発酵tips

精白米との違いは?麹にすると抗酸化作用が上がる?玄米麹の特徴と作り方

通常よく見る米麹は精米済みの精白米で作られ、白くフワフワとしたものが一般的ですが、

精米前の玄米が原料の玄米麹もあります。

玄米麹

見た目はやや茶色っぽく、食味は玄米特有の風味があるのが特徴。

玄米に含まれる栄養素をそのまま含むほか、麹にすることで抗酸化作用も増すという興味深い研究報告もあります。

この記事では、

  1. 玄米に含まれる栄養素
  2. 玄米麹の特徴
  3. 抗酸化作用が増す理由
  4. 玄米麹の作り方

この4点について解説・紹介していきます。

▼▼▼▼▼この記事を書いた人▼▼▼▼▼

せいぎくいん

改めまして、自宅製麴員(じたくせいぎくいん)といいます。

普段は造り酒屋に勤める蔵人(くらびと)歴10年以上。

麹についての情報を発信している麹ブロガーです。

玄米に含まれる栄養素

玄米・ブラウン

玄米の米ぬか部分に有益な成分が多く含まれることは有名です。

その代表例をいくつか挙げてみます。

食物繊維

玄米には食物繊維が多く含まれます。

そして食物繊維には善玉菌の活動を助け、腸内環境の改善があるのは広く知られています。

そこにさらに加えると、米ぬかの食物繊維は主成分がセルロースヘミセルロースという不溶性食物繊維です。

不溶性食物繊維は水分を吸って膨らむ作用もあるので、満腹感の持続・食欲抑制の効果もあります。

せいぎくいん

玄米は腹持ちがいいとよく言いますよね。

玄米のアップ写真

ビタミンB1・B2などのビタミンB群

ビタミンB1・B2が属するビタミンB群は補酵素または代謝ビタミンと呼ばれ、栄養素のエネルギー変換を助ける働きがあります。

せいぎくいん

B1は糖質をエネルギーに、B2は脂質をエネルギーに変える際の補助として働きます。

これらが不足すると集中力の低下・疲労・食欲不振・肝機能の低下・脚気(かっけ)などを引き起こすとされています。

特に脚気は明治時代まで二大国民病とまで呼ばれた恐ろしい病気です。

脚気につての歴史的推移を以下で少しだけ紹介します。

玄米食離れによる脚気の流行

脚気という病気自体は、ふるくは平安時代から高級な白米を食す貴族階級で多く、

玄米食が主流であった庶民には馴染みの薄い病気でした。

しかし江戸時代以後、江戸や大阪といった都市部で白米食が主流になると、江戸患い大阪腫れなどと呼ばれるほど庶民の間にも広がります。

明治時代の海軍で玄米食を導入

そのような時代の中、当然日本海軍の兵士の間でも脚気が流行するのですが、

海軍軍医の高木兼寛(たかきかねひろ)氏が脚気患者の生活習慣を観察、脚気の原因は食事にあると結論づけます。

日本海軍の象徴・東郷平八郎の銅像

以後、玄米食を海軍内で導入することで脚気にかかる兵士が減り、明治43年に農学者の鈴木梅太郎氏により米ぬかからビタミンB1が発見され、その後脚気とビタミンB1の因果関係が解明されました。

せいぎくいん

海軍の玄米食導入に合わせてカレーも導入され、海軍カレーの発祥要因のひとつとも言われています。(諸説あり)

