もちもち食感で人気の酵素玄米
最近、玄米を炊いたあと3日以上保温して食べる酵素玄米という食べ方が人気です。
(玄米の通常の炊き方はこちらをどうぞ▼▼▼)

でも、私は長年仕事で関わってるので多少は詳しいのですが、酵素ってタンパク質です。
卵や肉同様に65℃以上の熱が加わると変性し、働きが失われます。
(失活といいます)
つまり、70℃以上では酵素は失活して働きません。
でも実際に食べてみるともちもちとして食べやすく、人気が出るのも頷けます。
予想はしてたけど、調べれば調べるほど酵素が登場しなくなる酵素玄米…
— 自宅製麹員(じたくせいぎくいん) (@jitakuseigikuin) January 26, 2022
なぜに酵素と銘打ったのか。。。
(味は美味しくて大好き)
酵素玄米ってわかりづらくない?
ご存じのように玄米食は栄養面からも優れた食事であり、私自身も個人的に食べやすくて大好きな食事方法です。
ですが、だからといってやみくもに玄米食を推奨するには正直、うやむやな部分が多すぎると思っています。
興味はあるけど、酵素って関係あるのかな…?
酵素パワーとか、あやしい健康商材じゃないの?
と感じる方も多いのではないでしょうか。
うやむやな部分もしっかり解説
たとえば、酵素玄米についての疑問ってこんな感じですよね▼▼▼
- 酵素ってなに?
- どんな酵素が働いてるの?
- 長期間保温して、食中毒の心配は?
- 寝かせ玄米との違いは?
これらの疑問をお持ちの方ために、
この記事ではこれらの酵素玄米に関する疑問について徹底分析しました。
うやむやでわかりづらい部分を詳しく掘り下げて、メリットを納得した上で玄米食に関心を持って頂けたら嬉しいです。
▼▼▼▼▼この記事を書いた人▼▼▼▼▼



結論:酵素はそこまで重要ではない
結論からお伝えしますと、酵素玄米にとって酵素はそこまで重要ではありません。
酵素反応がまったく無いわけではありませんが、酵素反応よりもメイラード反応の方がメリットがたくさんあります。
酵素玄米という呼び名が変わってきている
実際、最近では「寝かせ玄米」や「熟成玄米」といった別の呼び名に変わってきています。
出典:丸ごと小泉武夫食マガジン
【参考:結わえる公式ページより▼】




メイラード反応とは?
メイラード反応とは糖とアミノ酸が反応して褐色物質メラノイジンを生み出す反応で、色や香りに影響を及ぼします。
長い時間がかかりますが、常温でもメイラード反応は起こります。
味噌が褐色に変色するのもメイラード反応によるものです。


寝かせ玄米ではメイラード反応によって玄米そのままよりも、より多くの有益な成分を引き出します。
おはようございます。
— 自宅製麹員@麹ブロガー (@jitakuseigikuin) February 20, 2022
久しぶりに寝かせ玄米(左)を作りました。
右は炊いてすぐのやつ。
比べるとしっかりメイラーってますね。 pic.twitter.com/EHe1tJgso3
メイラード反応がどのように関係してくるのか?
酵素玄米の特徴を整理しながら以下で解説いたします。
酵素玄米の特徴
寝かせ玄米のポイントは発芽・圧力鍋・保温の3点です。
酵素玄米のポイント…
- 発芽
- 圧力鍋
- 保温
酵素玄米のポイント①:発芽


玄米を水で洗ったあと、常温で1日~2日(1日1回水を替える)、または40℃位のぬるま湯に一晩浸けて発芽を促します。
そうすることで玄米の胚芽からγ-アミノ酪酸(GABA)が生成されます。
GABAには精神安定作用・血圧抑制効果が確認されています。
玄米中の酵素が発芽に必要な栄養素を作り出す


また、水に浸かって発芽の準備に入ると、玄米からジレべリンという発芽促進ホルモンが分泌され、発芽の準備に入ります。
この時、アミラーゼやプロテアーゼといったでんぷんとタンパク質を分解する酵素が生成され、玄米が発芽のエネルギーを得るため自身の養分を分解し始めます。
酵素反応はここで生じるので、酵素もまったくの無関係というわけではありません。
この際、栄養素がより細かい分子に分解されて食べた時に消化・吸収効率が上がるメリットも生まれます。
特徴②:圧力鍋で炊く


