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蔵人に向いてる人は?よくある誤解2つ+向いてる人の特徴5選【結局はマインド】

seigikuin

この記事の内容…

  • 酒造りに体力・筋力は確かに必要ですが、絶対条件ではありません
  • ストレスを感じないマインドの方が重要です
  • 下戸でも蔵人になれます飲むのはお客様です
  • 体力・筋力に自信がないからと諦めるのは少し早いですよ

▼▼▼▼▼この記事を書いた人▼▼▼▼▼

スタコジ

スタコジ(@jitakuseigikuin)と申します。

普段は造り酒屋で蔵人として10年以上働く発酵のプロ。

酒造りに携わる一方で、麹を中心にした発酵食を紹介している麹ブロガーです。

近年の日本酒ブームによって酒造業に注目が集まったこと、Iターンで地元で働く選択肢として、酒造業で働きたいという方が増えました。

非常に喜ばしいことです。

こんな方におすすめの記事…

  • 蔵人に興味がある
  • ものづくりの仕事がしたい
  • 興味はあるが体力的に心配
  • 現役蔵人のリアルな意見を聞きたい

蔵人になるには資格が必要?

一方で、資格とか経験とか無いけど大丈夫でしょうか?と聞かれることもあります。

結論から言うと、1ミリも気にしなくていいです

蔵人になるのに資格はいりません。

蔵人になるには?求人探しの方法3つとそのメリット・デメリット こんにちわ。自宅製麹員(じたくせいぎくいん@jitakuseigikuin)と申します。 スタコジ 普段は日本酒の酒蔵に勤める蔵...