海軍カレーのイメージ

フェルラ酸

フェルラ酸はポリフェノールの一種です。

ポリフェノール同様に抗酸化作用があり、食品の酸化防止剤として利用されます。

ほかにも紫外線吸収作用もあることから化粧品にと広く使われています。

せいぎくいん

聞き慣れませんが化粧品にも使われるような、意外と身近な存在です。

食物として摂取すると抗酸化作用により活性酸素による酸化ストレスの軽減、

近年では脳機能の改善・アルツハイマーの予防効果もあるとされており研究が進められています。

玄米に含まれる栄養素…

  1. 食物繊維…腸内環境の改善・食欲抑制効果
  2. ビタミンB群…エネルギー代謝の補助・脚気の防止
  3. フェルラ酸…抗酸化作用・紫外線吸収作用

玄米麹の特徴

玄米麹で作る玄米甘酒

ビタミンB群、フェルラ酸を吸収しやすくする

玄米のフェルラ酸の多くは細胞壁に結合した不溶性フェルラ酸として存在しています。

そのままでは人体への吸収性が悪いのですが、麹の分解酵素が遊離性フェルラ酸へと変容させ、吸収性を向上させます。

この時、ビタミンB群パントテン酸ビオチンなどのエネルギー代謝に必要な補酵素も遊離性へと変容、吸収性が上がる相乗効果も生まれます。

せいぎくいん

ざっくり言うと麹が玄米の細胞壁を取り払って、フェルラ酸やビタミンB群を吸収しやすくしてくれます。

麹の種類によって増える量が違う

麹菌の中でも種類によって値に差があります。

オリゼー菌(通常の黄麹)では元の玄米の4.7倍、ソーヤ菌(醤油麹菌)では3.1倍、リュチュエンシス菌(黒麹菌)では17.2倍の抗酸化活性が報告されました。

(黒麹についてはこちらの記事もご参考ください▼▼▼▼▼)

一般的な黄麹との違いは?初めて黒麹を作ってみた話

せいぎくいん

麹菌別、特に黒麹で顕著な増加が見られたのは興味深い報告です。

黒麹 × 玄米の組み合わせも面白そうですね。

玄米麹の特徴…

  1. 玄米のフェルラ酸・ビタミンB群を吸収しやすくなる
  2. 黒麹・黄麹・醤油麹の順に抗酸化作用が強まる

玄米麹の注意点

注意を喚起するイメージ

そのままでは麹菌の発育が難しい

ここで玄米麹を作る注意点があります。

玄米の表面を覆う種皮は硬く、そのままでは麹菌が食い込んで発育するのは難しい環境です。

玄米のイラスト

そのため玄米麹の製麹前には玄米の表面を軽く傷つけるとうまくいきます。

家庭であればミキサーやハンディーブレンダーで玄米を1合ずつ30~40秒くらい回しておくと簡単に傷が入ります。

ミキサーのイメージ
せいぎくいん

ただし、回し過ぎはお米が割れて蒸し米がベタつく原因になります。

やりすぎに注意が必要です。

玄米麹の注意点…

  1. 表皮にキズをつけて麹菌が侵入しやすくする
  2. 玄米1合につき30~40秒ミキサーにかける

玄米麹の作り方

ここからは玄米麹の作り方を紹介します。

今回は家庭でも手軽に作れるヨーグルトメーカーで作ります。

まずは材料です。

玄米麹:約400g分

材料:

  • 玄米 3合
  • 種麹 2~3g

道具:

  • ミキサーもしくはハンディブレンダー
  • ヨーグルトメーカー
  • 鍋もしくは圧力鍋
  • 蒸し器
  • 蒸し布
  • 温度計(コード式)
  • バット

