白米麹との違いは?玄米麹の特徴と作り方【コツはミキサーで30秒】

通常よく見る米麹は精米済みの精白米で作られ、白くフワフワとしたものが一般的ですが、
精米前の玄米が原料の玄米麹もあります。

見た目はやや茶色っぽく、食味は玄米特有の風味があるのが特徴。
玄米に含まれる栄養素をそのまま含むほか、
麹にすることで抗酸化作用も増すという興味深い研究報告もあります。
この記事では、
- 玄米に含まれる栄養素
- 玄米麹の特徴
- 抗酸化作用が増す理由
- 玄米麹の作り方
この4点について解説・紹介していきます。
▼▼▼▼▼この記事を書いた人▼▼▼▼▼

ネット通販でも購入できる
本題に入る前に。
もちろんわざわざ麹から作らなくても、手軽に購入することができます。
精白米の白い麹はスーパーで見かけるようになりましたが、
玄米麹はまだあまり見かけないので入手するにはネット通販がオススメです。
風味が活きた生麹タイプ・保存に強い乾燥麹タイプと数多くありますので、
使用頻度に合わせて選ばれるとよいでしょう。
▼▼▼生麹(要冷蔵タイプ)▼▼▼

▼▼▼乾燥麹(常温可能タイプ)▼▼▼
生麹・乾燥麹の違いについてはこちらをご参考ください▼▼▼

ではここから本題に入ります。
玄米に含まれる栄養素


玄米の米ぬか部分に有益な成分が多く含まれることは有名です。
その代表例をいくつか挙げてみます。
※…玄米の栄養素については、厚生労働省など、公的機関が発表するデータを拾い上げた記事がありますのでご参考ください▼▼▼▼▼▼
https://jitakuseigiku.com/genmai-ketten-oginau/食物繊維
玄米には食物繊維が多く含まれます。
そして食物繊維には善玉菌の活動を助け、腸内環境の改善があるのは広く知られています。
そこにさらに加えると、米ぬかの食物繊維は主成分がセルロース・ヘミセルロースという不溶性食物繊維です。
不溶性食物繊維は水分を吸って膨らむ作用もあるので、満腹感の持続・食欲抑制の効果もあります。
玄米は腹持ちがいいとよく言いますよね。


ビタミンB1・B6などのビタミンB群
玄米にはビタミンB1・B6を豊富に含みます。
ビタミンB群は補酵素または代謝ビタミンと呼ばれ、栄養素のエネルギー変換を助ける働きがあります。
具体的には、B1は糖質をエネルギーに、B6はタンパク質をエネルギーに変える際の補助として働きます。
フェルラ酸
フェルラ酸はポリフェノールの一種です。
ポリフェノール同様に抗酸化作用があり、食品の酸化防止剤として利用されます。
ほかにも紫外線吸収作用もあることから化粧品にと広く使われています。
玄米に含まれる栄養素…
- 食物繊維…腸内環境の改善・食欲抑制効果
- ビタミンB1・B6…エネルギー代謝の補助
- フェルラ酸…抗酸化作用・紫外線吸収作用
玄米麹の特徴
ここからは麹としての玄米の特徴をみていきます。


ビタミンB群、フェルラ酸を吸収しやすくする
玄米のフェルラ酸の多くは細胞壁に結合した不溶性フェルラ酸として存在しています。
不溶性のままでは人体への吸収性が悪いのですが、
麹の分解酵素が遊離性フェルラ酸へと変容させて、より吸収しやすくさせます。
この時、ビタミンB1・B6・パントテン酸・ビオチンなども遊離性へと変容。
エネルギー代謝に必要なこれらの補酵素も吸収しやすくなります。
ざっくり言うと麹が玄米の細胞壁を取り払って、
フェルラ酸やビタミンB群を吸収しやすくしてくれます。
麹の種類によって抗酸化作用が違う
麹菌の中でも種類によって抗酸化作用に差があります。
オリゼー菌(通常の黄麹)では元の玄米の4.7倍、
ソーヤ菌(醤油麹菌)では3.1倍、
リュチュエンシス菌(黒麹菌)では17.2倍の抗酸化活性が報告されています。
(黒麹についてはこちらの記事もご参考ください▼▼▼▼▼)
麹菌別、特に黒麹で顕著な増加が見られたのは興味深い報告です。
黒麹 × 玄米の組み合わせも面白そうですね。


