ぬか床水抜きに麹は有効?麹入りぬか床の作り方
- ぬか床の作り方を知りたい
- ぬか床のにおいが気になってきた
- ぬか床に麹を入れる効果を知りたい
麹はぬか床に入れても効果があります。
結論からいうと、
ぬか床に麹をプラスすることで
- 甘み・うま味をアップ
- イヤな匂いを取り除く
- 有益菌たちを活発にする
こうした効果があります。
ただし、ぬか床の水抜きにはあまり向いていません。(理由はこちら↓)
ぬか床はうまく扱えば何十年でも使い続けることができ、時間と共にあなただけの特別なぬか床ができあがります。
ぬか床の発酵と麹の関係についてわかりやすくまとめましたので、ぬか床に興味ある方はぜひ参考にしてみてください。
▼▼▼この記事を書いた人▼▼▼
麹をぬか床に入れるメリット
ぬか床に麹を入れるメリットは以下の3つです。
ぬか床に甘み・コクが出る
麹菌の酵素によりお米の分解が進むと、
でんぷんがブドウ糖・オリゴ糖といった甘みが加わります。
麹の甘さは複数の糖質からできているので、厚みのある甘み・コクをプラスする効果があります。
イヤなにおいを取り除く
ぬか床からは、時にイヤなにおいがしてくることがありますよね。
たとえば汗くさい・蒸れた靴下のようなにおいの原因は有機酸です。
麹には
・アミラーゼ
・リパーゼ
・ペプチターゼ
といった分解酵素が豊富なので、
においの原因である有機酸を分解してくれます。
ぬか床のにおい成分はとても複雑。
すべてのにおいに麹が対応できるわけではありませんが、蒸れたにおいがする場合は麹を加えるのをおすすめします。
数日のうちに、においが驚くほど解消されますよ。
ちなみに米麹は数日のうちに分解されて無くなります。
有益菌を増やし、酸味と香りが増す
ぬか床で重要な菌は
- 乳酸菌
- 産膜酵母菌
- 酪酸菌
この3つです。
麹には先述した分解酵素が豊富で、麹菌が繁殖しているお米のでんぷんをブドウ糖に分解します。
ブドウ糖は上記の菌の栄養源ですので、
ぬか床の有益菌の繁殖を活発にする働きが期待できます。
ぬか床のキモとなる菌たちですので、それぞれの菌の働きを簡単に解説いたします↓
酸でぬか床を守る乳酸菌
乳酸菌はその名のとおり乳酸を生成して、ぬか床の酸度を上げて傷みづらくしてくれます。
もちろん味の面でも重要で、
サッパリとした酸味が楽しめる乳酸はぬか漬けに無くてはならない味の要素です。
ただし増えすぎると酸っぱい味・においの原因となり、ぬか漬けの味を悪くしてしまいます。
産膜酵母菌
産膜酵母菌はアルコールとエステル(香り成分)を生成して、ぬか漬け特有の香りを引き出す菌です。
生成される香りはとても複雑で、
産膜酵母菌をうまく管理できると香りのとてもいいぬか漬けに仕上がります。
ただし増えすぎると
シンナーやセメダインのようなツンとした香りの原因になることも。
空気を好む好気性の菌なので、
ぬか漬けの上部に多く存在して繁殖を繰り返します。
そのため、産膜酵母菌が増えすぎないよう毎日ぬか床を混ぜて管理する必要があります。
酪酸菌
酪酸菌は腸内に多く生息している菌で、腸内環境を整える働きがあります。
こちらもぬか床特有の香りを生み出す重要な菌です。
ただし酪酸菌が多くなりすぎると汗くさい・蒸れた靴下のようなにおいの原因にも。
酪酸菌は嫌気性でぬか床の下部で繁殖するため、やはり毎日混ぜることでぬか床の発酵バランスを整える必要があるのです。
麹の量は1kgのぬか床に対して、片手で一握りが目安
麹の量はぬか床1kgに対して片手で一握り(40g~50g)が目安です。
ぬか床に加えるものにはそれぞれ役割があり、入れるものによって期待できる効果が変わってきます。
麹の味と香りが好きで、これより多く入れる人も中にはいらっしゃいます。
あまりに極端にたくさんいれてしまうと塩分濃度や菌のバランスを崩す原因になりますが、50g~100g程度なら問題ありません。
まずは一握りくらいにしておいて、
味と好みで多く入れたり少なく入れたり調節してみてください。
麹入りぬか床の作り方
ぬか床を最初から作る時に麹を入れる方法を紹介します。
- ぬか 800g
- 唐辛子 1本
- 塩 100g
(→沸いた水に溶かして使う) - 煮沸した水 800g
- 米麹 ひと握り(40g~50g)
- 野菜クズ 適量
今回使用した材料はこちら↓
オーサワのぬか漬けの素は原材料がぬか床と唐辛子だけというシンプルなもの。
お好みで昆布や干ししいたけといったうま味成分のもとを入れてもいいですが、シンプルなほうが「これからぬか床を育てる」という感じが味わえます。
塩は海のミネラルが豊富な天日塩が適しています。
菌の繁殖にはカリウムなどのミネラルが必要ですので、
味がよくなるだけでなく、乳酸菌・酵母菌などの有益な菌を安全に育てるのに役立ちます。
ぬか床の容器には口が広く、キュウリなどの食材をそのまま漬けやすいかたちのものが適しています。
ホーローは洗いやすく、においも付かないので手入れが楽です。
ただ、たまにホーロー部分が欠けることがあります。
下地の鉄の部分がぬかに触れると、
鉄分の影響を受けて色がくすんだりすることがあるので、ぶつけたりしないよう取り扱いには注意してください。
作り方①:材料をよく混ぜる
中性洗剤で洗い、よく乾かした容器にぬか・米麹を入れます。
水は一度沸かして煮沸したのち、塩を入れて塩水にして、粗熱がとれてから加えてよく混ぜます。
捨て漬けをする
捨て漬けには料理で出た野菜の皮や、切れ端を使います。
野菜の皮にはぬか床に必要な乳酸菌・産膜酵母菌・酪酸菌が付着しているので、スターターとして取り込むのが目的です。
2~3日に一度野菜クズを取り替えてください。
1日1回、1週間~10日ほどかき混ぜて、
ぬか床のいいにおいがしてきたら完成です。
完成したぬか床に麹を入れる場合
完成したぬか床に麹を入れることもできます。
この場合も、ぬか床1kgに対して米麹ひと握りが目安です。
ぬか床の味が変わってきた時など、
味を調整するのにいれてみてください。
乾燥麹に水抜き効果はある?