麹の手入れの時間と目安はこちらのタイムスケジュール通りに進めていきます▼▼▼▼▼

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玄米に傷をつける

先ほど紹介したように、玄米に麹菌を繁殖させるには玄米の表面に傷をつける必要があります。

ミキサーに玄米をかけるところ

玄米を1合ずつ、30~40秒ほどミキサーで回します。

回し過ぎると玄米が割れるので程々にしておきましょう。

玄米を洗って浸漬

玄米を洗い、水に浸けて吸水させます。

【参考】お米がベチャっとするのは力の入れすぎ?ベタつきを防ぐ正しいお米の洗い方

玄米は特によく洗う

玄米の表面は削る前の米ぬかそのものです。

さらに今回はミキサーで傷をつけて軽く削っているので、洗っていると精白米よりも多くの汚れが出てきます。

なので4回・5回といつもより水を変える回数を増やして、水がきれいになるまでしっかり洗います。

玄米を洗って水に浸けるところ

12時間以上水に浸ける

水に浸ける時間も、白米よりも吸水に時間がかかるので長く浸けます。

12時間~15時間ほど浸けたらザルにあけ、2時間以上しっかり水を切りましょう。

水切りをする玄米
せいぎくいん

ザルを斜めに傾けると水が早く切れるようになりますよ。

蒸し上げる

しっかり水切りをした玄米を蒸し上げます。

蒸し器が無くても少量であれば鍋や圧力鍋で蒸し上げることができます。

今回は少量なので圧力鍋を使いました。

【参考】お米を蒸すにはどれが便利?せいろ・鍋・圧力鍋・炊飯器をそれぞれ比較

圧力鍋で玄米を蒸すところ

蒸し器と蒸し布をセットして、圧力がかかってから15分中火→圧が下がったら蒸し上がりです。

後は通常通りの製麹

ヤケドに気をつけつつ人肌まで玄米が冷めたら麹菌を振りかけます。

ヨーグルトメーカーにセットして、麹菌の種付けは終了。

ヨーグルトメーカーに玄米麹をセット

あとは朝と夕方に手入れして完成を待ちます。

玄米麹を持ち上げたところ
せいぎくいん

玄米は麹菌の食糧であるたんぱく質・脂質が豊富です。

精白米よりも活発に温度が上がりやすいので注意しましょう。

完成

だいたい48時間~52時間後、少し食べてみて甘さがしっかり出ていたら完成です。

玄米麹のアップ
玄米麹を崩して粗熱を取るところ

玄米麹はネット通販がオススメ

以上が玄米麹の作り方でした。

もちろんわざわざ麹から作らなくても、手軽に購入することができます。

精白米の白い麹はスーパーで見かけるようになりましたが、玄米麹はまだあまり見かけないので入手するにはネット通販がオススメです。

風味が活きた生麹タイプ・保存に強い乾燥麹タイプと数多くありますので、使用頻度に合わせて選ばれるとよいでしょう。

まとめ

今回は玄米麹の特徴と作り方を中心に紹介しました。

記事を作成するにあたり玄米に関する色々な資料を調べていくうちに、玄米は麹にすることでフェルラ酸と抗酸化活性が増加するというのは私にとっても新鮮な驚きでした。

この十数年の間に注目されるようになった抗酸化物質が麹にも関連する要素であるのは非常に興味深かったです。

抗酸化作用が注目されている理由

生き物に必要不可欠な酸素の何%かは活性酸素として酸化ストレスとなりますが、過剰な活性酸素を排してバランスを取る抗酸化防御酵素が身体の中で働いて我々は健康を維持しています。

その補助として注目されるのがポリフェノールに代表される抗酸化物質である、というのが注目されるようになった理由です。

玄米のサブスクも登場

玄米麹の抗酸化活性の増加は酸化ストレスの低下や生活習慣の改善にとっても有益な効果が期待できます。

今後とも玄米の有益性は注目を集めるでしょうね。

しかし実際には食するのに手間と時間がかかるイメージが強い玄米ですが、

最近では専用の炊飯器付きのサブスク玄米なんていうのも登場して、玄米に対する敷居はどんどん低くなっていっています。

興味のある方はこちらのバナーから詳細が見れますのでぜひご覧ください▼▼▼▼▼

最後まで読んでいただきありがとうございました。

今回の記事で麹や玄米に興味を持っていただけたら嬉しいです。

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参考文献:

米糠から生産されるフェルラ酸の有用物質への展開 (有機合成化学協会誌 Vol.61 No.4 2003)

米糠含有成分の機能性とその向上 (日本食品科学工学会誌 第59巻 第7号 2012年 7月)

活性酸素と酸化ストレス ( 高橋将記 厚生労働省 e-ヘルスネット )

99%精米を用いた味噌の特長 ( 秋田県総合食品研究センタ一報告 Vol.17 8-14 (2015) )

3 種の麹菌を用いて調製した玄米麹と玄米塩麹の抗酸化活性とフェルラ酸含量 日本食品科学工学会誌 第67巻 第7号 2020年 7月 )

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