玄米麹の特徴…
- 玄米のフェルラ酸・ビタミンB群を吸収しやすくなる
- 黒麹・黄麹・醤油麹の順に抗酸化作用が強まる
作り方の注意点
ここからは玄米麹を作る注意点です。


そのままでは麹菌の発育が難しい
玄米の表面を覆う種皮は硬く、そのままでは麹菌が食い込んで発育するのは難しい環境です。


そのため玄米麹の製麹前には玄米の表面を軽く傷つけるとうまくいきます。
家庭であればミキサーやハンディーブレンダーで玄米を1合ずつ30~40秒くらい回しておくと簡単に傷が入ります。


ただし、回し過ぎはお米が割れて蒸し米がベタつく原因になります。
やりすぎに注意が必要です。
玄米麹の注意点…
- 表皮にキズをつけて麹菌が侵入しやすくする
- 玄米1合につき30~40秒ミキサーにかける
玄米麹の作り方
ここからは玄米麹の作り方を紹介します。
今回は家庭でも手軽に作れるヨーグルトメーカーで作ります。
まずは材料です。
材料:
- 玄米 3合
- 種麹 2~3g
道具:
- ミキサーもしくはハンディブレンダー
- ヨーグルトメーカー
- 鍋もしくは圧力鍋
- 蒸し器
- 蒸し布
- 温度計(コード式)
- バット
麹の手入れの時間と目安はこちらのタイムスケジュール通りに進めていきます▼▼▼▼▼



玄米に傷をつける
先ほど紹介したように、玄米に麹菌を繁殖させるには玄米の表面に傷をつける必要があります。


玄米を1合ずつ、30~40秒ほどミキサーで回します。
回し過ぎると玄米が割れるので程々にしておきましょう。
玄米を洗って浸漬
玄米を洗い、水に浸けて吸水させます。
【参考】お米がベチャっとするのは力の入れすぎ?ベタつきを防ぐ正しいお米の洗い方
玄米は特によく洗う
玄米の表面は削る前の米ぬかそのものです。
さらに今回はミキサーで傷をつけて軽く削っているので、洗っていると精白米よりも多くの汚れが出てきます。
なので4回・5回といつもより水を変える回数を増やして、水がきれいになるまでしっかり洗います。


12時間以上水に浸ける
水に浸ける時間も、白米よりも吸水に時間がかかるので長く浸けます。
12時間~15時間ほど浸けたらザルにあけ、2時間以上しっかり水を切りましょう。


ザルを斜めに傾けると水が早く切れるようになりますよ。
蒸し上げる
しっかり水切りをした玄米を蒸し上げます。
蒸し器が無くても少量であれば鍋や圧力鍋で蒸し上げることができます。
今回は少量なので圧力鍋を使いました。
【参考】お米を蒸すにはどれが便利?せいろ・鍋・圧力鍋・炊飯器をそれぞれ比較


蒸し器と蒸し布をセットして、圧力がかかってから15分中火→圧が下がったら蒸し上がりです。
後は通常通りの製麹
ヤケドに気をつけつつ人肌まで玄米が冷めたら麹菌を振りかけます。




ヨーグルトメーカーにセットして、麹菌の種付けは終了。


あとは朝と夕方に手入れして完成を待ちます。


玄米は麹菌の食糧であるたんぱく質・脂質が豊富です。
精白米よりも活発に温度が上がりやすいので注意しましょう。
完成
だいたい48時間~52時間後、少し食べてみて甘さがしっかり出ていたら完成です。




まとめ
今回は玄米麹の特徴と作り方を中心に紹介しました。
記事を作成するにあたり玄米に関する色々な資料を調べていくうちに、
玄米は麹にすることでフェルラ酸と抗酸化活性が増加するというのは私にとっても新鮮な驚きでした。
この十数年の間に注目されるようになった抗酸化物質が
麹にも関連する要素であるのは非常に興味深かったです。
今回の記事で麹や玄米に興味を持っていただけたら嬉しいです。
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