ちなみにですが、私個人としては酵素とかあまり気にしていません
なぜなら酵素はたんぱく質なので、胃液で溶かされ失活(しっかつ:効力を失うこと)します
つまり、消化を助ける酵素をどれだけ摂っても胃から先は効果を失います
この辺については約90年の老舗企業である大高酵素さんがより詳しく解説されています
…(中略)
食材のもっている酵素類は、調理の過程で使われたり壊れたりするものですし、酸性の強いところでは活性が失われ、胃酸でほとんどが破壊されてしまうものです。
仮に、腸まで通り抜けても、大きすぎて腸管から吸収されることはありません。
…(中略)
大高酵素公式ページ内 教えて!酵素のギモン より抜粋
酵素についてはこちらの記事でより詳しくまとめていますのでぜひご参考ください▼▼▼

それでも酵素シロップを作る理由
でも私自身は酵素シロップは毎年欠かさず作ります
理由は、単純においしいから
夏になると炭酸水で割ってレモネードにするとめちゃくちゃおいしくて、家族にも好評です


キッチンでレモネードを作ってると、炭酸を開けた音で子供達が寄ってきます(笑)
普通のジュースでは味わえないフルーツや柑橘の味と香り、作る価値は大いにあります
酵素シロップの作り方
【必要な道具】
- 密閉できる耐熱ビン(容量2ℓ以上)
- ビンが入る程度の鍋
【材料】
- お好みのフルーツ・柑橘類 500g
- 氷砂糖 550g (フルーツ1に対して砂糖1.1倍の量)
瓶を煮沸する
耐熱ビンを中性洗剤で洗い、水を張った鍋に入れて火にかけます
湯が沸いたら5分~10分程度煮沸消毒をして、火を止めてください
いきなり湯に入れると、耐熱ビンとはいえ割れることも。
必ず水から入れて湯を沸かしましょう。
ヤケドに注意しつつビンを取り出し、しっかりと自然乾燥させます
フルーツは何でもOK
お好みのフルーツを適度な大きさにカットします
フルーツは何でもOKですが、砂糖に漬けることを考えるとレモンやスダチ、パイナップルなど酸味のあるものを選ぶと味のバランスが良くなります
酵素シロップに適したフルーツ…
- レモン・すだち・ライムなど柑橘類
- パイナップル
- キウイ
- リンゴ
- ざくろ
- イチゴ・ブルーベリー・ラズベリーなどベリー系
…など、酸味があると味のバランスが良くなる
ブレンドしてもOK
単品でなく複数のフルーツをブレンドするのもアリです
特にメロンやマンゴーなど、酸味が少ないものは酸味が強いのと一緒に入れるとバランスが良くなりおいしいですよ
- メロン+レモン+ラズベリー
- マンゴー+パイナップル+シークワーサー(南国ミックス風)
- 巨峰+ブルーベリー+レモン(赤ワインコンポート風)
フルーツは生の方が風味がいいですが、時期などで手に入らない場合は冷凍でもOKです




フルーツをカットする
キウイやパイナップルなど、皮をむくものは通常通り皮をむいてカット
レモンやリンゴ、ナシなどを皮ごと使いたい場合は、50℃の湯でヒートショックを加えると腐敗防止に役立ちます





果実と氷砂糖を交互に入れる
乾かしたビンに底からフルーツ→砂糖→フルーツ→砂糖と交互に入れていきます




必ず一番上が砂糖になるようにしてください
重石の効果と、溶け出た濃糖でカビ防止の効果があります
定期的によく混ぜる
フタをして、砂糖が溶け切るまで置けば完成
たまにビン全体をゆすってあげましょう。砂糖が溶けるのを助け、カビなど腐敗の防止になります
混ぜる頻度は使う砂糖の種類で変わります
氷砂糖はたまに混ぜる
氷砂糖は見ためのとおり粒が大きく、溶けるのに約1ヶ月ほどかかります
たまに(週に1回程度)様子を見て、フタを閉めたまま容器ごとゆすってよく混ぜましょう


溶けづらいぶん完成までに時間がかりますが、ゆっくりと果実のエキスをシロップに溶かし出すことができます
青梅や柑橘類など、皮が固い果実のエキスが溶け出るまでに時間がかかるので、氷砂糖を使ってゆっくり溶かしてあげるとちょうどいい塩梅のシロップに仕上がります
氷砂糖の特徴…
- 溶けるスピードが遅い
- 溶け切るまで約1ヶ月かかる
- 青梅や柑橘類など、エキスの出づらい皮つきの果実と相性がいい


