友麹法って?市販の麹で麹が作れるけど使い回しはオススメしない理由

麹を作るには麹菌の種となる種麹が必要です。
種麹とは麹菌を米などの穀物にしっかりと繁殖させたもので、そこから出される麹菌の胞子を振りまいて麹を作るので、いわば麹の原料です。
実際の種麹はこのようなボワボワとした胞子に覆われています。

(黄麹と呼ばれる日本で一番スタンダードな種類の麹です。)
種麹を販売している会社は全国で7社と意外に少なく、ネット通販で入手するのが一般的ですが、実は種麹が無くても市販の麹で代用することができます。
それは友麹法という作り方で、わりと簡単かつ手軽に麹を増やせる方法なので麹を自作する時に重宝します。
ただし、2度3度と麹を使い回すのはオススメしません。
基本的には種麹の使用をおすすめするのを前提に、今回は友麹法について紹介します。
▼▼▼▼▼この記事を書いた人▼▼▼▼▼

友麹法の注意点
結論から言うと、私が友麹の使い回しをオススメしない理由はこの3点です。
手軽な製麹方法ではありますが、食中毒などを引き起こさないように注意するべき点もあります。
友麹法で使う麹
乾燥麹でも作れる

麹には意外にも乾燥麹が使えます。
乾燥麹は水分を飛ばして保存性を高めていますが、加熱処理はされていないため麹菌は失活せずに生きています。
ただし、放射線照射でしっかり滅菌してある乾燥麹だと、麹菌がいないため麹にならない場合もあるので注意が必要です。
もちろん生麹でもOKです。
市販の麹で作る友麹法
通常の麹は蒸し米に種麹を振りかけて麹菌を繁殖させますが、友麹法では種麹の代わりに出来上がった麹を蒸し米に混ぜ込んで麹菌を繁殖させるやり方です。
作り方は至ってシンプル、種麹を振る工程の代わりに乾燥麹を混ぜるだけです。
材料:
- 米 2.5合
- 乾燥麹 50~100g (今回はみやここうじ)
道具:
- ヨーグルトメーカー
- 温度計
- バット
麹の詳しい作り方はこちらをご参考ください▼▼▼▼▼
・お手軽+日中家を空けてもOK。ヨーグルトメーカーで麹を作る 【タイムスケジュールも一覧にして紹介】
2.5合分のお米を洗って蒸し、人肌に冷めたらよくほぐした麹を混ぜ込みます。

麹は50gくらいで足りますが、不安であれば少し多めに混ぜ込みましょう。

蒸し米についてはこちらもご参考ください▼▼▼▼▼
・お米を蒸すにはどれが便利?せいろ・鍋・圧力鍋・炊飯器をそれぞれ比較
あとはヨーグルトメーカーにセットして、通常通りの手入れを行って48~52時間後に完成です。

完成した麹がこちら▼▼▼▼▼

見た目は種麹で作った麹とほぼ変わりません。
香りも良好ですね。
使い回しはコンタミを起こす
ここからは友麹法で作った麹の注意点について紹介します。
コンタミとはコンタミネーションの略で異物混入や異物による汚染を指します。
麹の場合は菌の繁殖なので菌の混入・汚染という意味です。
友麹法で作った麹を何回も使い回しをしていると段々と別の菌が混ざり、本来の麹菌に隠れて別の菌が繁殖しはじめます。

そうすると何回も麹をつぎ足して作っていくうちに麹菌が別の菌に置き換わり、出来上がる麹も変質していきます。
そうなると味がおかしくなったり、食中毒の原因になりえるのは想像に易いでしょう。
つまり麹の安全性・味が安定せず、再現性が失われるのです。
そのため、私は友麹法で出来上がった麹を更に使い回すのはオススメしません。
2度、3度と使う回すうちに麹の変質が進みます。
ヨーグルトの種菌がいい例で、前回のヨーグルトをつぎ足してくうちにヨーグルトが固まらず、強い酸味や嫌な臭いが出てくるのと同じことが麹でも起こります。

再現性が低くなる
私は造り酒屋に勤める人間なので酒造期には沢山の麹を作りますが、毎回必ず種麹を使って麹を作ります。
天候の影響をもろに受けるお米はその年によってコンディションは異なるのが当たり前です。
その中で酒屋は目標の酒質になるよう調整しつつ、お米をお酒へと造り変えていきます。
その中で年によってバラバラの酒質にならないようにするには再現性というのが非常に重要なので、再現性が薄れていく友麹法は採用しません。

安全性・再現性を求めるなら麹屋さんの種麹
稲作の世界でも”3代違えば別品種”と言われており、3世代以上交配と生育を繰り返すと、段々と本来の品種とは異なる性質の稲が生まれます。
菌の世界でも同じことが起こるため、菌の特性を維持するには菌を選別・培養・保存する専門の知識と設備が必要となります。
麹の世界でそれを担ってくれているのが種麹屋さんです。

菌は交配と繁殖を繰り返すと自然と変質していくので、本来の菌株を保存して培養・供給してくれる種麹屋さんは麹に関わる人達にとって非常にありがたい存在だと言えます。
まとめ
友麹法はとても手軽で容易にできる方法なので知っておいて損は無いと思います。
が、最後に繰り返しますが、基本的には種麹を使用しましょう。
麹の使い回しには菌の変性が生まれてくる危険があるのでその点をぜひ覚えておいてください。
麹に関する小ネタや小ワザはぜひこちらもご覧ください▼▼▼▼▼






