麹といえば日本酒

ワインを温めない理由は?日本酒をお燗するとおいしくなる理由

こんにちわ。製麹員です。

突然ですが、ワインをお燗しない理由をご存じですか?

シロップやシナモンなどを漬け、温めて飲む「ホットワイン」という飲み方はありますが、どちらかというと常温~冷やして飲むイメージの方が強いですよね。

一方で、日本酒は温めて飲む=お燗はよく知られています。

海外では「アジアのお酒は温めて飲むもの!」というイメージが勘違いを生み、アルコール度数の強い中国の白酒(パイチュウ:アルコール分50~65度)を日本酒として燗酒で出す、トンデモな日本食レストランがあったとかなかったとか…(;´∀`)

まぁ、その真偽はさておいて、日本酒は温めて飲むイメージが広くあるのは確かだと思います。

日本酒とワイン、温める温めない、この違いは何なのでしょうか?

結論から言うと、味覚と温度酸と糖質のバランスの2つの要素が関係しています。

この記事では日本酒製造に携わる蔵人の管理人が、ワインと日本酒を比較しつつ、お酒と温度の関係について解説していきます。

まずは人の味覚と温度の関係についてみていきましょう。

味覚と温度…人の味覚は温度で変わる?

人間は温度によって感じる味の強弱が変わります。

  • 苦味・塩味は温度が低いほど感じやすく、高いほど感じづらくなります。
  • 甘味は36℃付近が最も感じやすく、離れるにつれ感じづらくなります。
  • 酸味は温度に関わらず、感じ方は一定です。

つまり、お酒に含まれる酸と糖質は温度によって感じ方が変化します。

同じお酒でも冷酒と燗酒では味が大きく変化するのはこのためです。

日本酒の場合…お燗の温度帯は6段階

燗酒の温度帯は6段階あり、それぞれ名前が付けられてます。

温度名称
55℃~飛び切り燗 (とびきりかん)
50℃~熱燗 (あつかん)
45℃~上燗 (じょうかん)
40℃~人肌燗 (ひとはだかん)
35℃~ぬる燗
30℃~日向燗 (ひなたかん)

体温に近いぬる燗~人肌燗程度では甘味が強く感じられ、苦味・酸味がマスキングされます。

結果、やさしくマイルドな飲み口になります。

逆に、温度が高い飛び切り燗に近づくほど甘味・苦みが減り、温度で変化しない酸味が強調されます。

結果、キレのある飲み口になります。

また、温度が高いほどアルコールの揮発性が増し、ピリッとした刺激がキレとして加わります。

アルコールの揮発を利用した燗酒テクニックは、こちらの記事でも紹介してます↓

【日本酒】お燗は温度の上げ方で味が変わる?味にメリハリをつける燗酒テクニック 日本酒は温めて飲んでもおいしく飲める、世界的にも珍しいお酒です。 個人的にも、日本酒って冷酒だけで飲むにはもったいない飲...
せいぎくいん

ここがポイント!

  • 味覚は温度によって感じ方が変わる
  • 体温に近いほど、やさしくマイルドな飲み口になる
  • 温度が高いほど、キレのある飲み口になる

ワインをお燗しない理由

日本酒と同じ醸造酒のワインには、温めて飲む習慣はあまりありません。

シロップなどを加えて温めるホットワインもありますが、そのまま温めて飲むのは稀です。

これは日本酒とワインを比較した時に見える、糖質と酸のバランスに理由があります。

日本酒とワインの糖質を比較するとこのようになります。

お酒pH糖質(100gあたり)
ワイン3.2~3.51.5~2.0g
日本酒4.2~4.73.6~4.5g

順にみていきましょう。

ワインは低糖・高酸

ワインの酸度はpH3.2~3.5です。

pHは中性を7として数値が低いほど酸性に傾くので、数値的にはワインの方が日本酒よりも酸性に偏った液体です。

糖度はワイン100gあたり1.5~2.0gほどで、日本酒より糖質が少ないことがわかります。

日本酒と比較して低糖・高酸であるワインは、温めると甘味が感じづらくなり、酸味が際立ちます

温めて飲むには、ワインは糖と酸のバランスが難しい飲み物です。

ホットワインがシロップやフルーツを加えるのは、甘味を補うことで甘味と酸味のバランスを保つのが目的です。

日本酒は高糖・低酸

日本酒のpHは4.2~4.5ほどです。(※注)

ワインよりは酸性が弱く、糖度は100gあたり3.6~4.5gほどと糖度は比較的高い飲み物です。

ワインより糖質が比較的多いので、温度の高低による味幅が広くなります。

また、温めた時に強すぎない程度の酸性なので、酸が主張しすぎず燗酒の味の土台となります。

よって温めて飲むには、日本酒のほうが糖と酸のバランスが良いといえます。

(※注)

日本酒のラベルに記載されている「酸度」は日本酒独自のもので、pHとは異なります。

pHが酸性・アルカリ性の傾向を示す「指標」なのに対し、日本酒の酸度はそのお酒に含まれる酸の「量」を指します。

せいぎくいん

ここがポイント!

  • ワインは低糖・高酸で、温めるにはバランスが悪い
  • 日本酒は高糖・低酸で、温めるには良いバランス
  • ホットワインはシロップ・フルーツで甘味を補うのが一般的

おわりに

いかがでしたでしょうか?

今回は日本酒とワインを比較して、ワインを温めない理由と日本酒をお燗にする理由を解説しました。

他にも晩酌に役立つ小ネタや豆知識を随時紹介してきますので、興味あればぜひ読んでいってください。

ではまた。

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