麹が腸内環境改善に役立つ理由は?麹のメリットと注意点

こんにちわ。スタコジ(@jitakuseigikuin)です。
麹を使った麹食品は腸内環境改善に役立つとよく言われています。
ただし、注意点だってあります。
「健康にいいから」「腸にいいから」と鵜呑みにするのでなくなぜ良いのかその理由と注意点を知って使うことは、何事もそうですがとても大事なことです。
麹にも注意点はある
結論からお伝えすると、麹食品には腸内環境の改善が期待できる一方で、場合によってはお腹の不調、糖質の摂り過ぎにつながることもあります。
そこで今回は、なぜ麹食品は腸内環境改善に良いとされてるか、その理由をまとめてみました。
そんな麹のメリットだけでなく注意点も併せて紹介しますので、麹を始めてみようと興味のある方はぜひご覧ください。
以下でそれぞれ紹介していきます。
麹食品のメリット
酵素が消化・吸収を助ける
麹はいわゆる三大栄養素(糖質・たんぱく質・脂質)を小さく分解する分解酵素を持ちます。

麹が持つ酵素 | 代表的な酵素名 |
---|---|
糖質を分解する酵素 | アミラーゼ・グルコアミラーゼ など |
たんぱく質を分解する酵素 | プロテアーゼ・ペプチターゼ など |
脂質を分解する酵素 | リパーゼ など |
例えばプロテアーゼやペプチターゼなどたんぱく質を分解する酵素は、
たんぱく質→ペプチド→アミノ酸という具合に小さく分解してくれます。
塩麹などで肉や魚を漬けておいた場合、食材の栄養素があらかじめ麹によって分解されて胃や腸での消化・吸収の負担を減らすことができます。
腸内環境の改善
麹は善玉菌(乳酸菌・ビフィズス菌など)の繁殖を助け、腸内環境の改善に効果があると言われてます。
これにもやはり麹の酵素が関係しているのです。
麹菌の生成する糖化酵素は多糖類(でんぷん)→少糖類(オリゴ糖など)→単糖(ブドウ糖など)と細かく分解していきます。

同じ糖質でも、サイズの違いがポイントです。
小さくて吸収が早いブドウ糖
一番小さいブドウ糖など単糖類は吸収が早く、疲労回復・脳の栄養補給になることが知られています。
麹で作る甘酒が“飲む点滴”と呼ばれるのは、お米のでんぷんを分解してできるブドウ糖を多く含んでいるからです。

胃や腸で吸収されにくいオリゴ糖
一方で、単糖類が2個以上繋がった少糖類は単糖類よりサイズが大きく、吸収に時間がかかります。
そのためオリゴ糖などの少糖類は胃や小腸で吸収されずに大腸まで届き、腸内の善玉菌に資化(栄養源となること)されて繁殖を助けます。

これが麹が腸内環境によいとされる理由です。
サイズの大きい糖は吸収が遅いため、腸の善玉菌にまで届きやすい糖です。
麹特有の生産物
麹由来の生成物で腸内環境に役立つものは他にもあります。
レジスタントプロテイン
レジスタントプロテインは消化酵素の影響を受けにくいたんぱく質で、難消化性のため消化しづらく、食物繊維と同じ働きをして腸内の環境を整えます。
米や大豆に多く含まれるので、麹を利用した食品である味噌・酒粕・甘酒などから効率良く摂取することが可能です。
また、レジスタントプロテインは油を包み込む働きがあり、食後の脂肪の吸収を抑える働きも報告されています。

整腸作用に加え、脂肪の吸収も抑えてくれるのは嬉しいですね。
αーEG(アルファ・エチルグルコシド)
αーEGは麹の酵素(αーグルコシダーゼ)から生成される糖の一種で、高い美肌効果があるという研究結果も近年出されている物質です。
日本酒や酒粕を使用した化粧水も近年定着してます。

美肌効果だけでなく腸内環境の点からもメリットは大きく、腸内善玉菌に資化されやすく、悪玉菌に資化されづらいという特性を持ちます。
日本醸造協会誌 第110巻 第4号
人間に有益な善玉菌を優先して繁殖させる効果が期待できます。
麹の注意点
人によっては不調の原因になる
ここからは麹の注意点です。
冒頭でも触れましたが、人によってはお腹の不調につながる場合もあります。
その際に気を付けておきたいのがFODMAPという言葉です。
FODMAPとは
FODMAPとは何かと一言で言いますと、小腸で消化・吸収されにくい糖類のことです。
人によってはこれらの糖類を摂取することで以下の問題が起こる場合があります。
過剰な腸のぜん動運動
オリゴ糖など消化されにくい糖を多量に摂取すると、小腸内の糖濃度が高まり、小腸が水分を出して腸内糖濃度を薄めようとします。
その結果、腸のぜん動運動が過剰に起きて腹痛や便がゆるくなるといった不調につながることがあります。
キシリトール(糖アルコール)を摂りすぎるとお腹がゆるくなるのも同じ理由です。
悪玉菌の優位繁殖
また、これまで紹介した麹由来の成分は善玉菌だけの栄養ではなく大腸菌やブドウ球菌などの悪玉菌の栄養にもなります。
そのため、なんらかの理由で悪玉菌が優位に糖を資化しはじめると、悪玉菌の繁殖を促されてガスの発生・お腹の張り・腹痛などの原因になることも。
すでにお気づきでしょうが、麹は発酵性のオリゴ糖・二糖類・単糖類を含む食品です。
もしも麹食品を食べてお腹が不調になる方は一度食べるのを止め、専門の医師の診察を受けるようにして下さい。
また、“FODMAPナビ”さんではとても詳しくFODMAP食について紹介されています。
興味のある方はこちらもご覧になるのをオススメします。
糖質に注意
麹で作った甘酒は自然な甘さでコクがあり、確かにとてもおいしいです。
しかし、自然由来とは言え糖は糖。摂り過ぎには注意が必要だと言えます。

麹で作った甘酒の糖質は、100gあたり約18gだと言われています。
コーラが100gあたり約11gなので、かなり糖質が高めの飲み物です。
甘酒は1日に200cc程度にする
そのため飲みすぎはかえってよくありません。
摂取するのは多くても1日あたり200ccほどにしましょう。
ただし、麹で作る甘酒はブドウ糖が豊富で吸収が早いので、すぐに血糖値を上げ満腹中枢を満たす働きもあります。
上手に使えばダイエットにも効果的な飲み物になります。
そのためには1日200ccを数回に分けて飲むのがベストな飲み方です。
まとめ
今回は麹と麹を利用した食品が持つ、腸内環境改善のメリットと注意点についてザっとまとめました。
麹に限らず、どんなに健康に良いとされる食材も、ただ闇雲に摂るだけでは本来の効果を発揮することはありません。
もしも麹を始めてからお腹の調子が優れないような時には、今回の注意点を参考にしていただけたらと思います。




