ハッピーどぶろくって?湖のスコーレに新設のされたどぶろく醸造所がつくる【ハッピーどぶろく】レビュー

最近、どぶろくが流行ってるってホント?
昔の飲み物でしょ?なんで今ごろ?
どぶろくってドロドロしててクセがあって苦手だな…
実は2020年代に入ってから、どぶろくがブームになっています
2010年代に日本酒ブームが起こり、そのあとを追うカタチで日本酒造りの技術者たちがマイクロブリュワリーを立ち上げたり、新規ベンチャーや酒造会社の新規事業として、続々とどぶろく醸造所が全国各地で新設されています
- ハッピー太郎醸造所 (滋賀)
- 稲とアガベ醸造所 (秋田)
- 木ノ花醸造所 (東京)
- やまね酒造㈱赤沢醸造所 (埼玉)
- WAKAZE (東京)
- 平和どぶろく兜町醸造所 (東京)
今回はその中からハッピー太郎醸造所の【ハッピーどぶろく】を、現役の蔵人でもあるスタコジ(@jitakuseigikuin)が技術者目線を交えつつレビューします!

▼▼▼▼▼この記事を書いた人▼▼▼▼▼

結論から言うと、ビックリするくらいクリアでクセがなく、どぶろく初体験の方にぜひ飲んで欲しいどぶろくです!

【お酒のタイプ】
【テイスティングnote】
- にごりの濃さ ★★★☆☆
- 舌触りのなめらかさ★★☆☆☆ (ややさらさら)
- お米の粒感★★☆☆☆ (細かい)
- アルコールのアタック ★★☆☆☆
- 甘さ ★★★☆☆
※筆者の主観による評価です
ハッピー太郎醸造所とは?
ハッピー太郎醸造所とは、滋賀県長浜市の湖のスコーレ内にあるどぶろく醸造所です
湖のスコーレには他にも、チーズ製造室・体験教室・図書館・ギャラリーなどが併設され、発酵やもの作りを体験できる施設内に2021年設立されました
発酵WEBマガジン「Haccomachi」に、「滋賀で話題の発酵スポット「湖のスコーレ」とは? 併設カフェの発酵グルメもご紹介♩」の記事が新しく追加されました♩「湖のスコーレ」のフロアマップやグルメ情報も💙#Haccomachihttps://t.co/nI5N9yrgg9
— 京都発酵カフェ「漬×麹 Haccomachi」 (@haccomachi) June 16, 2022
長浜にできた発酵がテーマの新施設「湖のスコーレ」。
— ことりっぷ (@cotrip_twi) June 11, 2022
チーズや味噌、甘酒などを館内で手づくりして販売したり、発酵食の魅力を満喫できる喫茶室があったりと、「発酵」を通してふだんの暮らしを心豊かにしてくれる、とっておきの場所なんですよ。https://t.co/O56IsgWLNk
ハッピー太郎ってどんな人?
作り手のハッピー太郎さんの本名は池島幸太郎さんというお名前で、「幸」の字を英語に読み替えて活動されています
いくつかの酒蔵を渡り歩いて蔵人経験を積まれたあと、滋賀県彦根市に糀屋さんを開業
現在は湖のスコーレ開業に合わせて滋賀県長浜市に移転され、同時にどぶろく醸造免許を取得。糀屋さんと並行してどぶろく醸造をスタートされました
蔵人→糀屋を開業→どぶろく醸造と、まさに発酵のプロフェッショナル!
ハッピーどぶろくのこだわりポイント
ハッピー太郎さんが醸すハッピーどぶろくにはこだわりのポイントがいくつもありますが、私が注目したのは以下の3つです
- クエン酸糀でスッキリと仕上げる
- はみ出し米を使用
- 糀屋さんならではの完熟糀
クエン酸糀でスッキリと仕上げる

裏ラベルをよく読むと、「クエン酸糀高温糖化酛」というお酒好きでも見慣れない記載が
この言葉をかみ砕いてまとめるとこんな感じです▼▼▼
- クエン酸糀 → 白糀(焼酎用の糀・すっぱい)
- 高温糖化 → 加温して甘酒状態にする
- 酛(もと) → 発酵スターター
クエン酸糀って?