それでも、無理なく働いていけるかどうかの適正はあるかと思います。

そこで、この記事では、10年以上蔵人をしている筆者が思う、蔵人に向いてる人の特徴について紹介します。

まずは蔵人の1日についてざっくりと見ていきましょう。

蔵人の1日

酒造会社によって始業時間などはまちまちですが、大体こんな感じです。

朝:5時~仕込み開始

蔵人の朝はかなり早い時間から始まります。

朝は陽の昇る前から作業を開始して、その日の仕込みを始めます。

麹の手入れ、

もろみ(仕込んで発酵中のお酒)の検温、

駆け足で作業することも多く、朝がいきなり忙しさのピークを迎えます。

もっとも体を動かす時間帯です。

どこの酒蔵も朝は皆這いつくばるほど忙しいので、朝食は作業の合間に済ませてしまいます。

昼:仕込み終了~昼休み

仕込みが終了すると、明日の準備です。

米を洗い、

発酵させたお米(もろみ)を搾って酒と酒粕に分け、

お酒は瓶に詰めてラベルを張り、順次出荷します。

朝が早いぶん、昼休みは長めに2時間程度取るところが多いです。

昼寝をしてしっかり休息をとりつつ、午後の作業に備えます。

夜:麹の世話・泊り込みになることも

夕方には作業が終わりますが、発酵中の菌たちの世話は続きます。

蔵に住み込みで勤める場合は、夕食後に麹の世話があったり、夜間の温度管理で数時間おきに起きて様子を見ることも。

夜勤が続くと寝不足にもなりやすく、慣れるまでは大変かもしれません。

このように繁忙期は朝から晩までなんだかんだ仕事が多く、職場にいる拘束時間は長くなりがちです。

体力があった方がいいのは確か

こんなサイクルを数か月続けるので、基本的には体力・筋力のある方がいいのは確かです

ですが、体力と腕力があればいいかといえばそんなことはありません。

それよりもマインド面の適正の方が重要

それよりも、紹介したように繁忙期は休みも少なく時間的拘束も長いため、ストレスではなくやりがいや面白さを感じられるか、マインド面での相性がめちゃくちゃ重要です。

正直、筋力は体力は続けていれば、少しずつですがついてきます。

ですが作業が苦痛に感じるのであれば長続きはしないでしょう。

蔵人によくある誤解2選

ここで蔵人によくある誤解2つについて紹介いたします。

結論からお伝えすると以下の2つです。

蔵人によくある誤解…

  • 下戸に蔵人は務まらない
  • 男社会の職場である

下戸には務まらない…は誤解

まず、お酒が飲めるかは大した問題ではありません

現に下戸の蔵人だって沢山います。

製品の品質チェックでよく利き酒をしますが、実際には飲み込みません。

お酒に強い人でもだんだんと酔いで正確な判断ができなくなるので、少量お酒を口に含んで吐き出すのが利き酒の基本ルールです。

男社会の職場…は誤解

ドラマや漫画だと酒蔵はよく女人禁制の場だと描かれますが、実際は全くそんなことはありません。

むしろ、

  • 女性の方が細やかな作業が蔵人として向いている
  • 女性目線での商品開発に取り組める

といった視点から女性を積極的に採用する会社も多く、女性の蔵人は確実に増えてきており、女性杜氏(とうじ:蔵人のリーダー)もたくさんいます。

リフト・コンベアなどの設備の機械化による力仕事の軽減、通常30kgある米袋を小分けにして、10kgで管理するなどの柔軟な働き方が広がっており、体力・筋力のハンデが小さくなってきています。

向いてる人の特徴5選

ではここからは私の思う蔵人に向いてる人の特徴を紹介します。

結論からお伝えしますと、蔵人に向いてる人の特徴は以下の5つです。

向いてる人の特徴5選…

  • きれい好きである
  • ものづくりが好き
  • マニュアル通りにできる
  • 複雑なことに面白がって臨める
  • 製造だけにこだわらない

順番にみていきましょう。

きれい好きである

きれい好きな方はぜひとも蔵人になることをおすすめします。

蔵人の仕事の7割~8割は掃除や洗い物と言われています。

なぜなら、日本酒に限らず発酵食の主役は目に見えない微生物です。

そのため狙って菌を排除することは誰にもできないので、日々掃除や殺菌による衛生管理をする必要があります。

きれい好きってだけで蔵人に絶対向いてます。

ものづくりが好き

ものづくりが好きな人も蔵人に向いています。

例えば日曜大工や手芸が趣味で、

何かを作ってると没頭できる!

完成イメージを思い描くとワクワクする!

こういうタイプの方はぜひおすすめします。

基本的にお酒造りはコツコツと地道で単調な作業の繰り返しなので、コツコツ系の仕事が苦でない方は適正バツグンです。

原料も自作するハードモードも

酒造業って自然物(米)を加工するので二次産業の部類に入りますが、一次産業と三次産業との区別がけっこうあいまいです。

酒蔵が自社で田んぼを持って原料米から生産している会社も少なくありません。

夏は田んぼに入って原料米を作り、冬はそれをお酒にするというものづくりハードモードともいうべき働き方だってできます。

ちょっと面白そうだな…

なんて思ったそこの貴方、かなりのツワモノです。

確実に向いています。

順序(マニュアル)通りにできる人

ものづくりの経験がなくても、

  • プラモ作り
  • プログラミング
  • PCの組み立て
  • 料理
  • 楽器演奏

…などなど

こうした趣味を持つ方は向いています。

なぜなら、これらの趣味は順序(マニュアル)があるからです

決まった手順をこなしていかないと、どこかでエラーが出たり、うまくかみ合わない部分が出てきますよね。

日本酒造りも同じで、順序(マニュアル)が室町時代には出来上がり、現在までほぼ変わらず脈々と続けられています

室町時代と現代とでは冷蔵設備や衛生環境は大きく異なるのに、それでもお酒を造れていたのには、酒造りの順序ひとつひとつに腐敗を避ける先人たちの知恵と経験が詰まっているからに他なりません。