麹はぬか床の水分を吸う性質があるので、
一時ぬか床の水気が減り、固くなったように見えることも。
しかし、ぬか床の水分そのものが減ったわけではないので、麹の分解が進むと再び水気が出てきます。
水抜きに麹はあまり有効ではありません。
一時的に麹が水分を吸いますが、
2~3日で分解されて元通りになります。
水気を取るには
・足しぬか
・乾燥昆布
・干ししいたけ
などを入れると水気を減らすことができます。
水抜きに適したおすすめグッズ
水抜きをする場合だと以下の道具が有効です↓
\ぬか床に挿すだけ・ぬかとっくり/
\杉材が適度な水分量に調節/
ぬか床の水分量の調節は必須ですので、
これら便利グッズもぜひ活用してみてください。
足しぬかで調整する方法は以下で紹介します↓
ぬか床の対処法
酸っぱくなってきたら?
酸味が出てきたら乳酸菌が優位になっている証拠です。
乳酸が多くなりすぎて、
ぬか漬けが酸性に傾いているため過剰に酸っぱく感じます。
乳酸菌は嫌気性ですので、空気にふれると活動は抑制されます。
そのためよく混ぜつつ、足しぬかをしてぬか床全体の酸味を薄めてください。
足しぬかにより水分量も減り、乳酸菌の活動を抑えることができます。
セメダイン臭が出てきたら?
アルコール、セメダインのような
ツンとするにおいが出てきたら産膜酵母菌優位の証拠。
アルコール臭は言葉のとおりアルコールが生成されているので、
アルコールに弱い乳酸菌を減らし、最悪の場合ぬか床を腐らせる原因になります。
この場合はまず、アルコール濃度を薄めるようにします。
キュウリなどの水分量の多い野菜を漬けてぬか床の水分量を増やしましょう。
ただし、あまりに水でゆるくしすぎてもぬか床が傷む原因になるので、ほどほどに。
毎日よくかき混ぜて水抜きをこまめにしていると、数日のうちに徐々に和らいでいきます。
そのあとに塩を足し、塩分濃度を引き上げるといいでしょう。
セメダイン臭は足しぬかをして、数日のうちはこまめに混ぜて酪酸菌・乳酸菌が産膜酵母菌に追いつくように手伝ってあげてください。
セメダイン臭は揮発性ですので、混ぜることで揮発しやすくする効果も期待できます。
においがあまりにひどい場合は、
ビニールにぬか床をうすく広げてひと晩置き、刺激臭を揮発させてしまうのもアリです。
数日間家を空ける時は?
ぬか床は毎日かき混ぜる必要がありますが、数日間家を空ける場合は冷蔵庫にしまってください。
菌の活動を抑えてぬか床のバランスが正常に保たれます。
戻ってきたのち、よくかき混ぜれば問題ありません。
【2023年10月29日 追記】
2023年の夏場に冷蔵庫に入れておくと、ツンとしたセメダイン臭が強くなることがありました。
原因を考え色々と試行錯誤しましたが、低温に強い酵母菌の場合だと冷蔵庫内でも繁殖が旺盛に進むこともあるようです。
十分に育ったぬか床なら、2~3日くらいであればぬか床の表面に塩を振り、表面だけ塩分濃度を高めたほうがにおいが出づらくなりました。
1週間以上家を空ける場合など、長期になる場合でしたらやむなく冷蔵庫をおすすめしますが、数日でしたら塩を振ってもいいでしょう。
まとめ:ぬか床の菌を増やすのに麹は有効
ぬか床は菌の絶妙なバランスで成り立っています。
時には足し算、
時には引き算を繰り返しながら、
うまく扱えれば半永久的に使えるのがぬか床です。
そんなぬか床の足し算に麹のちょい足しはとても有効。
もともとぬかも米麹も同じお米ですから相性もバツグン。
おいしいぬか床作りにぜひ活用してみてくださいね。
もっと詳しくぬか床作りを知りたい人には以下の講座もおすすめです。
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安全に発酵食を楽しむには
正しい発酵の知識が必要です。
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当ブログでは麹を中心に、
色んな発酵食の作り方を紹介しています。
興味のあるものございましたらぜひみていってください↓