発酵のあれこれ

天然塩?精製塩?塩の表示はどこを見ればいい?知っておきたい塩の見分け方

こんにちわ。製麹員(@jitakuseigikuin)です。

当ブログは麹の発酵食を紹介するブログですが、味噌や塩麹の10%以上は塩でできています。

そのため塩を見分けて使うのも非常に重要です。

味噌や塩麹に使う塩が、塩化ナトリウム純度の高い精製塩だと雑味が無いスッキリとした味に仕上がり、ミネラル類をほどよく含んだ天然塩再加工塩だと味幅が出て複雑な味に仕上がります。

雑味の無いスッキリした味

→ 塩化ナトリウム純度の高い精製塩

味幅のある複雑な味

→ミネラルをほどよく含んだ天然塩・再加工塩

塩麹のイメージ

市販の塩は見分けが難しい

しかし、ひとつ問題があります。

パッケージだけで精製塩・天然塩といった塩の種類を見分けるのは正直、至難の業です。

というのも、

日本では市販の塩の商品名に天然・自然といったワードを入れることが禁じられています

(食用塩公正取引協議会 規則・規約第5条)

せいぎくいん

理由は後述しますが、ここが塩選びのややこしい所です(-“-)

そのため塩を見分けるには、製品に記載された表示のほかに原料と工程を読み解く必要があります。

そこでこの記事では、年間10キロ以上の塩を自家消費してる管理人が市販の塩の見分け方について解説します。

発酵食に興味無い方でも、普段手に取ってる塩がどのようにして作られたか見分けるのに役立ちますので、ぜひ最後まで読んでいってください。

せいぎくいん

ちょっとしたポイントを押さえれば、どんな塩か見分けることができます。

まずは見分け方の前に、塩の種類を確認してみましょう。

塩は天然塩精製塩再加工塩の3種類

塩の原料は岩塩湖塩海水の3種類があります。

この原料をもとにして全ての市販の塩は作られており、

市販されてる塩はさらにここから天然塩精製塩再加工塩の3種類に分類することができます。

特徴
天然塩原料そのまま・もしくは古来からの製法の塩
甘味・旨味・苦味など味幅がある
大量生産に向かず、高価な傾向
精製塩人工的に塩水から塩分を分離して作る
塩化ナトリウムが99%以上
雑味が無い反面、塩辛く感じやすい
大量生産に向き、安価
再加工塩岩塩や湖塩を一度溶かして精製
にがり(ミネラル)を添加
精製塩ほど塩辛く感じない

①天然塩

一般に言われる天然塩という言葉に明確な定義はありませんが、ざっくりまとめると天然の成分がそのまま詰まった塩を指します。

天然塩と聞いて一番にイメージしやすいのが、荒く砕いただけの岩塩ではないでしょうか。

こういった岩塩は岩塩層から切り出して簡単な洗浄だけをした場合のものが多いです。

鮮やかなピンクの切り出し岩塩

原料の塩の成分がそのまま入ってる

他には塩田で作る天日塩も天然塩のカテゴリーに入ります。

海水や水に溶かした岩塩・湖塩を天日で鹹水(かんすい)という塩分濃度の高い塩水を作って煮詰めて作られるので、原料塩の成分がそのまま豊富に含まれる塩に仕上がります。

そのまま残る成分とは主にマグネシウムカルシウムカリウムで、それぞれ苦味・甘味・酸味を呈しており、産地によるミネラルバランスの違いにより多種多様の味の塩が出回ってるのが特徴です。

塩に含まれるミネラル呈味(ていみ:感じる味)
ナトリウム塩味
マグネシウム苦味・旨味
カルシウム甘味
カリウム酸味
塩田で生産される天日塩
せいぎくいん

要するに原料をそのままに、水分を蒸発させたのが天然塩です。

天日を利用すれば天日塩、釜で煮詰めれれば釜塩と、製法の名前がついてるものもあります。

岩塩・湖塩・海水塩といった原料・産地によって含まれるミネラルは様々で、非常にバラエティーに富んでます。

②精製塩

精製塩はイオン透過膜法(超微細なフィルター)や電気分解を利用して塩化ナトリウムと他のミネラルを人工的に分離し、塩化ナトリウムの純度99%以上に高めた塩のことです。

