納豆を安全に作るには?気をつけるべき3つのポイント
納豆はキッチンで手作りできます。
ただし、納豆菌は100℃のお湯をかけても殺菌できない非常にタフな菌です。
道具の手入れが不十分だと、
別で作るヨーグルトや甘酒を作る時にも納豆菌が混入して、ネバネバと糸をひくことも。
納豆菌の扱いには細心の注意を払うべきです。
- 納豆を手作りしたい
- 安全な作り方を知りたい
- 手軽な時短テクニックを知りたい
近年発酵食は世界的なブームとなり、
国内外で手作り発酵食を作る人は増えています。
特に海外だと手作りするしかないという方も多数いらっしゃいます。
そんな方々も安全でおいしい発酵食を楽しめる内容ですので、ぜひ参考にしてみてください!
▼▼▼この記事を書いた人▼▼▼
手作り納豆で知っておきたいこと
納豆菌は熱湯食毒できない
冒頭でもお伝えしたように、納豆菌は非常にタフな菌です。
熱にとても強く、120℃で20分以上の熱でないと殺菌することができません。
海抜0mで沸騰したお湯が100℃ですので、熱湯では殺菌できないことになります。
中性洗剤や消毒アルコールは有効ですが、
納豆特有のぬめりが食器スポンジに入り込んで生き残っている可能性も。
殺菌するにはなかなか厄介な菌です。
食器スポンジはよーく洗い、ぬめりを残さないようにしてください。
納豆専用に食器スポンジを分けてしまうのも有効です。
他の発酵食品と一緒に作らない
納豆作りの間は
・麹作り
・ヨーグルト作り
など他の発酵食作りと一緒に行うのは避けましょう。
たとえば、麹作りの世界では納豆はNG食材とされています。
麹は約50時間ほどで完成するのに対し、
納豆菌は12時間~24時間ほどで繁殖して特有の粘りを出します。
麹菌よりも早く繁殖してスベリ麹という納豆菌が混入した品質の悪い麹になってしまうからです。
それくらい納豆菌は一度混入すると厄介で、扱いに注意が必要です。
麹の作り方はこちら↓
酒蔵では納豆がNGの理由はこちら↓
納豆の作り方は3ステップ
必要な材料と道具は以下のとおりです↓
[材料]
- 大豆(乾燥時) 150g
(茹で大豆300gでも代用可) - 納豆菌
[道具]
- ヨーグルトメーカー
- バット
- 清潔な容器
- 清潔なふきん
- 食品用消毒アルコール
ポイント①:納豆菌は純粋培養のものを使用
納豆の元となる納豆菌はAmazon・楽天・Yahoo!ショッピングなどで購入できます↓
情報によっては市販の納豆パックから納豆を増やす作り方も紹介されてますが、当サイトでは純粋培養された納豆菌の使用をおすすめします。
(理由はこちら↓)
ポイント②:大豆をやわらかく煮る
大豆は小粒なものがおすすめですが、黒豆や味噌用の大粒のものでも食感がでておいしくつくることができます。
ポイントは大豆にしっかりと水を吸わせること。
最低でも20時間は水に漬けておいて、中心まで水が吸っているのを確認してから茹であげるようにしてください。
茹で時間は普通の鍋で2時間~3時間、
圧力鍋をお持ちであれば1時間ほどが目安です。
ひと粒取り出して、親指と小指ではさんで潰れるくらいまでしっかり茹であげます。
茹で大豆で代用可能
ちなみに時短テクニックとして、
茹で大豆を使うと浸水・茹でる手間をまるまる省くことができます。
耐熱容器にあけたらレンジでアツアツになるまでチンして、荒熱を取ってから使いましょう。
(今回の写真の大豆も茹で大豆を使いました)
③:ヨーグルトメーカーで45℃・24時間保温
茹であがった大豆をザルにあけ、水気を切ったらバットに移します。
手で触れるくらいにまで荒熱が取れたら納豆菌をふりかけてよく混ぜましょう。
よく混ぜたらヨーグルトメーカーの容器に移し、45℃で24時間保温。
納豆菌は空気を好む好気性の菌ですので、
フタで密閉はせず清潔なふきんやガーゼで覆ってください。
保温には、
細かい温度設定ができるヨーグルトメーカーがおすすめです。
ふきんを濡らしてしぼっておくと乾燥を防ぐことができます。
ヨーグルトメーカーがない場合は
・湯たんぽを入れた発泡スチロール
・レンジや炊飯器の保温機能(40℃前後)
で代用可能。
こちらも密閉せず空気が触れるようにしておきましょう。
④:冷蔵庫で1~2日寝かせて完成
24時間の保温後、
冷蔵庫で1日~2日寝かせたら完成です。
大豆の表面にシワがより、
納豆特有の粘り気が出ていれば納豆菌が繁殖した証拠。
3日~4日を目安に食べきりましょう。
気をつけるべき3つのポイント
手作り納豆で気をつけるべきポイントは以下の3つです。
①:納豆菌を使う
納豆菌は必ず純粋培養されたものを使ってください。
自家製発酵食でよくあるのが菌のつぎ足しです。
・麹菌
・納豆
・パン種
・ヨーグルト
はよくつぎ足して使われますが、
何度も繰り返してるうちに菌の変質が起こる可能性があります。
菌の変質とは、最初の菌からだんだんと性質が変わっていって繁殖力が低下・味わいの変化の原因になることも。
詳しくはこちらもどうぞ↓
また、繁殖力の低下によって雑菌の混入、食中毒の可能性もでてきます。
納豆に限らず、
自家製発酵食の種菌は必ず純粋培養された種菌を使いましょう。
②:消毒を徹底
道具は中性洗剤でよく洗い、しっかりと乾かした状態のものを使ってください。
もちろん手指も手洗い石けんでよく洗います。
雑菌混入大半は手指・道具から起こります。
雑菌の入る機会を極力減らすことが安全な発酵食作りのポイントです。
食品用消毒アルコールも積極的に利用しましょう。
(食品用アルコールの有効な使い方はこちら)
③:アンモニア臭が出ることもある
納豆を食べるとき、アンモニア臭を感じたことはありませんか?
あれは納豆菌が大豆のタンパク質を分解するときに起こります。
そのため臭いが出ること自体は問題ないのですが、おいしさは半減してしまいますよね。
もしもアンモニア臭が出た時には、
2~3日冷蔵保存しておくとアルコール臭がおさまり、おいしく食べることができます。
2~3日おいてもアルコール臭がおさまらない場合は、なにか別の菌が混入した可能性もあります。
少しでも怪しいと感じたら、
けっして口にせず廃棄してください。
まとめ:納豆菌に限らず、手作りでは菌の管理が最重要
手作り発酵食は
・作る楽しみ
・食べるおいしさ
を体験できるとてもいいものだと私は思っています。
しかし、誤った作り方による食中毒事案は毎年必ず発生しているのも事実。
手作り発酵食には、
愛情よりも正しい知識が必要です。
発酵について学ぶべき理由はこちら↓
体にいいだろうと、
せっかく手作りした食べ物が、食中毒で体を害する原因にもなり得ます。
そんな悲しい思いはしたくないですよね。
飲食店でお客様に提供するのももちろんですし、
一般家庭で家族と一緒に楽しむ場合でも、
- 正しい知識
- 正しい作り方
をしっかり学び、
注意を払ったうえで手作りにのぞんでほしいと願っています。
手作り発酵食で知っておきたいこと↓
納豆菌以外で危険な菌について↓