発酵食全般

発酵食の心強い味方?ヒートショックのメリットと注意点は?

野菜の表面には自然界に存在する菌や微生物が沢山付着しています。

酵母菌や乳酸菌など有益な菌もいますが、もちろん有害な菌だって混在します。

腐敗のイメージ

もしも有害な菌が発酵食や漬物などに侵入したとすると、腐敗の原因になるのは想像に易いですよね。

そこで腐敗リスク低減に有効な方法として、ヒートショックをこの記事では紹介します。

具体的には、50℃のお湯に食材を1分~5分間浸けるだけ

これだけで発酵食の腐敗リスクを下げる効果があります。

ヒートショックには注意点もある

しかし、注意点もあります。

もし方法を誤って43度位の低い温度で食材を浸けると、ウェルシュ菌など食中毒の原因になる菌の繁殖を助けてしまうことになりかねません。

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この記事ではヒートショックのメリットと注意点について紹介していきます。

ヒートショックとは?

ヒートショックとは、 スチーミング調理技術研究会代表の平山一政さんが考案された調理法です。

http://www.steaming-cook.com/category/1521630.html

スチーミング調理技術研究会 HP

ヒートショックのメリットをざっくりと抜粋すると以下の通り。

  • 野菜の鮮度が戻る
  • 食材のアク抜きになる
  • 肉・魚の臭み抜きになる
  • 虫や雑菌を取り除く

順にみていきましょう。

野菜の鮮度が戻る

野菜は収穫後、徐々に水分が失われて乾燥していきます。

収穫のイメージ

その際、野菜は水分の揮発を防ぐために気孔(植物体の表面にある小さな穴)が閉じた状態になります。

そこに50℃の湯に浸けてヒートショックを与えると気孔が開いて水分を取り込み、収穫直後の瑞々しい状態に戻る効果があります。

浸ける目安は、

レタスやほうれん草など葉物野菜なら1分程度。

トマトや玉ねぎ、柑橘類など球状の野菜は大きさに応じて3分~5分くらいが目安です。

ヒートショックする果物2

野菜のアク抜きになる

野菜のアクとはシュウ酸タンニンなど渋み・えぐみの元となる物質を指します。

ほうれん草イメージ

50℃の湯に浸けてヒートショックを行うことで気孔や野菜の断面が拡張して冷水よりも早くアクが抜ける効果が期待できます。

肉・魚の臭み抜きになる

ヒートショックは野菜だけでなく肉や魚にも活用できる方法です。

鮮魚イメージ

魚の臭み成分であるトリメチルアミンは水溶性なので、臭みの元を湯に取り込むことで臭みを取り除くことができます。

また、魚介類は真水で洗うと病原菌である腸炎ビブリオを殺菌する効果があるので、必ず行っておきたい下処理です。

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肉の場合、50℃の湯に浸けると血の成分が溶け出て血に含まれる独特の鉄臭さや生臭さを軽減できます。

スタコジ

適度に脂も落ちるので、脂身臭さが減る効果も。

肉の塊イメージ

ブロック肉だけでなく、スライス肉もヒートショックが可能です。

厚みにもよりますが、

ブロック肉なら3分~5分程度、スライス肉なら1分程度が浸ける目安です。

スタコジ

ただし、ひき肉は脂身も旨味も流れ過ぎるので向きません。

虫や雑菌を取り除く

収穫したての野菜には虫やその卵に、畑の泥がついてたりしますよね。

これらを取り除くのにヒートショックは効果的です。

泥つき野菜のイメージ
スタコジ

葉物野菜をたっぷりの湯に浸けてゆすぐと、驚くほど虫や汚れが取れます!オススメ!

また、目に見えなくても表面には乳酸菌酵母菌など、自然界に存在する菌が沢山生息しています。

これらの菌をある程度洗い流し、取り除く効果も期待できます。

ヒートショックの注意点

ここからはヒートショックに注意点を挙げていきます。

注意点

ここは強く念を押してお伝えしたい点なのですが、

ヒートショックで全ての菌を完全に殺菌できるわけではありません

完全に殺菌できるわけではない

例えば、日本の発酵食界隈には熱にも酸にも強くて時に厄介な存在である納豆菌というヤツがいます。

この納豆菌を死滅させるには121℃を20分維持する必要があります。

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また、一般的なカビを死滅させるにも80℃を30分維持する必要があると言われています。

これらの菌を完全に死滅させるには50℃では全然足りません

カビ対策に一部効果あり

雑菌を完全に死滅させることはできませんが、全く意味がない訳ではありません。

カビの胞子は耐熱性があり80℃を30分維持する必要がありますが、カビの根元の菌糸は耐熱性が低く50℃を5分維持でも有効とされています。

カビの胞子と菌糸

そのためカビ全体を完全に殺菌はできなくても、菌糸を死滅させて活動を遅らせることはできます。

カビ対策マニュアル 基礎編

文部科学省

その上で塩漬け・酢漬けといった殺菌作用のある仕込みによって菌の繁殖を完全に抑え込みます。

発酵食において、ヒートショックは仕込みをより安全に行う補助だと捉えましょう。

50℃を保つ必要がある

50℃洗いでヒートショックを行うには、湯の温度を50℃に保つ必要があります。

例えば、冒頭でも触れたウェルシュ菌という病原菌は43℃くらいの温度を好みます。

ウエルシュ菌食中毒の症状や特徴、予防方法について

MHCL WORKS LABO

温度が下がった湯に浸けると、逆にウェルシュ菌の繁殖を助けてしまいかねません。

湯が冷めにくい工夫

そのため湯の温度を下げない工夫が必要です。

例えば、食材に対して多めの湯を用意すると湯が冷めづらくなります。

多めの湯でヒートショック

冷蔵庫から取り出した直後は温度に注意

特に気を付けたいのは、肉や魚などを冷蔵庫から取り出した直後のヒートショックです。

湯に入れる食材が冷たいほど湯は冷めやすくなります。

ですから冷蔵庫から取り出してすぐの食材をヒートショックする際は特に温度に気を付けてください。

スタコジ

50℃ってけっこう熱いので、ヤケドにも注意が必要です。

すぐに水気を切る

ヒートショックを行った後はすぐに冷水にあけ、しっかり水気を切ります

アスパラガスの水気を切る

水気が残っていると、残った雑菌がそこから繁殖する場合もあります。

また、水気が残ってる食材を仕込みに使うと塩分濃度が薄まって殺菌効果も薄れる可能性があるので、発酵食の仕込みの前にはしっかり水気を切ることが重要です。

野菜の発酵食イメージ

まとめ

発酵食の仕込みへのヒートショックの活用についてまとめると、

  • 50℃の湯で食材を浸ける
  • 食材表面の殺菌・消臭効果がある
  • ただし、完全に雑菌を取り除くことはできない
  • 発酵食を安全に作る安全に補助として活用できる
  • 浸けたあとはしっかり水気を切る

発酵食は時に菌をうまく利用して、時に有害な菌をしっかり排除することが必要です。

先人達はそれを化学が発達して理屈が分かるようになる前から、安全な方法を手順や知恵として残してきてくれました。

ヒートショックはその先人達の知恵をより安全かつ発展的に活用できる手段だと思います。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

この記事が自家製の発酵食や漬物を作られる方の参考になればうれしいです。

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