大量生産に向くので安価ですが、塩化ナトリウムだけを取り出すように精製するので他のミネラル分が極端に少ないため味幅が少なく、塩辛く感じやすい味です。

精製塩のサラサラとしたイメージ
せいぎくいん

電気分解など化学的手法で塩を分離・取り出すのが精製塩です。

加えて塩化ナトリウム純度が99%以上なのも特徴のひとつ。

赤いキャップの食卓塩などが代表例で、安価で手に入りやすいのが特徴です。

出典:東京ソルト株式会社 「塩の豆知識」より

http://www.tokyosalt.co.jp/archives/1445

③再加工塩

再加工塩は塩の精製に、にがりやミネラルを添加して作る加工塩のこと。

にがりとは豆腐作りにも使われる海水由来の塩化マグネシウムのことです。

にがり(塩化マグネシウム)

塩化ナトリウム以外のミネラルが少ない塩に任意で他のミネラルを添加し、味の調整を行います。

他にも海藻成分を加えた藻塩や、燻製香を添加したフレーバーソルトなどもこれにあたります。

せいぎくいん

味を調整するためににがりやミネラルなどが添加されます。

天然って名乗っちゃいけない?塩のややこしいルール

禁止イメージ

冒頭でも触れましたが、日本で売られてる塩は商品名に「天然」・「自然」といった言葉を使うのが禁止されています。

他にも「自然塩」や「天然製法」などが表記できません。

「天然」って名乗っちゃいけない理由

理由は、天然や自然と言った言葉は消費者に誤解を与える恐れがあるからです。

天然・自然という言葉は「健康に良い」だったり「手間ヒマかかった良い商品」というプラスイメージが強いワードです。

過去に具体的な根拠のない謳い文句の商品が横行したのが規制の要因とされてます。

名乗ろうと思えば、全ての塩は「天然由来」

このような規制がかけられたのには、塩の原料にも関係があります。

天然塩でも精製塩でも、全ての塩の原料は海水に由来するものです。

湖塩のイメージ

先ほど触れたように塩の原料は岩塩湖塩海水塩の3種類に分けられますが、岩塩湖塩も地殻変動により海水が陸地に閉じ込められて生まれたものなので、元をたどれば海水です。

海水由来であるということは、考えようによっては全ての塩は「天然由来」と言えてしまいます

せいぎくいん

かなり乱暴な論理だとは思いますが…

しかし、実際このような理屈であたかも天然成分豊富な塩に見せかけた精製塩再加工塩が出回ったのも事実

そのため「天然」「自然」といったワードの使用を禁止するルールが作られました。

実際の塩を見ながら分類してみる

商品名で天然塩精製塩再加工塩かは見分けられませんが、ちゃんと見分ける方法はあります。

実際に売られてる塩を参考にしながら分類してみましょう。

まずはこちら。

塩事業センター 食塩

「 塩事業センター 食塩 」は1キロ100円ちょいの超リーズナブル塩です。

表示には

原材料名海水(日本)
工程イオン膜、立釜、乾燥
品質規格塩化ナトリウム 99%以上
カルシウム 基準0.02%
マグネシウム 基準0.02%
カリウム 0.25%以下

とあります。

①塩化ナトリウムの純度を見る

見分けるには、まず 塩化ナトリウムの純度を見ます。

この塩には「塩化ナトリウム…99%以上」とあるので、精製塩の可能性が高くなります

自然そのままを切り出した岩塩や湖塩でも、塩化ナトリウムの純度99%以上の物も存在します。

この時点で精製塩と決めつけないように注意しましょう。

似た表記で「ナトリウム」と書かれてたら

ナトリウム×2.54=塩化ナトリウム

の式で換算可能。

逆算すると、99.5÷2.54=39.17 なので、

ナトリウムが100g中39g以下なら塩化ナトリウム純度も99.5%以下だと覚えておいてください。

②工程を見る

次に塩の工程を見ます。

工程は、言わば塩の履歴書です

内容
塩を濃縮する工程
天日塩田などで、天日や風を利用して塩分を濃縮
イオン膜(イオン透過膜)「イオン透過膜」という膜を使って塩分を精製
溶解天日塩、岩塩などを水や海水に溶かして濃い塩水を作る
塩を結晶化する工程
平釜密閉されていない釜で煮つめて結晶を作る
立釜密閉した釜で煮つめて結晶を作る。平釜より効率的
塩の品質・状態を整える工程
粉砕塩のかたまりを砕いて小さくする
混合添加物や、違う塩を混ぜる
乾燥加熱などの方法により塩から水分を蒸発させる
焼成塩の結晶を加熱して、固まりにくくサラサラした「焼塩」をつくる
洗浄水または塩水で、塩の表面を洗う
岩塩や湖塩を掘り出す工程
採掘岩塩や湖塩を掘り出し、または採取する