粉砂糖は1日1回混ぜる
氷砂糖ではなく粉砂糖を使う場合もあります
粉砂糖の方が氷砂糖より粒が小さく、早い場合は1週間程度で溶け切って完成します
そのため皮の厚い青梅や柑橘類よりかは皮をむいてカットしたフルーツの方が相性が良いです


底に溜まった砂糖をしっかり混ぜる
ただし、粒が小さいので容器の底に溜まりやすいのが欠点
砂糖がしっかり混ざらないと腐敗の原因にもなります


そのため、容器の底まで届くスプーンで1日1回しっかり混ぜるようにしましょう
スッキリとした上白糖・グラニュー糖
上白糖もグラニュー糖も、90%以上がショ糖です
甘さはスッキリとしてクリア、フルーツの味と香りをストレートに楽しめます
コクのあるてん菜糖
てん菜糖はミネラル分が多く、コクやうま味を残した砂糖です
そのためシロップの出来もコクがあり、ラム酒や黒蜜のような風味が楽しめます
この辺はお好みですので、使いたい砂糖を使いましょう
粉砂糖の特徴…
- 溶けるスピードが早い
- 溶け切るまで1週間程度
- 皮をむいてカットしたフルーツと相性がいい
- スッキリした上白糖・コクのあるてん菜糖
酵素シロップのメリット
フルーツを砂糖で漬けるメリットは以下の2つです
- 保存が効く
- 栄養が丸ごと摂れる
①保存が効く


食べ物が痛む原因のほとんどは水分が原因です
砂糖が溶けるのと同時に、浸透圧によってフルーツの水分を奪うことで保存性が上がります
②栄養が丸ごと摂れる


たとえば柑橘類はたいていは皮を捨ててしまいますが、砂糖に漬けることですべて食べることが可能に
ビタミンや食物繊維など有益な栄養素もまるごと摂れるほか、リモネンなど皮に多く含まれる香り成分がシロップに溶け出るので、フルーツそのままの風味を楽しむことができます
Q:素手で混ぜたほうがいい?
酵素シロップの作り方では、よく素手で混ぜる作り方が紹介されています
手の表面にいる乳酸菌や天然酵母菌などをシロップに加えるのが目的です
A:注意点はあるが、どちらでもOK
結論から言うと、素手でもスプーンなど道具で混ぜてもどちらでもOKです
乳酸菌などを加えて、あえて発酵食特有の酸味・風味を出したい方は素手で混ぜるといいでしょう
2022年6月追記
素手とスプーン、どちらでもOKと紹介していましたが、さらに調べるうちに消費者庁が素手で混ぜて作る酵素ジュースは衛生面問題があるという見解を示した旨の記事を見つけました
これを踏まえて、衛生面での安全性を考慮して当ブログでの紹介も清潔なスプーンなどで混ぜる方法を紹介させていただきますこと、お詫びして訂正いたします
A:氷砂糖は容器ごとよく振ればOK
氷砂糖で重石をしておくと、フルーツの表面が溶けだした砂糖で覆われて傷みづらくなります
そのため先述したように、週に1回程度カビがないことを確認して、容器をよくゆすって全体を混ぜ込んであげればOKです
フタを開けて混ぜる必要はありません
A:粉砂糖は清潔なスプーンなどでよく混ぜる
粉砂糖の場合、こちらも先述したように容器の底に溜まりやすいので、底まで届く長さのスプーンで1日1回は混ぜるようにしましょう
スプーンも食中毒を防ぐため、毎回中性洗剤で洗い、しっかり乾かしてから混ぜます
(食中毒を避けるために気をつけたい菌についてはこちらもご参考ください▼▼▼)
・【注意】これだけは覚えておきたい、発酵食で危ない菌5選+番外編【菌別の対策有り】
手で混ぜたほうがいい?
どちらでもいい- 氷砂糖は容器ごとゆすって混ぜる、フタを開ける必要はない
- 粉砂糖は底に砂糖が溜まりやすいので、清潔なスプーンなどでよく混ぜる
- 道具は中性洗剤で洗って、しっかり乾かしてから混ぜる
Q:カビが生えたら?
A:生えたのが一部分なら挽回できる
こまめに混ぜておけばカビが生えることは少ないのですが、もしカビが生えてしまっても全体に回っていなければ挽回できます
カビが生えた部分をスプーンですくい取って、食品用アルコールかホワイトリカーをスプレーして全体をよく混ぜ込みます
その後しばらくはこまめに様子を見て、しっかり全体を混ぜ込んであげましょう
砂糖が溶けたあと、においに異常がなければ大丈夫です
不安な場合は加熱すればOK
ちょっと心配だな…という場合はシロップを65℃以上に3分間加熱すればOK
残った果肉もジャムやマーマレードなどしっかり加熱すれば食べられます
加熱・保存については後ほどより詳しく解説しますね
カビが生えてしまった場合…
- カビが生えた部分を清潔なスプーンで取り除く
- ホワイトリカーか食品用スプレーを吹きかけて、全体をよく混ぜる
- カビが全体に回ってしまった、明らかににおいが異常な場合は口にしない
- 念のため、完成後に65℃・3分以上加熱するとより安心
Q:シュワシュワと泡が出てきたけど大丈夫?
砂糖が溶けてくると、シュワシュワと泡が立つことがあります


