自家製味噌には精製塩?天然塩?味噌に使う塩の選び方
- 手作り味噌に最適な塩がわかる!
- 結論:タイプによって塩を使い分ける
- シャープな辛口なら精製塩を
- 風味豊かな旨口なら天然塩を
- 塩の選びかたで味はガラリと変わる!
発酵食では塩を多用します。
味噌に限らず醤油、塩麹にぬか漬け…
これらは安全に発酵が進むよう、塩の殺菌作用を利用して製造されます。
もちろん味にも大きく影響するので、
自家製味噌や漬物を作る際に塩選びは重要な要素です。
今回は手作り味噌に使う塩の選び方について紹介します。
味噌や漬物に限らず
日々の塩選びの参考にもなりますので、
よければ最後までお付き合いくださいね!
▼▼▼この記事を書いた人▼▼▼
まずは塩の見分け方をおさらい
まずは塩の種類と見分け方についておさらいしておきましょう。
塩には大きく分けて
この3種類があります。
精製塩は純粋な塩化ナトリウムに近いので、うま味のもとであるミネラル分がほぼ含まれません。
精製塩に比べて、再加工塩・天然塩のほうがカリウム・マグネシウムといったミネラルが多く含まれる傾向があります。
より詳しい塩の見分け方はこちら↓
天然塩と精製塩、味噌にはどっちが合ってる?
近頃は品揃えのいいスーパーが増え、
味噌や漬物もたくさんの種類を見かけるようになりました。
その中でも、素材にこだわったちょっといい味噌には天然塩がよく使用されてますよね。
こういうやつです↓
これは天然塩の方が味が優れていて、
精製塩の方が劣っているということなのでしょうか?
結論からいうとそんなことはなく、
精製塩も目的に応じて充分使える塩だと私は考えています。
精製塩が味幅に乏しいのは事実
精製塩とは電気分解反応やイオン交換膜という超微細なフィルターを利用して、人工的に塩化ナトリウムの純度99%以上に高めた塩のことです。
塩化ナトリウムだけを精製するので、
・カルシウム
・マグネシウム
・カリウム
といったナトリウム以外のミネラル分が少ないのが特徴です。
カルシウム・マグネシウム・カリウムは塩の味に複雑味を出すので、塩化ナトリウムの純度が高いがために味幅が少なく、クリアで塩辛く感じます。
日本海水学会誌 第69巻 第2号(2015)
しかし精製塩にも長所はある
精製塩が味幅が少ない塩ですが、
それゆえに素材の味を邪魔しないという長所もあります。
プロの味噌屋さんや醤油屋さんでも、
あえて精製塩など雑味の少ない塩を用いる場合も少なくありません。
味噌や醤油は手間暇をかけるほど発酵・熟成に時間をかけて複雑味を増していきます。
その際に、あえて引き算の発想でクリアな塩を使い、味を重たくならないようにする狙いがあります。
天然塩・精製塩どちらかに優劣があるのでなく、それぞれに適した使い方があります。
結論:目的に合わせて塩を選ぶ
どのように塩を選んで使い分けるかですが、結論をいうと目的の味に合わせて塩を選ぶべきです。
自家製発酵食の魅力のひとつは、
自分の好みにカスタマイズできることです。
ご自身が慣れ親しんできた味や好みに合わせて塩を使い分けることで、自家製発酵食の満足度も上がります。
シャープな辛口味噌なら精製塩か再加工塩
例えば味噌の場合なら、
精製塩や比較的あっさりとした再加工塩を使うとあっさりとシャープな味噌に仕上がります。
・信州味噌
・仙台味噌
のような味噌に慣れ親しんだ方にオススメです。
シャープな辛口におすすめの精製塩
\シャープな辛口におすすめ/
精製塩の魅力は、価格の安さも挙げられます。
1キロあたり100円台なので使いやすく、味噌を大量に作りたいけど価格を抑えたい時に重宝します。
シャープな辛口におすすめの再加工塩
\再加工塩の代名詞!/
伯方の塩は、塩の精製時ににがり(塩化マグネシウム)を添加することで、ほどよい海のミネラル分をプラス。
辛口のなかにうま味もほどよく感じる味噌に仕上がります。
辛口味噌におすすめな天然塩(岩塩・湖塩)
天然塩の中でも、岩塩・湖塩は海水が長い時間をかけて凝縮され、不純物が非常に少ない傾向があります。
これは大陸の隆起などにより、長い時間と強い圧力がかかることで不純物が取りのぞかれるため。
辛口に仕上げるならこういった塩を使うのもいいでしょう。
\おすすめの岩塩・湖塩/
上記の塩は天然塩ながらも塩化ナトリウム純度が約99%と高めで、ストレートな塩味のあとにかすかな甘味・酸味を感じるサッパリ系のお塩です。
サッパリ辛口系の味噌がお好きな方にオススメですよ。
旨口タイプならミネラル豊富な海水塩
江戸味噌のような
ふくよかで旨口タイプの味噌なら、
ナトリウム以外のミネラル分を多く含む天然塩(特に海水塩)がオススメです。
海水塩とはその名のとおり海水を煮詰めて精製する塩のことで、
・マグネシウム
・カルシウム
・カリウム
などのミネラルが豊富に含まれます。
これらのミネラルは苦味や酸味のもとですので、塩の味をより複雑にします。
塩に含まれるミネラル類 | 呈味(感じる味) |
ナトリウム類 | 塩味 |
マグネシウム類 | 苦味・旨味 |
カルシウム類 | 甘味 |
カリウム類 | 酸味 |
そのような複雑味のある塩を使った味噌はコクがあり、旨味を感じる味噌に仕上がります。
旨口タイプの味噌におすすめの海水塩
ちなみに筆者は旨口が好きなので、手作り味噌にはよく海水塩を使います。
\海のミネラル豊富な海水塩/
「青い海」は沖縄の沖合2000mから汲み出したきれいな海水を平釜で煮詰めた海水のミネラルたっぷりな海水塩です。
ミネラル分のバランスもよく、舐めてみると甘さも感じる塩単品でもとてもおいしい塩です。
おすすめは麹歩合多めのうま口味噌
こうした海水塩はぜひ麹歩合高めの、やや甘口味噌にすると塩が味の土台になって、風味豊かなうま口味噌に仕上がります。
「麹歩合ってなに?」
という人は、ぜひこちらの記事で仕込み配合の違いについて見ていってくださいね↓
まとめ…塩選びは目的の味で決める
最後に味噌の塩を選ぶポイントをまとめてみましょう。
このように
味の目的に合わせて塩を選ぶのも
自分の好みにカスタマイズできる自家製味噌・漬物の醍醐味ですよね。
ぜひ参考にしてもらい、おいしい手作り味噌のヒントにこの記事がなれれば嬉しいです!
より詳しいおすすめの塩や、
手作り味噌に役立つ記事はこちら↓