塩水処理してはいけない?魚を捌く時は真水で食中毒を防ぐ方法
魚を捌く時には
塩の扱いに少し注意が必要です。
魚介類の表面には塩を好む細菌がいるため
場合によっては食中毒の原因にもなり得ます。
今回は魚介類の下処理時の水の使い方についてまとめました。
結論からいいますと、生魚の処理には必ず真水を使いましょう。
塩水で洗うと、食中毒の原因となる雑菌が繁殖してしまう危険があります。
これは食品の製造・販売に関わる食品衛生責任者・管理者でも必ず学習する内容です。
ぜひ結論だけでなく、その理由も覚えていってください!
▼▼▼この記事を書いた人▼▼▼
生魚の下処理は真水で行うべき理由
最初にお伝えしたように
生魚を塩水で洗うのはNGです。
大事なことなので2回言いました!
これには腸炎ビブリオという食中毒の原因となる細菌が関係しています。
塩水は腸炎ビブリオの繁殖を助ける
この腸炎ビブリオという微生物は生魚の表皮などに付着していて、塩分濃度3~5%の環境を好み、繁殖します。
そのため下処理前の魚介類を塩水で洗うと食中毒のリスクを高めることになります。
食中毒と聞くと
え!?
生の魚に塩水ってそんなに怖いの?
触っても大丈夫なの?
と思われるかもしれませんが、ちゃんと対処法があります。
真水で洗うと、浸透圧で腸炎ビブリオを撃退できる
真水で生の魚介類を洗うと
浸透圧で細菌の細胞を破裂させ、腸炎ビブリオを死滅させることができます。
まずは魚全体を真水で洗った後、傷みやすいエラや内臓を取り出してから再び真水で洗いましょう。
そうすることで表面の細菌だけでなく、魚の体内の細菌も撃退することができます。
持ち運び中も冷蔵するとより効果的
また、腸炎ビブリオは4℃以下になると活動が急激に弱まるので、魚を買って持ち帰る間は氷で冷やして運ぶことで繁殖を抑えられます。
夏場は特に冷蔵管理するように気を付けましょう。
貝の砂抜きは、真水で洗ってから塩水へ
貝類の場合は貝を長時間真水に浸けると貝が死んでしまいます。
そのため貝の表面を真水でよく洗い
表面の微生物を撃退してから塩水に浸けて砂抜きをします。
ちなみに貝の砂抜きをする際は平たい容器で貝同士が重ならないように置くと効率良く砂抜きができます。
貝同士が重なってると、吐いた砂を他の貝が再び吸ってしまいます。
また、生息していた砂の中のように暗い場所に置くと活性が増して、より多くの砂を吐き出すようになります。
塩水処理は捌いたあと、加熱する場合はOK
魚を捌く際には真水で洗うのが重要ですが
捌いたあと、一夜干しなど干物にする場合は塩水に浸けてもOKです。
捌いたあとに濃度3%の塩水に浸けておくと
魚の臭みを抜く効果が期待できます。
その後しっかり干せば一夜干しがカンタンに作れますので、魚が沢山あって食べきれない時に保存がきくのでおすすめです。
塩水に浸ける処理のことを立て塩ともいいます。
立て塩でキムチを作る方法はこちら↓
真水で魚を洗うときによくある質問
Q:真水で洗うデメリットはないの?
真水で洗うことで微生物を撃退するメリットがわかりましたが、反面デメリットもあります。
デメリット①:洗いすぎると旨味が逃げる
魚に含まれるたんぱく質のひとつミオゲンは水に溶けやすい性質を持ちます。
魚の表皮に真水をかける分には問題ありませんが、魚の切り身の面に真水を流しすぎるとミオゲンや旨味成分を流失させます。
対処法…しっかり水気をふき取る
切り身の面から旨味が逃げるので、真水洗いの後は水気をよく拭きとると旨味の流失を防ぐことができます。
そして冷蔵保存で雑菌の繁殖を防ぎ、食中毒リスクを減らすことができます。
まとめ:真水で洗い、腸炎ビブリオを撃退!
以上のことをまとめてみましょう。
- 塩水洗いは微生物の繁殖を助けてしまうのでNG
- 真水洗いの浸透圧で微生物を撃退
- 貝の砂抜きは真水で洗ってから塩水に浸ける
- 旨味が逃げるので真水で洗いすぎるのもNG
このような感じになります。
日本では世界でも珍しく魚の生食文化のある国で、新鮮な魚介類であふれています。
その反面、生魚による食中毒も毎年一定数発生しているのも現実です。
安全に楽しく食事を楽しむためにも、今回の内容をぜひ覚えて、活用してもらえたら嬉しいです!
食中毒を避けるコツは
こちらもどうぞ↓
当ブログでは塩の使い方・見分け方なども紹介しております。
よろしければこちらもご参考ください。
塩選びについてはこちら↓
食中毒を防ぐには菌や発酵の
メカニズムを知るのが重要です↓