炊飯には圧力鍋を使って炊き上げます。
そうすることで玄米の特徴でもある固いぬか層の内側まで火が通り、もちもちとした食べやすい食感に仕上がります。
圧力鍋をすでにお持ちの方はそれでOKですが、もし購入を検討されてる場合、6合炊き以上のやや大きめのものがおすすめです。
特徴③:3日以上保温する


圧力鍋で炊いた後に炊飯器に移し、保温機能を使って70℃~80℃で3日間ほど保温します。
そうすることで適度な水分量が保たれ、よりもちもちの食感が出てきます。
そしてこの時に1日1回混ぜることでメイラード反応を促進します。
メイラード反応によりメラノイジンが生じる


メイラード反応によって玄米の糖とアミノ酸が結合して褐色成分のメラノイジンが作り出されます。
メラノイジンが増えるにしたがって、玄米の色も濃い褐色に。
このメラノイジンには抗酸化作用があり、活性酸素による体の老化現象を抑える働きがあります。
また、メラノイジンは酸素や窒素も含む高分子化合物です。
そのため空気を供給する必要があり、1日に1度しゃもじで全体をよく混ぜておきます。
メイラード反応は体に悪い?


メイラード反応は体に悪影響だという情報もあります。
ですが、メイラード反応そのものに害はありません。
正確には120℃~130℃の温度帯で生じるアクリルアミドに毒性・発がん性が指摘されています。
よく揚げ物や調理時のコゲが体に悪いと言われるのは120℃以上の高温のためです。
寝かせ玄米では炊き上げたあとの温度が70℃前後なので、これによるメイラード反応で生じるのはメラノイジンです。アクリルアミドは生じません。
- メイラード反応そのものに害はない
- 寝かせ玄米で生じるのはメラノイジン
- アクリルアミドとは生じる温度帯が異なる
酵素玄米と寝かせ玄米の違い
酵素玄米→発芽米or通常の玄米を使う
酵素玄米は発芽米を使うのが一般的です。
一般的という言い方なのも、酵素玄米にも「長岡式」などいろんなやり方があって、一概に発芽米だけではありません。
発芽にはどうしても時間がかかるので、より手軽に発芽玄米を食べるならロウカット玄米や発芽済みの玄米を使うとよいでしょう。



寝かせ玄米→通常の玄米を使う
それに対して、寝かせ玄米は発芽してない通常の玄米を使用します。
もうちょっと言うと、「寝かせ玄米」は結わえる社の登録商標です。
先ほど紹介した結わえる社では玄米を発芽させずに商品化しています。
なので酵素玄米と寝かせ玄米に明確な定義の違いはありません。
酵素玄米と寝かせ玄米の違い…
- 正直、明確な違いはない
- 寝かせ玄米は結わえる社の登録商標で、通常の玄米を使用している
共通点…豆類・雑穀と一緒に炊く


でも、共通点はあります。
酵素玄米でも寝かせ玄米でも、小豆や大豆を一緒に炊くことが一般的です。
その理由は、豆類がトリプトファンというアミノ酸を多く含むため。
トリプトファンは玄米のビタミンB6と反応してセロトニンという精神安定物質が生成されます。
トリプトファンとビタミンB6、豆類と玄米を一緒に炊くことで栄養素を補い合うことができます。
豆類以外にももち麦や粟などの雑穀を一緒に炊いてもおいしく炊き上がります。
あらかじめ混ぜてある玄米が便利
あらかじめ黒豆や雑穀入りの発芽玄米もあるので便利です。
酵素玄米の疑問点3つ


疑問①:食中毒の心配は?
一般的な炊飯器の保温温度は70℃前後と高めなので、雑菌の繁殖は起こりづらい環境です。
また、メラノイジンはアルカリ性なので、生成が進むほど玄米がアルカリ性に傾いて雑菌の繁殖を防ぐとされています。
ただし、完璧ではありません。
例えば納豆菌は121℃で20分以上でないと死滅しない熱に強い菌です。
そのため、
- 清潔なしゃもじを使う
- 炊いてから1週間程度、つまり3日間の保温後3~4日で食べきる(もしくは小分けにして冷凍保存)
- 保温中に異臭やネバネバとした異変が出たら食べない
という点に注意が必要です。
冷凍保存の際には2~3週間程度を目安に食べきりましょう。



疑問②:炊飯器ではできないの?


