味噌の天地返しする?しない?天地返しのタイミングについて解説

この記事では、自家製味噌の天地返しについて解説しています。
結論からいうと、家庭用の味噌であれば天地返しは不要です。
天地返しは本来、
背の丈を超える大きな味噌桶の温度ムラを無くすために行います。
そのため家庭の味噌サイズであれば温度ムラを気にする必要はありません。
ただし、天使返しをすることで熟成が早く進むというメリットもあります。

ちなみに、私自身は天地返しはやる派です!
- 天地返しとは?
- 天地返しの効果
- 天地返しをあえてやるメリット
- 天地返しのよくある質問
発酵の世界にはちゃんと理屈があります。
味噌の熟成・天地返しだって例外ではありません。
せっかく仕込んだ味噌をよりおいしくする理屈もしっかり紹介しますので、ぜひ参考にしていってください!
▼▼▼この記事を書いた人▼▼▼
天地返しって?

天地返しとは熟成中の味噌を掘り起こしてよく混ぜ、上下を入れ替える作業のことです。
これにより味噌全体の温度ムラを無くし、発酵のムラを解消できます。
天地返しをするのは発酵期間のだいたい真ん中くらいが一般的。
たとえば発酵期間が6ヶ月とすると、3ヶ月目が天地返しの目安です。
さらに、途中で封を切ることでカビなどの異常がないかを確認することもできます。
- 発酵のムラを無くす
- 発酵期間中のだいたい真ん中でする
- カビなどの異常がないか確認
発酵のムラとは?

味噌を仕込むとき、
大豆と麹と塩を混ぜるのは中々の労力が必要ですよね。
もし混ぜるのが不十分でムラが残ったままだと、
塩の殺菌効果が薄い部分からカビが生える可能性が高まります。
そのため発酵中に掘り起こして混ぜると、
ムラが無くなり、発酵がより安全に進む効果が期待できます。
また、発酵が進むと味噌の中心部と外側で温度差が生じて発酵の進行具合が変わってくることも。
こうした対処法に天地返しは有効です。
家庭サイズだと天地返しは必要ない
ただし、家庭で作るサイズの味噌では温度ムラは少ないので、天地返しは必須ではありません。
温度ムラが生じるのは数トンといった大きなサイズで仕込んだ場合です。
そのため家庭用の味噌であれば不必要な作業だといえます。
あえて天地返しするメリット

自家用味噌の天地返しはムダな労力かというとそうでもありません。
自家製味噌の天地返しにもちゃんとメリットがあります↓
- 塩分濃度を均一に保つ
- 味噌の発酵を促進する
- カビなどの異常の確認
- 発酵・熟成具合の確認
以下で順に解説いたします。
塩分濃度を均一に保つ

先述したように、仕込みで混ざり具合が不十分だと、そこからカビなどの雑菌が発生することがあります。
雑菌を防ぐには塩分濃度を均一にして、
塩が回っていない部分を作らないことが重要です。
一度すべて取り出して混ぜ直す天地返しは、塩分を均一にするにはとても有効です。
味噌の発酵を促進する
【味噌の天地返し効果まとめ】
— 自宅製麹員 (@jitakuseigikuin) April 5, 2022
①温度ムラの解消
②メーラード反応を促進
個人で仕込むサイズなら温度ムラはほぼ心配なく、天地返しは基本的に不要です
ただ、抗酸化物質のメラノイジンは酸素+窒素+メーラード反応によって生まれます
そのため空気に触れさせるとメーラード反応を促進され、熟成を
続 pic.twitter.com/wMX3uXWe0T
味噌の発酵が進むにつれて褐色になっていくのはメイラード反応という化学反応によって起こります。
メイラード反応には
・糖質
・アミノ酸
・窒素
が結合してメラノイジンという物質に変化する反応のこと。
そのため天地返しによって味噌が空気中の窒素に触れることでメイラード反応を早め、若味噌の熟成を早める効果が期待できます。
カビなどの異常の確認
仕込んだ味噌がカビてしまった場合、早い段階であればリカバリーは可能です。
表面に生えてしまったカビをスプーンで多めにこそいで、カビの部分を取り除きます。
早い段階でとりのぞけばカビ臭が味噌にうつることもなく、問題なく食べられます。
カビが発生する多くの場合は湿度の高まる夏に発生します。
7~8月といえば、冬に仕込んだ味噌がちょうど3~6ヶ月目を迎える発酵期間の真ん中です。
なので、確認がてら夏に天地返しをするのも有効です。
発酵・熟成具合の確認

味噌の食べ頃は、仕込んで6か月~12か月後というのが一般的。
特に気温が高い夏は発酵・熟成が進みやすく、味が一気にのってくる時期です。
しかし最近は中性洗剤や消毒用アルコールのおかげで衛生環境が飛躍的に良くなり、寒い冬でなくても1年中味噌が仕込めるようになりました。
そのため、仕込んだ時期によっては、
味噌が夏を越しておらず、発酵・熟成が不十分な場合もあります。
そこで味噌の天地返しで、発酵・熟成具合を確認して、食べ頃までの残りの期間を決めることもできます。
たとえば仕込みから3ヶ月経った味噌でも、
- 10月に仕込んだもの
(これから寒くなる時期) - 4月に仕込んだもの
(これから暑くなる時期)
この2つでは気温が全然違いますよね?
これは積算品温といって、
仕込んでからの期間ではなく、おかれた気温で発酵・熟成具合を判断する考え方です。
色や味をみて仕込み期間を調整するのに天地返しは役立ちます。
天地返しのよくある質問

Q:もしもカビが生えていたら?

味噌を仕込んだ際に味噌が空気と触れているとそこから高い確率でカビが発生します。
もしカビが生えていたらスプーンで少し多めにすくって取り除きましょう。
味噌全体にカビがまわっていなければ、これで十分リカバリーが可能です。
Q:天地返しをした後はどうしたらいい?

天地返しで味噌の上下を入れ替えたら、酒粕やラップで空気を遮断して、再び熟成を待ちます。
味噌を酒粕やラップで封するやり方はこちらでも詳しく紹介しています。

Q:「たまり」がたくさん出ていた時は?

天地返しで味噌の様子を見てみると、
醤油によく似たたまり(みそたまり)が表面に上がってくることがあります。
これは仕込みの時に煮汁を多く、水分過多だった時に起こる現象です。
たまりが多いからといって。味噌の味に影響があるわけではないのでご安心ください。
少量の場合は天地返しの時に混ぜ込んでしまえばOKです。
重石で味噌の固さを調整
たまりが多く、味噌がゆるい場合は、
落としフタを敷いて重石をして、味噌とたまりを分離させて味噌の固さを調節しましょう。
重石は味噌の重量の半分くらいが目安です。
水を入れたビニール袋を使うと、わざわざ重たい石を持ち運ばずに済みます。
念のためビニールは2重にしておきましょう。

たまりを取っておいて、刺身醤油やお吸い物に使っても絶品ですよ!
天地返しのメリットまとめ

味噌の天地返しは、家庭用であれば必須ではありません。
しかし、メリットもたくさんあり、私自身は天地返しはやる派です。
ぜひ参考にしていただいて、手作り味噌をよりおいしく、楽しんでもらえると嬉しいです!
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