参考及び引用:塩と暮らしを結ぶ運動推進協議会「解説!塩のパッケージ表示」よりhttps://www.shiotokurashi.com/about

このように、色々な工程があります。

せいぎくいん

全部覚えるのは大変なので、ここでは「へぇ~こんな感じなんだ」くらいでOKです。

色んな項目があってややこしいですが、整理してみましょう。

「塩事業センター 食塩」 の表示をもう一度見てみます。

原材料名海水(日本)
工程イオン膜、立釜、乾燥
品質規格塩化ナトリウム 99%以上
カルシウム 基準0.02%
マグネシウム 基準0.02%
カリウム 0.25%以下

工程は イオン膜、立釜、乾燥 とあるので、

  1. イオン膜透過法で塩水を濃縮して
  2. 密閉釜で煮詰めて
  3. 加熱・乾燥させた塩

ということが分かります。

イオン膜とは海水を電気分解をして塩そのものを精製する人工的精製法です。

塩化ナトリウム純度99%+人工的精製法ということで、この塩は精製塩と分かります。

せいぎくいん

続けてもう1個いきましょう。

カンホアの塩

「カンホアの塩」の表示には、

原材料名海水 (ベトナム・カンホア)
工程天日、粉砕
品質規格
(100gあたり)
食塩相当量 85.82g
マグネシウム 780mg
カルシウム 620mg
カリウム 250mg

とあります。

食塩相当量とは塩化ナトリウムのことなので、純度は85%ということです。

工程は天日、粉砕ですので、

  1. 天日で海水(ベトナム)を濃縮して
  2. 砕いて細かくした塩

天日で海水の水分を飛ばして塩を得ているので、海水のミネラルは塩にそのまま残ります。

つまりこれは天然塩の部類に入ります。

せいぎくいん

最後にもう1ついっておきましょう。

伯方の塩

原材料名天日海塩(93%メキシコまたはオーストラリア)
海水(7%日本)
工程溶解、平釜
品質規格
(100gあたり)
塩化ナトリウム 95g
カルシウム 110mg
マグネシウム 90mg
カリウム 50mg

CMでお馴染みの「伯方の塩」です。

ここで言う海水とは、にがり(海水由来のマグネシウム)のことです。

塩化ナトリウムは100g中95gなので純度99%以下です。

工程からわかることは、

  1. メキシコかオーストラリアの天日塩と日本の海水(にがり)を
  2. 溶かして濃い塩水を作り
  3. 密閉されてない釜で煮詰めて作る塩

ということになります。

純度99%以下に加えてにがりを添加して調整をかけているので、これは再加工塩の部類に入ります。

せいぎくいん

このように工程を見ることで、塩の生い立ちを知ることができます。

塩の見分け方…まとめ

長い解説になってしましましたが、お付き合い頂きありがとうございました。

この記事が塩選びのお役に立てれば嬉しいです。

世の中にまだまだ沢山の塩があり、それらを見分けるのは中々大変なことですが、工程や成分から必ずその製品がどのように作られたか読み解くことができます

見分け方が分かると、塩の適した使い方が見えてくる

そして見分け方が分かると、塩を適材適所の方法で使えるようになります。

どんな塩にもメリット・デメリットがある

例えば、塩化ナトリウムの純度の高い精製塩は悪者になりがちですが、逆に言えば雑味が無いのでクリアでさっぱりとした味に仕上がるというメリットがあります。

それに他の塩と比べて安価なことが多いので、塩もみなどの料理の下処理には最適です。

天然塩も、あまりミネラルが多すぎると味が重くなって料理がくどくなることだってあります。

天然塩・精製塩・再加工塩に優劣があるのではなく、どれにも適した使い方があると私は思ってます。

せいぎくいん

目的によって塩を選べると、料理や食事が更に楽しくなりますよ。

さらに詳しく塩について知りたい方はこちらの本がオススメです。

日本のみならず世界各地の塩の詳細をまとめられており非常に内容が濃く、大抵の市販の塩がこの1冊あれば調べることができます。

せいぎくいん

それぞれに適した料理や用途も解説されているので、すごく参考になります。

味噌や漬物に興味がある方はこちらもどうぞ

冒頭にも少し触れましたが当ブログは麹メインの発酵食を紹介するブログです。

発酵食にとって塩は保存性だけでなく味にも大きく影響を与える存在です。

味噌の仕込みに適した塩についてはこちらで紹介しています▼▼▼▼▼

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