これは酵母菌が繁殖して炭酸ガスを生成しているから起こります
A:酵母菌が繁殖している証拠、いい香りなら大丈夫
酵母菌は基本的に害は無く、炭酸ガスとともに酢酸イソアミル、カプロン酸エチル、イソアミルアルコールといったフルーツ様の香りを生成するので発酵食特有の良い香りが付与されます
そのためにおいに異常がなく、炭酸のツンとする刺激とともに良い香りがしているなら問題はありません
ただし、日本では酒税法で無免許でのアルコール1%以上の醸造を禁止されています
そのため意図的に酵母菌の繁殖を促してアルコール1%以上の液体を作ってしまうことは法律違反になります
泡が旺盛に出る場合は砂糖を早く溶かしきり、加熱して酵母菌発酵を止めてください
(発酵の止め方は後述)
てん菜糖は酵母菌が繁殖しやすい
てん菜糖はミネラル分が多く、酵母菌の繁殖を助ける働きがあるので泡が立ちやすい特徴があります
あまりに酵母菌発酵が旺盛だと、当然アルコールも生成されるので、アルコール臭が出る原因に
もちろん、1%以上のアルコール分を生成する可能性も高まります
砂糖を早めに溶かして加熱で安定する
アルコール臭を防ぐには1日1回こまめに砂糖をよく混ぜて早く溶かし、
溶け切ったらフルーツをザルで漉して、シロップを鍋に入れて火にかけます
65℃・3分以上に加熱することで酵母菌発酵を止めることが可能です
シロップに泡が立ってきた…
- 酵母菌が繁殖している証拠
- においに異常がなければ飲んでも大丈夫
- ミネラルが豊富なてん菜糖は泡が立ちやすい
- こまめに混ぜて、完成後にシロップ65℃・3分以上加熱すればOK
Q:シロップの保存方法は?


A:基本は冷蔵保存
完成した酵素シロップにはまだ酵母菌や乳酸菌が生きている状態です
そのため常温で保存すると発酵が進んで品質が安定しないので、基本的には冷蔵保存がおすすめです
ザルでフルーツとシロップを分けたあと、ビンなどに移すと冷蔵庫の場所もとりません
分けたあとのフルーツも、もちろんおいしく食べることができます
そのまま食べても、ヨーグルトと一緒に食べてもいいですね!
長期保存なら65℃・3分以上の加熱を
さきほどから触れていますが、65℃・3分以上に加熱することで酵母菌や乳酸菌、そしてフルーツに含まれる酵素などが全て失活します
長期保存をしたい、味をこれ以上変えたくないといった場合には加熱がおすすめです
固形のフルーツも、マーマレードやジャムとして同様に加熱してあげるといいでしょう
酵素は目的じゃなくて手段のひとつ
冒頭でも触れましたが、私自身は酵素についてそこまで重要だとは思っていません
酵素はあくまで食物の栄養素を分解したり、吸収を助けるものです
そのため酵素を摂ること自体が目的ではなく、おいしく食べる・健やかな体を保つ手段のひとつにすぎません
https://jitakuseigiku.com/nekase-genmai-kouso/まずは酵素や発酵というワードにとらわれることなく、
「おいしそうだな」とか「作ってみようかな」ってちょっとでも興味がわいたらぜひ作ってみてください
この記事が参考になれば嬉しいです!