クエン酸糀は焼酎で使われる白糀のことです
白糀はクエン酸をたくさん生成するので食べるとすっぱく、その高い酸度によって雑菌からお酒を守ってくれる効果があります
また、クエン酸はレモンや梅に多く含まれる爽やかな酸味があるので、どぶろくの味を爽快にしてくれる効果も!
高温糖化って?
高温糖化を平たくいうと、加温してお酒を一度甘酒状態にしてしまうこと
甘酒状態にするには55℃~60℃と高い温度に数時間保つ必要があります。この時に熱に弱い雑菌を撃退し、クセや不快な味・においを徹底的に取り除けます
酛(もと)って?
酛というのはパン種やヨーグルト種のような、お酒のスターターのこと
ここにクエン糀と高温糖化を組み合わせることで、キレイなどぶろくを作るためのスターターが出来上がります
要するに、徹底的にクセの要素をなくし、爽やかな酸味が得られます!
→クセがなく、すっきりとした飲み口に!
- 爽やかなクエン酸糀を使用
- あえて甘酒状態を作って、雑菌を防止する
- お酒に必要な酵母菌がストレスなく繁殖できる
- 雑菌が抑えられ、クセのないすっきりした飲み口に!
原料は滋賀県産の“はみだし米”
どぶろくの原料にはハッピー太郎さんが自ら名付けられた“はみだし米”を使用
これは規格検査や精米時のふるい網からこぼれたお米で、規格から外れるという理由で仕方なく廃棄されたり、工業用や飼料として安価に引き取られてしまいます
味と品質にはまったく問題ないお米です。
その現状を目の当たりにしたハッピー太郎さんは、これを糀やどぶろくの原料にすることで、
- 食品ロスの防止
- 農家さんの収入源
として農業・産業・経済の好循環を生む取り組みをされています
もちろん味のほうにもメリットがあり、はみだし米で作るハッピー太郎さんの糀や鮒ずしは香りが違うそうです
規格外のお米は扱いが難しい
ただし、はみ出し米には問題点もあります
規格外のお米というのは粒が揃わず、米洗いや糀作りがとても難しいお米です
ひと粒ひと粒が揃ってたほうが糀は絶対に作りやすい!
レゴブロックで言えば、1個1個の大きさが違ったら絶対やりづらいですよね?そんな感じ!
そんな原料を糀やどぶろくに仕上げるには、まさに糀屋さんの熟練の技だからこそなせる芸当です
→めっちゃ難易度高いことやってる!
- 精米時にはみ出た小米を使用
- 味はまったく遜色なく使える
- フードロス防止、農家さんの収入源を守る
- ただし糀にするのは難しい
- 使いこなすには熟練の技術が必要
こだわりの完熟糀
もうひとつのこだわりポイントが、これもハッピー太郎さんご自身が命名されてる“完熟糀”
通常、日本酒やどぶろくの糀は雑味が出ないよう硬めに若く仕上げます
糀が強すぎても味がクドくなるので、バランス感覚が難しいんです!
ところがハッピーどぶろくで使われる糀はしっかりと味と香りが乗り、果物で例えるならまさに完熟状態の糀を使用
お米だけでなく、糀の個性と魅力もしっかり主張するどぶろくに仕上げています
→真っ白なキャンパスを彩る完熟糀!
- 糀の甘やかな香り・ほっこりした味わいが感じられる
- 糀屋さんならではの、糀の個性と魅力を前面に出したどぶろく
実際に飲んでみる

それでは実際に飲んでみます
今回はロットno.3とno.4の甘口・辛口をいただきます。

火入れ(熱処理)はしてあるのに、写真ではちょっと見づらいですが発酵による炭酸ガスがグラスにうっすらと出てきます
直前まで元気に発酵していた証拠ですね。
香りは甘やか&ミネラル