炊飯器でも炊くことができます。
炊飯器の場合には玄米を洗う際、泡だて器で玄米同士を擦り付けるように5分ほど洗いましょう。
そうすることで玄米のぬか層にキズをつけて、水と炊飯の圧力が内側まで入るようになります。
疑問③:酵素はどこで働く?
見てきた作り方だと、炊飯後に70℃以上で保温するので酵素は働きません。
そのため酵素が働くのは加熱以前、つまり発芽時の玄米自身が出す分解酵素だと考えるのが妥当でしょう。
玄米の自己分解により栄養素の消化・吸収効率が上がるので、酵素も有益な要素であるのは確かです。
実際に酵素玄米を始めるには?
ここまで酵素玄米のメカニズムを解説してきました。
ここでは、実際に酵素玄米を自宅で作る方法を紹介いたします。
専用の炊飯器
通常の炊飯器よりも高い圧力で炊ける専用の炊飯器も発売されており、炊いたあとそのまま保温をすることができます。
ただし8万~10万と、高額なのがネック…
酵素玄米専用に限らず、炊飯器そのものも決して安い買い物ではありません。
玄米食に慣れてきて、日常的に使いたいと決まってからの方がよいでしょう。
専用炊飯器のメリット・デメリット…
- 通常よりも強い圧力で炊ける
- 保温ジャーに移す手間がいらない
- いきなり始めるにはかなり高額
- まずは玄米食に慣れてから購入を検討するのがおすすめ
圧力鍋・ダッチオーブンで炊く


酵素玄米を作るのは炊飯器の玄米モードでも可能ですが、メーカーによりますが玄米モーだいたい70~90分かかります。
比べて圧力鍋だと約30分で早炊きが可能です。



私自身も酵素玄米を作る際は圧力鍋かダッチオーブンを使っています。


ポイントは、圧力鍋で炊いたあと熱いうちに炊飯器に移すことです。
そうすることで雑菌に侵入を抑えつつ、炊飯器の保温機能を使って寝かせることでもちもちの寝かせ玄米を味わうことができます。
ただし、圧力鍋の場合は別で保温ジャーが必要になります。
圧力鍋(ダッチオーブン)のメリット・デメリット…
- 約30分の早炊きが可能
- 別で保温ジャーが必要
まずはお試し…寝かせ玄米ごはんパック
寝かせ玄米を試すのであれば結わえるの寝かせ玄米パックが便利です。

ラインナップには小豆・もち麦・黒米・十五穀の4種類(2022年1月現在)が発売されていて、色々と手軽に試せるので、初めての方におすすめです。


ただし、通販だと個別購入には不向きで、お得に試すにはある程度のまとめ買いが必要。
ですが長期常温保管がきくのでお弁当や非常用のごはんパックとしても使えます。
狙い目は不定期開催のフードロスSALEがお得です。
寝かせ玄米ごはんパックのメリット・デメリット…
- 炊く手間が省ける
- 小豆や十五穀などラインナップが豊富
- 長期常温保管OK
- お得感を得るにはある程度のまとめ買いが必要
- 狙い目は不定期開催のフードロスSALE
\1パックあたり274円からお試し/
フードロスSALE(最大30%OFF)も実施中



まとめ


寝かせ玄米の特徴をまとめると以下の通りです。
ひとつひとつを紐解いていくと、炊いた玄米を3日間も寝かせるメリットがはっきり見えてきました。
私は「酵素」の名前を冠するにはこの炊飯方法にとっては酵素反応は本質的ではなく、時に矛盾が生じてしまう呼び方だと思っています。
ですから、人様におすすめするにはうやむやな部分をしっかり分析して、納得いただいた上で興味を持って欲しいな、と思い本記事を作成しました。
ご意見・ご質問等ありましたらお気軽にコメント欄からお寄せください。