逆に言えば、順序を間違えたら腐敗(エラー)の原因になり得ます

だからマニュアル通りに作業をこなせる人は向いています。

小さな異変に気付きやすくなる

また、普段から順序・マニュアル通りに作業をしていると

あ、これは多分間違ってるな

と、異変に気付きやすくなります。

エラーは放っておけばおくほど後々大きくなるものです。

エラーの予兆に気付いた時点で対処ができれば失敗の可能性は大きく減少します。

複雑なことに面白がって臨める

問題が複雑であればあるほど面白くてテンションが上がる人は絶対向いてます。

なぜなら、日本酒の造り方ってめちゃくちゃ複雑だからです。

日本酒製造に考慮すべき点をザっと挙げると…

  • 原料米の品種
  • 原料米の産地
  • 精米歩合
  • 吸水操作
  • 蒸し上げ具合
  • 種麹の選定
  • 製麹方法
  • 酵母の選定
  • 酒母の製造方法
  • 温度経過の管理
  • もろみ日数の調整
  • 圧搾
  • ろ過
  • 熱処理
  • 冷蔵・熟成

…など

…いやいや、多くない?ってくらいあります。

これらそれぞれに色んな方法があって、ちょっとの違いで出来上がりの味が大きく変わります。

これを大変そうだと思うか、面白そうと思うか、、、

要因をひとつひとつ地道に解き明かしてくのが苦ではない、むしろ楽しいと思う方にはやりがいのある仕事でしょう。

専門外の分野も積極的に学ぶ必要がある

蔵人になると誰しもが必ず専門外の問題に出くわします

お酒造りは伝統的な職人のイメージが強いですが、サイエンス知識もめちゃくちゃ重要です。

日本酒を日本酒たらしめるアルコールや香気成分も、全て微生物によって生み出されます。

そのため、微生物の活動を助けるための生物学的知識や、味や香りを損ねないための化学的知識が必要になってきます。

そのため文系の方は理系分野のことも学ぶ必要が出てきます。(高校基礎レベルの生物・化学知識があれば十分です。)

逆に理系で生物・化学分野に長けてる方でも、実際に作業で使うポンプや機械の電機機器の知識、「酛」「山廃」「打瀬」「荒櫂」などの古典的専門用語を覚える必要があります。

その時に問題を避けず、専門外だとしても地道に覚えていける人は蔵人に向いてます。

製造だけにこだわらない

ここまで製造メインの特徴が続きましたが、一方で製造だけに固執せずに働ける人も向いています。

お酒を造るのだけが酒造りじゃない

蔵人が勤める酒蔵は営利団体、つまり会社です。

当たり前ですが会社は製造だけでは成り立ちません

製造して、販売して、利益を得ることで会社は回ります。

もちろん製造一筋で何十年もやってきた大ベテランも沢山おられ、その方達を否定するつもりはまったくありません。

私が言いたいのは酒蔵に勤める≠蔵人になるということです。

「好き」を分析して自分らしい働き方をする

お酒が好きで蔵人の門戸を叩いたとしても、ずっと製造に固執しない方が視野が広がります。

一言でお酒が好きと言っても、好きの方向性はちょっとずつ異なるので、時には自分の「好き」を分析してみましょう。

お酒の何が好き…?

  • お酒を作るのが好き→製造志向
  • お酒を飲むのが好き→サービス・営業志向
  • お酒を売って、喜んでもらえるのが好き→販売志向

もしもこれまで挙げてきた特徴に当てはまらない、もしくはハードルが高いと感じ、

自分はものづくりにそんなにストイックになれないよ…

と思われた人がいても、悲観的に考える必要はありません。

得意を活かした人材になればいいだけです。

日本の酒造会社の大半は従業員100人以下の中小企業ですので、ひとつの仕事よりも複数の仕事ができる人材の方が重宝されやすいという面もあります。

蔵人が営業をしてはいけないという決まりはありませんし、その逆も然りです。

柔軟にいきましょう。

まとめ:楽しいと思えるのは最強

好きなことを仕事にするのって、好きなものに対する興味や好奇心を活用することです。

仕事に対するモチベーションに興味や好奇心がもたらす影響の大きさは計り知れません。

せっかくならワクワクしながら働いて生きていきたいという方に蔵人業はおすすめです。

中々飽きることはないと思います。

少なくとも私は10年以上飽きていません。

それくらい面白くて深い世界ですよ。

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