香りは甘酒のほっこりした甘いにおいと発酵の炭酸ガス、固めのミネラルな香り
使用する水が硬めなんでしょうか?
ミネラリーな引き締まった印象を受けます。
口当たりはボリューミーでもなめらか
お米の粒感も細かめでひっかかる要素はなく、口あたりなめらか
完熟糀のやさしい甘さが出てきて、丸みのある栗香、クエン酸のさっぱりした酸味であと味がとても軽快。ボリューミーなのにまったく重さは感じません
糀の魅力が前面に出てるけど重たくない!おいしい!!
アルコールも13度なのでキツさもなく、スルスル入ります
甘口はお米と糀のふくよかな甘さがチャーミング!
辛口はミネラルの引き締まったタイトで、よりソリッドな感じ!
(今後甘口・辛口の表記は変更になるそうですが)、甘口タイプはどぶろく・お酒ビギナーに。辛口タイプはある程度お酒を飲みなれた方に特にオススメです!
おすすめの食べ合わせ
日常的な発酵食
フレッシュ感もあり、飲み疲れしないタイプなので、普段の食事、特に日常的な発酵食なんかと間違いなく合います
- ぬか漬け
- 味噌汁
- 奈良漬・しば漬けなど漬け物全般
お酒が柔らかくて優しいので、塩味・酸味・苦味がある素材を包みこんでくれます!
ハッピーどぶろく、守備範囲めちゃくちゃ広い!
ハッピーどぶろくの購入は湖のスコーレ公式ページ内にて可能です
滋賀県ならではの食材
さらにおすすめなのは、地元滋賀県の食材や発酵食とのペアリング
滋賀県といえば国内最大の湖・琵琶湖を有し、豊富な水産物でも知られています
琵琶湖で穫れた小鮎やモロコの煮付けなども相性バツグン!

他にも滋賀の郷土料理であるぜいたく煮(塩抜きたくあんや琵琶湖の小エビを炊いたもの)なんかもいいですね!
(最近では近江牛のぜいたく煮なんかも!)

こんな人にはイマイチかも…
逆に、こういった人にはイマイチかもしれません
- 大勢で飲みたい
- 価格に割高感を感じる
内容量は480mlと、普通の4合瓶よりもひと回り小さいサイズなので、大勢で飲むのには適していません
価格も480mlで1本1,870円(税込)と、市販のお酒と比べるとどうしても割高に感じてしまう方もいらっしゃるでしょう
ですが、滋賀の酒蔵で修行し、滋賀で糀屋を開業、滋賀のお米(それも高難易度のはみ出し米!)で醸したハッピー太郎さんのどぶろくへのこだわり、滋賀の食材・環境への思い入れは並々ならぬものです
たしかに、マイクロブリュワリーは大手メーカーとの価格競争ではゼロにひとつも勝ち目はありません
それでもマイクロだから目の届く原料処理や、ビッグブランドにはない個性を私は実際に飲んでみてひしひしと感じることができました
滋賀に思い入れがなくても、この個性はインパクト強い!
どぶろくに苦手意識がある人ほどギャップでハマってしまう可能性大です!
どぶろくに相性バツグンのオール滋賀食材の発酵食!
より滋賀の特色や個性を楽しむなら、滋賀の食材で作られた発酵食とどぶろくの組み合わせ!
特に、湖のスコーレでもお買い求めいただける同施設で作られた本格チーズや、ハッピー太郎さんが作られたオール滋賀食材の鮒ずしがおすすめ!
今日はこれを開けよう(^^)
— スタコジ|自宅製麹員 (@jitakuseigikuin) June 22, 2022
どぶろくには鮒ずしよね! pic.twitter.com/dT8ShcbTub
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— BASE(ベイス)📺新CM放映中 (@BASEec) May 17, 2022
外側は黒い部分は竹炭🎋で
内側は白いチーズ🧀
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滋賀県の古株牧場の生乳を使ってできた「竹炭フロマージュ」🎋
伊吹山がモチーフになり、ピラミッド型に。
そのままでも、パンにはさんで食べても◎な絶品です🤤
🦢湖のスコーレ
🛒https://t.co/2rkRRyaTeh #お取り寄せ #BASEec pic.twitter.com/FCyOgBA1aY
ぜひ公式ページでご確認ください!▼▼▼
施設内で作られる本格チーズもぜひチェック!